
新しいジェスチャーを作り出すことは、1本指でも、2本の指でも、あるいは3本の指用でも、やってみると意外と難しい。これまでたくさん提案されているが、実際に使われるようになったものはごく少ない。このたび、Appleが最新の(らしき)パテント申請で発表したものは、”hold and swipe”と名付けられている。でも、それ、ほんとに新しいのかな?
ジェスチャーに特許を取るなんてばかげている、という議論はここではしない。まったく別の問題だから。
そのジェスチャーは、小さな画面(新型のNanoのような)で画像などの視覚的な情報をナビゲートするときに使う。画像内の顔やそのほかの物をズームしたり、その一部をセレクトすることは、ユーザとタッチスクリーンの両者にとって難しい。ユーザは、自分が今どこをタッチしているのか、よく見えない。スクリーンのほうは、ユーザが今どこをタッチしたつもりなのか、正確には判定しづらい。hold and swipeは、顔認識のような画像のメタデータにもっぱら依存し、ユーザが同じ(不正確な)ジェスチャを何度も繰り返さなくても、ある点から別の点へ行けるようにする。
ユーザはまず、画面上の関心対象をタッチし、一瞬間をおいてから、指を目的方向へ動かす。処理には、文脈的な情報が使われる。たとえば誰かの顔の上に指を置き、その指を右へ動かすと、その画像中の別の人の顔へ行くか、または同じ顔の別の画像へ行く。どうなるかは、指が動いた距離や、デバイスを傾けた角度で決まる。

しかし、さっき言ったように、新しいジェスチャーを考案するのはとても難しくて、しかも、これもまた、まったく使われない可能性がある。まず、そもそもこれは、解決しようとした問題を解決しない。ユーザの指がディスプレイの大半を覆っているだけでなく、コンテンツをナビゲートしているときでもその状態は変わらない。それに、難しすぎる。画面を押している指を一定距離動かしたら、そこでディスプレイを傾ける、だって? 人間にできるのは、2本指のスクロールをマスターするのがせいぜいだ。さらに、UIの要素に余計なものが加わっている。ユーザに、指を動かしてもよいタイミングを、どうやって伝えるのだ? 小さなスクリーンの上の複雑な画像で、ユーザの指が今何の上にあるのか、あるつもりなのか、それをどうやって示すのか?
さらに、これはオリジナルではない。タッチした指やスタイラスを一瞬停止させて’アンカー’の効果を作り出し、それから次の動作で目的方向へすべらせるやり方は、ずいぶん前からある。Appleが加えた、移動先の同じ顔や同じタグを認識するなどの機能は、ゲームやアプリでこれまで何年も使われてきたジェスチャーの、お化粧にすぎない。もしこのパテントが認められるなら、スプレッドシートのセルや、Photoshopにおける絵筆サイズの取替、ブラウザにおけるタブ、などなどの移動でも、このジェスチャーがパテントを取れるだろう。
Appleは小麦を収穫したつもりでも、実際に収穫したのは籾殻(もみがら)だけだ。こんなアイデアの多くが、あちこちのフォーカスグループで早々と死んでいる(最近のMicrosoftのイベントでは、わずか2時間のあいだに1ダースも作って、そして殺した)。でもAppleのこれは、ぎりぎりセーフと彼らは感じたのだろう。ぼくは、こんなかっこ悪いものが、Nanoなどに導入されてほしくない。ユーザのUIボキャブラリを制限したことが、Appleの成功の大きな理由だったはず。その過程で、こんなアイデアはさっさとくずかごに放り込まれたはずだ。
Patently Appleに詳しい情報があるが、まだ特許申請書類のリンクはどこにも見つからない。リンクが分かり次第、この記事をアップデートしよう。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))
