Googleへの提言―通称名による透明性と匿名による言論の自由を両立させる方法はある
by ゲスト ライター on 2011年9月6日

David Cowan Picture

編集部:  ゲスト寄稿者のDavid Cowanは名門ベンチャーキャピタル、Bessemer Venture Partnersのパートナーであり、Verisignの共同ファウンダー、LinkedIn、Reputation.com、Lifelock,の主要投資家でもある。ブログはWho Has Time For This?

GoogleがGoogle+で引き続き匿名アカウントの排除に動いていることから、インターネットにおける匿名性をめぐる議論がNew York Times紙上で交わされている。 GoogleはGoogle+のユーザー コンテンツおよび行動のポリシーでサービスの信頼性と透明性を確保し、スパムや荒らしを防止するため、「表示名には友だち、家族、同僚から普段呼ばれている名前を使用すること」を求めている。しかし電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)を始め、断固としてこの方針に反対する声も多い。匿名は 村八分、解雇、身体への危険を避け、表現の自由を守るために必須だというのだ。

Googleは表現の自由を保護する措置について今後検討していくと約束したものの、それが実現するまでは「アラブの春」革命の参加者を始め、Google+を利用することに躊躇を感じるユーザーが存在するだろう。ゲイのティーエージャー、学校や職場でのイジメの被害者、自分の病気に関する情報を求める患者、支配的な政治思想や宗教に対して異議を申し立てる人々などその例は多い。

しかし、議論を「インターネットの透明性と言論の自由のどちらが重要か?」という二者択一に終わらせてはならないだろう。われわれにはどちらも必要だし、私はそれは可能だと考えている。Googleがこのチャンスを適切にとらえるなら、Google+を安全かつ多様性の高いプラットフォームとしてFacebookなどのサービスから差別化する有力な手立てとなるはずだ。

そこでGoogle+の責任者、Brad〔ブラッドリー・ホロビッツ〕とVic〔ビック・グンドトラ〕に表現の自由が確保され、かつ透明性の高いインターネット環境を提供する方策を提案したい。 Googleはすべてのプロフィールについて「身元の信頼性ランキング」を提供するべきだ。匿名、偽名は信頼性ランクでゼロと評価される。本人確認を受けた著名人は10だ。行動履歴や他のユーザーからの評価、そしてGoogle独自の偽名を探知するアルゴリズムなどによって、すべてのGoogle+プロフィールの信頼性をゼロから10の間でランク付けするわけだ。

Googleがこうしたランク付けを公表してくれれば、私はさまざまなユーザーに対し、彼らのプロフィールの信頼性ランクに見合った対応を取ることができる。さまざまな形での迫害を受けている人々をメンバーとするコミュニティーは匿名による言論の自由を最大限に尊重する必要があるだろう。しかし匿名での参加を排除するか、少なくとも何らかの制限を加える必要があるコミュニティーも多いだろう。いずれにせよ、表明された意見や要請は、身元の信頼性ランクに照らして判断できるようになる。

この身元信頼性ランクつきのGooGle ID、いわばGoogle ID+が実現すれば、Facebook ConnectやTwitter0Authをしのいで、ウェブサイト全般の認証手段として普及するはずだ。商用目的では、たとえば、あるプロフィールが現在有効なクレジットカード情報を含んでいるかなどのさらなる基準を付加することができよう。たとえば通販サイトでは「身元IDランク7以上」を求めるとか、バンク・オブ・アメリカとの取引にはGoogle+ IDで9以上のランクが必要だ、などとされるだろう。

Google ID+が実現すれば、透明性と言論の自由を両立させながらさまざまなサークルの間で最適な情報の共有形態を実現させるのに理想的なツールとなる。つまり私はそれぞれのサークルに対して別個のプロフォールを設定ることができる。仕事用のサークルではIDランク7のプロフィールを設定し、狂信的な原理主義者を攻撃するときにはIDランク0のプロフィールを用いる、というようにだ。

非実名アカウントは非実名であるとはっきり分かっていれば何ら不正直なものではない。いちがいに匿名性を排除しようと戦うのではなく、Googleはどのアカウントが非実名なのかを教えてくれるようにして欲しい。単にGoogle+だけの問題ではなく、ウェブ全体を画期的に改善することができるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 @namekawa01 Google+

  • http://twitter.com/blanketjp ブランケット販売ツイッター店

    使用頻度が高いネットオタクはIDランクが上がり、非オタクはIDランクは低くなる。
    だから、多くの人はオタクではないので、ほとんどの人がゼロランクになる。

    また、人口比率が重要で、日本人のように1億人程度しか母数が無い場合は、相対的に全体の評価が低くなる。グローバルな英語圏や、10億の人口を抱える中国圏などは、相対的に評価が高くなる。

    ソーシャルグラフの価値を決める「母数」について、競争原理が働いている。
    この「ソーシャルグラフ為替変動」を、IDランクのアルコリズムに入れるべきだね。

  • http://twitter.com/ikemo いけも

    それこそ運営の問題で、例えば「クレジットカードを登録するとランク7つ上がる」でもいいわけです。逆に認証されていないと5までしか上がらないとか。

  • http://twitter.com/ikemo いけも

    それこそ運営の問題で、例えば「クレジットカードを登録するとランク7つ上がる」でもいいわけです。逆に認証されていないと5までしか上がらないとか。

  • Masahiro Iwata

    「匿名」は識別できない誰かを意味して使われる言葉だと思いますが、Google+はプロフィールがありGoogle+内で識別可能な誰かなので匿名という訳は適切でないような気がします。原文のpseudonymはハンドルネームあるいは非実名と訳すべきかと。(通称名はニックネームのことだと思いますが、ニックネームは実社会で利用する実名に近い用途の名だと思うので、それも意味が違う気がします。)
    より正しく内容や意図が伝わるよう匿名、ハンドルネーム、通称名、実名をごっちゃにせず区別して使っていただいたほうがよいように思います。

  • http://twitter.com/epouvante epouvante

    ……そういえば、スラッシュドット日本がリニューアルしたね。

  • Lxmmjp

    「インターネットの透明性と言論の自由を両立させる方法としての身元信頼性ランク」であれば、興味深いアイディアだ。ただし注意すべきことが2つある。1・信頼性ランクのつけ方には工夫が必要だろう。単に匿名はランク0では、圧力団体が勝つ、だけの話になってしまう。2・Googleを将来に渡ってそこまで信用していいのか。理由のひとつは連邦政府からの圧力。もう一つは対抗サービスが無い事による劣化。

  • Lxmmjp

    「インターネットの透明性と言論の自由を両立させる方法としての身元信頼性ランク」であれば、興味深いアイディアだ。ただし注意すべきことが2つある。1・信頼性ランクのつけ方には工夫が必要だろう。単に匿名はランク0では、圧力団体が勝つ、だけの話になってしまう。2・Googleを将来に渡ってそこまで信用していいのか。理由のひとつは連邦政府からの圧力。もう一つは対抗サービスが無い事による劣化。

  • http://zerobase.jp/ishibashi/ 石橋秀仁 (Ishibashi Hideto)

    原題 “On Pseudonyms: Transparency And Free Expression Are Not Mutually Exclusive” が邦題「Googleへの提言―通称名による透明性と匿名による言論の自由を両立させる方法はある」に。原題にない「匿名」という言葉が入っています。Pseudonymは「匿名」ではありません。「匿名」はanonymousです。Pseudonymは名前を表示しているのでanonymousではなく(その対義語の)onymousです。”pseudonym”は偽名・仮名・変名などと翻訳できます。「実名(real name, orthonym)以外の名前」がpseudonymということになります。要点は、pseudonymは「名前を表示している」からonymousであって、その対義語であるanonymous(匿名:名前を表示していない)ではない、ということです。名前を表示している(onymous)からID (identity;同一性) がある。名前を表示していない(anonymous)ならID(identity)は無い。これが重要な差異です。ID (identity) がなく匿名のメディアといえば2ちゃんねるです。Google+上では、あらゆるアクティビティ(投稿など)がIDに紐付くのだとすれば「匿名」(anonymous)などありえない、ということになります。