テレビ企業がオンラインビデオのオリジナルコンテンツに手を出さない理由
by ゲスト ライター on 2011年7月19日

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編集者注記: このゲスト記事を書いたAshkan Karbasfrooshanは、WatchMojoのファウンダでCEOだ。

ケーブルテレビの成長と増殖により、テレビというパイのサイズは大きくなり、ネットワーク(大手テレビ局, ABC, CBS, NBC, …)のビジネスも肥大した。ただし、このパイの各社のシェア(占有率)は縮んだのだが。

ネットワークからケーブルへのシフトは一種の進化だったが、テレビからWebへの移行は革命だ。しかしそれでも、既存のマスメディアとしてのテレビ企業(Traditional Media Companies, TMCs, 従来的なメディア企業)はWebを、自分たちの流通経路と収益源がもう一つ増えたにすぎない、今舞い上がっている砂埃が収まれば自分たちのビジネスの成長機会となるだろう、と見なしている。

彼らのその賭けの結果がどう出るか、それはまだ分からない。たとえば、Webは音楽ビジネスをより効率的にしたが、業界全体の売上と利益は縮小した。いずれにせよTMCsは、Web用の番組(いわゆる”有料コンテンツ(Premium content)”)の制作に中途半端に取り組みつつ、同時にむしろ、より豪華なテレビ専用の番組(いわゆる”豪華有料コンテンツ(Super premium content)”)の制作に力を入れてきた。

たとえばはViacomは2007年にViceのVBS.tvに投資したが、その後MGMやLionsgateと共にEPIXに共同出資をした。Lionsgate単独ではBreak Mediaの42%に$21.4M(2140万ドル)を投資し、それには残りを$58M(5800万ドル)で買うオプションが付いていた。しかし、オンラインビデオが一部の人が言うようにそれほどすばらしいものなら、Liongateはそのオプションをとっくに行使していたのではないか? Break Mediaの業績は悪くないし、男性向けオンラインビデオの好調なニッチを築いてきた、でもTMCsから見ればそれは、微々たる存在なのだ。

[テレビ(放送局+ケーブル)の広告収入の推移]

Webの構造をよく理解しているスタートアップから見たビデオコンテンツの機会とは

実際には、有料コンテンツの大半が新しいメディアスタートアップたちによって作られている。しかし彼らの一部が犯した間違いは、インターネットの上にTMCを構築しようとしたことだ。それはまったくの狂気であり、そこには壊れたエゴと無駄な数百万ドルが注ぎ込まれただけだ。4000万ドルを燃やし尽くしたRipe Entertainmentは、VC(Rho VenturesとColumbia Capital)とTMCs(Hearst TelevisionとTime Warner)の両方が投資していた。しかしオンラインのコンテンツビジネスに2500万〜5000万ドルも投じるのはまずい戦略であり、良い作品を作れば作るほど赤字を抱え込む。

むしろ、このテレビからWebへという革命的な移行は、たしかに一部のスタートアップにとって機会ではあるが、しかしTMCsが有料コンテンツにあまり注力しないことを意外と思うような人たちは、幻想もしくは悪質な下心を抱いているのだ。TMCsが有料コンテンツの実験をしたり、ましてやそれに投資をすることには、経済的な有望性がまったくない。それには、イノベーターのジレンマという側面が多少はあるにしても、TMCsが既存の番組を有料でオンライン化することをためらっているという問題と、放映権の販売等がまったくできないWebでそれ用の番組をTMCsが作らない、それらに投資しないという問題は、それぞれ別の問題だ。インターネット〜Webの上では、上位局から下位局(系列局)へという、閉じた放送ネットワークを構築できないから、TMCsにとってそれ単独では有利な収益源とならない。

では、どう取り組むべきか

有料コンテンツで資金や投資をもらった企業の中で、出口に達したものはわずかしかない:

  • LX.tvはNBC Universalに買収され、今ではニューヨークとロサンゼルスのタクシーや地元系列局のためのコンテンツ制作を担当している。
  • WallstripはCBSに買収され、実質的に閉鎖した。しかし、CBSはWallstripを買う柄ではなかった(株式情報のTheStreetあたりがふさわしかっただろう)。2008〜2009年の経済崩壊時にCBSはWallstripを閉鎖したが、ウォールストリートを諷刺するコンテンツは、このときこそ、もっとも合っていただろうに。
  • GoogleはNext New Networksを買収したが、YouTubeの一部門にしてしまい、Google自身は人間的な要素を扱わずにすむことになった。NNNは、YouTubeで生活を成り立たせている変人たちを管理でき、広告主たちが企業にとって安全なコンテンツを提供できる機会をあたえた(その路線の幸運を祈ろう)。

しかし一方では、

  • HBOは同社の”ニューメディア”部門HBOLabs/RunawayBoxをBreakに安売りした
  • Comcastは最近、NBC Universal Digital Studioを解散した
  • News Corp.はニューメディアコンテンツに手出しをしていたが、今ではもっと大きな問題を抱えている。

しかし、徐々に、おもしろい動きも出始めている:

  • 投資家のMark Cuban(つまり彼のHDNet)が、Revision3に投資した。

このような動きは、今後もありそうだが、大きな期待は持てない。数年前に私の会社WatchMojoのヨーロッパ進出のために、Bertelsmannとの提携を検討したことがある。英語のビデオのスペイン語版、フランス語版、ドイツ語版などを作るわけだから、 Bertelsmannは最適のパートナーだと思った。ところが同社は、自分が在庫として持っている何千時間ぶんものメディアの収益化には注力するが、新たなコンテンツを作ってそれらをオンラインで(==インターネット上で)収益化することには関心がない、と言った。

テレビ羨望がインターネットのスターを殺した

よく言われるのは、“テレビは700億ドル市場、オンラインビデオはわずかに15億ドル。いつになったらオンラインビデオは大人になるのか?”、という言葉だ。永遠に大人にはならない、はどうだろう? 関連ビジネスをすべて含めると、合衆国のテレビは2500億ドルの市場だ。それが巨額であることを、TMCsはよく知っている。

オンラインビデオは、急成長しない。その理由は:

  • 広告主たちにとって魅力的なコンテンツが少ない、そして
  • GoogleのYouTubeがビデオの配布全体において独占に近いシェアを持っている。

急速に成長しているオンライン広告の40%が検索広告、そして合衆国のオンラインビデオへの広告支出がわずか15億ドルという現状では、TMCsたちはオンラインに投資する強い意欲を持てない。だから、テレビとオンラインビデオを同格に比較する、あるいは後者が前者を羨望する、こと自体が間違いである。

バランスシートと損益計算書

“Huluは売られるか?”という話題に欠けているのは、“なぜオーナーが売りたがるのか?”という問いだ。

Huluは10億ドルの評価額で1億ドルを調達した。それ以降Huluの価値が上がったとしても、それはTMCsのバランスシートの上では微々たるものだ。しかしHuluが(Microsoft、Yahoo、Google、そのほかの公開企業経由で)、TMCsに年間数億ドルのライセンス料を払うとしたら、それはTMCsの損益計算書の上ではばかにならない額だ。だからこそNetflixが最近、TMCsの敵友(frenemy)からTMCsの親友に昇格したのだ。なぜならNetflixはこれから毎年、TMCsに巨額の小切手をくれるからだ(それはまた、コンテンツとその配布事業の両方を持っていることの重要性の証拠でもある。どちらか一方だけでは、無価値なのだ)。

そこで結論: たしかに、ニューメディアスタートアップにとって、痩せ形で効率的なオンラインのコンテンツ制作マシンを作る機会はある。とくに、2020年ごろまでには、総視聴時間で言えば、ライブのブロードキャストではWebビデオがテレビを上回るだろう(下図)。

しかし、TMCsがこの波に乗ると考えるのはばかげている。彼らは、既存の資産から収益を上げるだけで、十分満足している。それが、オンラインのオーディエンスから見て、こまぎれのスナックサイズの再包装品であっても、彼らは気にしない。今後、配布プラットホームは収束するかもしれないが、コンテンツのコントロール(誰がコントロールするか)はますます大きな問題になる。そういう問題へのソリューションは、”コンテンツを増やす”ことではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

  • 匿名

    テレビは、普通ひとつの場所に集まってみるものだし、多チャンネル時代といいながらも1コンテンツあたり、まだ数万人規模、数百万人規模のユーザーがいる。だから、広告を打つ大手企業がまだまだ沢山いるし、実際広告を貰って巨額の利益をあげられる。

    Webにより、オンラインビデオコンテンツのビジネスも肥大したが、このパイに対する一つあたりのビデオコンテツに対する視聴者数はこれに比べると微々たるものにしかならない。Webの世界は、テレビの数百倍あるいは数万倍以上のチャンネルがあるに等しく、簡単にいろいろなサイトに移動できる。あらゆるサイトがテレビチャンネルのようなものだから。
    そんな中で、オリジナルのコンテンツを製作しても、なかなか広告を貰えるほどの視聴率にはならないし、広告主も高額の広告を出したがらない。有料コンテンツにして、よっぽど魅力的なコンテンツを作っても視聴者数が上がらなければ利益をあげられる保証はないだろう。更には、無数の無料コンテンツとも戦わないといけないし。

    既存のマスメディアのテレビ企業は、すでにあるコンテンツを2次的に販売することまではするかもしれないけど、新たにWeb用にオリジナルコンテツを作っても、成り立たないことはわかっていると思う。テレビとインターネットの融合が進むと超超多チャンネル時代に自ら飛び込むということになるから、そんなことはできないし、積極的にはできないと思う。

  • http://twitter.com/tumblershop 人気のタンブラー・水筒通販ツイッター店

    楽天がTBSを買収しようとしたのは、とても単純な理由だと思う。
    もし、自分が楽天の代表なら、無限に近い「楽天店舗」を紹介するだけで、どれだけ美味しいか!

    たぶん。
    売上の10%をもらうだけでも、今の「へっぽこテレビ局」の広告収入と同等にあるのは自明。
    また、コンテンツは店舗側が知恵と工夫で対応するから、飽きる事はない。
    たまに暇な時にスポーツや政治ネタを流すだけでよい。

    ビッククライアントに依存するのは古い。
    それよりも、新興であり、伸び盛りの業種と手を組んで、その成長性をエンジンにした手法が大切。
    こうした価値観が、今の古びたテレビ業界には無いのであろうな。