くたばれ、テク系メディア
by Michael Arrington on 2011年5月9日

先週、TechCrunchにおける今の私の投資方針について記事を書き、開示済みの財務的利益の衝突が存在することなも触れた。何度も書いてきたように、われわれの読者に対する重大な責務は透明性である。この点に関して本誌は、私のスタートアップやベンチャーファンドに対する投資情報の開示に関して、(今までもそうだったが)厳重な注意を払っていくつもりだ。さらに、それらの企業を他のTechCrunchライターが記事にする時にも投資情報は開示される。

記事中私は、本誌のやり方についてライバルたちから多くの批判を浴びるであろうと書いた。そして、まさしくそれが起きた。AllThingsDは私を「何か気持ち悪い奴」と呼んだ。The Atlantic Wireは私のやっていることが「ジャーナリズムの独立性のハードルを下げる」と言う。そして、Tom Foremskiは「一切の投資を許さない包括的方針がベスト。そうすれば読者は、バイアスがあるかどうか心配する手間をかけずに記事を読める」と言った。

しかし、ちょっと待ってほしい。

私の方針が良いものかどうかについては、いくらでも議論があるだろう。人それぞれ意見はある、私にもある。しかし、読者として覚えておくべき最も重要なことは、ジャーナリズムに客観性はないということ。客観性を標榜する連中はそのふりをしているだけだ。誰もが、さまざまな形で矛盾をはらんでいるが、「ジャーナリズムのルール」が透明性や開示を要求するのは、直接的金銭的衝突がある場合のみだ。 この件に関して、いずれさらに長い記事を書かねばならなくなるだろう。

しかし、テク系ブロガーがあるCEOを評して「手強くて誤解されやすい」と書いた時、読者は件のCEOがそのブロガーのソーシャルな友人で、機密情報を漏らしていることを知るべきだろうか。答えはイエスだ。しかし、実際知ることはない。あるいは、その同じCEOに、カンファレンスでの講演を断わられた別のブロガーが、彼を無能呼ばわりしたとしたら。情報開示は? ノー。衝突は? イエスだ。

上でも言ったように、これは別の記事に書く話だ。しかし、今起きている問題を終りにするために、指摘しておきたいことがある。

AllThingsDのKara Swisherは、われわれのポリシーに対する不平の親分で、Googleの幹部と結婚している。このことは彼女が開示しているが、もちろん私はこれを、私がスタートアップに投資していること以下の衝突とは見ていない。しかし彼女は文句を言う。彼女のライターの一人であるLiz Gannesは、Facebookのコンサルタントと結婚している。彼女はFacebookとそのライバル会社の記事を頻繁に書いている。彼女もそれを開示しているが、夫がFacebookの株を持っているかどうかは明らかでない。これは、読者として私が知りたいことだ。そして、巨大な利益の衝突であることは間違いない。ある会社を叩いた後に、その会社の従業員の隣に寝ることに躊躇する人はいると私は思う。例えば、夫婦の調和を望んで一定の形容詞が和らげられることもあるかもしれない。

Foremskiは、もう一方の不平親分だが、本物の変人だ。私のポリシーを非難する一方で、彼には直接的な利益の衝突がある。わずか一週間前、私がスタートアップに投資していることがいかに酷いかを言った男が、山ほどのテク系企業と金銭的関係を持っている ― 「情報開示:現在および過去におけるSilicon Valley Watcherのコンサルタント顧客とスポンサーは以下の通り:Pearltrees、Intel、Tibco Software、Edelman、Infineon Technologies、SAP」。

しかも彼はこうした利害関係に関する開示があまり得意ではない。もし、うちのライターがこの件を取り上げたら、たちまち彼らは炎上するだろう。

なぜ、TechCrunchに一番不平を言う人々が、自分自身の利益の衝突をあいまいにしているのだろうか。なぜもっと積極的に開示しないのだろうか。自分自身をも裏切る行為を、どう彼らは正当化するのだろうか。実際、どうやって。

私は、このジャーナリズム業界では新参者だ。読者に対しては、自分がそうして欲しいと思うやり方で接している。全面かつ完全な開示だ。このことが古い人々の気に障ったのなら本当に残念である。しかし、これが現実だ。最も不平の多い人たちは、最も深く衝突している人たちだ。彼らは、自分たちの利益の衝突に関して、控え目に言ってもあいまいである。彼らにとって善悪は深く憂慮すべき概念ではないようだ。偽善、それどころか自らが吐く暴言支える基本的論理がないことさえ、大きな問題とは捉えていないらしい。

まったく、今週はいろいろなことがわかった。ある大手新聞が、この件に関して「私の立場」を尋ねてきた。先方の依頼で私は電話に30分間を費した。しかし彼は記事にしなかった。なぜか?「ウチの編集部がAriannaを放置したかったから」と、私のボスであるArianna Hufflingtonが、この件で非難されていることを指して言った。彼は、自分がこの記事をライバル(Huffington Post)を助けるかもしれないというだけの理由でボツしたことも、いかにそれがひどいかもわかっていない。

私は、最後の古株が消えるまで、この業界に殆ど期待していない。彼らはニュースをコントロールしているのではない。意見をコントロールしているのでもない。コンテンツを誰が書き、誰が書くかを言う立場にもない。そして、単純な透明性にしょっちゅう文句を言っている限り、倫理に関して彼らが大口を叩くことはできない。

Swisherは、Google幹部と結婚していながら、私の投資方針に文句を言うことはできない。しかも、彼女のライターが夫を通じてFacebook株を所有していないか、われわれは確認できない。さらには、彼女の雇い主であるウォールストリート・ジャーナルは、姉妹会社のMySpaceを批判する記事を 抹殺し、そのこと否定した。そこら中で利益の衝突を起こし、まともな情報開示と透明性に注意を払っているようにみえないForemskiに、私のポリシーが倫理に反すると言う資格などない。そして編集者たちがArianna Huffingtonを困らせ続けるために記事を抹殺している主要メディアに、倫理ポリシーに関して説教されたくない。

TechCrunchを始める前、このニュースの世界がこれほどめちゃくちゃだとは知らなかった。そこはどうしようもなく醜い。この連中、テク系メディアには、本当にうんざりだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)

  • Guest

    よそがやってるから、うちもやっていいだろう、ってのは、まったく説得力がないと思う。

  • Fff

    良記事。

  • Fff

    良記事。

  • Fff

    良記事。

  • おっさん

    どの企業と関係あろうと、あるいはなかろうと、単に「同じ視点」で書けばいいだけの話。特にジャーナリズムに客観性がないと言うならなおさら。

    たった一つの、しかも誰にでも出来るもっともシンプルな方法こそが、あの会社のことを書くなら、そっちの会社の事も書くよというスタンス。

    わかりやすく例を挙げるなら、iOSの欠点を書くなら、Androidの欠点も「隠さずに」書く。たったこれだけ。

  • おっさん

    どの企業と関係あろうと、あるいはなかろうと、単に「同じ視点」で書けばいいだけの話。特にジャーナリズムに客観性がないと言うならなおさら。

    たった一つの、しかも誰にでも出来るもっともシンプルな方法こそが、あの会社のことを書くなら、そっちの会社の事も書くよというスタンス。

    わかりやすく例を挙げるなら、iOSの欠点を書くなら、Androidの欠点も「隠さずに」書く。たったこれだけ。

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20110508whoworks-at-shows-you-who-in-your-linkedin-network-works-at-the-sites-you-visit/ ソーシャルネットワークにおける「リアル化」の流れ? Whoworks.atはブラウジング中の企業で働くLinkedInでの知り合い情報を表示

    [...] 使い方は簡単で、Chromeブラウザの右上に表示されるWhoworks.atボタンをクリックするだけで良い。まず直接の知り合い、そして知り合いの知り合い、さらにその知り合いといった順で閲覧中の企業で働く知り合いの情報を集めることができる。また最近就職した人や昇進した人のみを表示するようにすることもできる。リクルーターやジャーナリストないし投資家にも非常に役立つサービスだと心から思う。 [...]