編集部: この記事はBlueRun Venturesのパートナー、Jay Jamisonの寄稿。Jamisonは一般向けおよび企業向けのモバイル関連スタートアップに対する戦略的な初期投資を専門としている。また AppCentral、 AppRedeem、 Foodspotting、 Thumb の各社で取締役を務めている。Twitter: @jay_jamison ブログ: www.jayjamison.com
Facebookの上場は株式市場の歴史始まって以来最大のものになると見られている。そこで、この上場が実現した後、ソーシャルネットワークはどういう方向に向かうのか考えてみたい。
一部では早くも「ソーシャル・バブルは終わりだ」という声が上がっている。ソーシャルメディアに必要なものはもうすべてFacebookにあるというわけだ。ユーザーが10億人に近づきつつある現在、ソーシャルメディアの太陽系でFacebookが太陽であることを疑うものはいない。他のソーシャルネットワークはFacebookが発散する重力によってその周囲を公転することになる。
しかし一部のジャーナリストの観測とは反対に、ユーザーは「Facebookさえあれば他のサービスは必要ない」とは考えていない。最近多くのユーザーがPinterest、Instagram、 Thumb、Foodspotting、 いちばん最近ではFitocracyなどの新しい「関心ベース」のソーシャル・ネットワークに参加している。(情報開示:私がパートナーを務めるBlueRun VenturesはThumbとFoodspottingに投資している)。
ユーザーがこうした新しいタイプのネットワークに強い興味を抱いていることは数字が端的に証明する。ユーザーが関心を抱く対象のバーチャル掲示板、Pinterestは2012年1月にアメリカでユニーク訪問者1000万人を達成した。comScoreによれば、月間ユニーク訪問者が1000万を超えた最短記録だという。Silicon Valleyの有名ベンチャー投資家、Ron Conwayは「Pinterestは5年前のFacebookなみの成長」だと述べた。
意見を共有するコミュニティー、Thumbでのユーザー活動も短時間に爆発的に増加中だ。ユーザーが質問を投稿してから60件の回答が集まるまで平均して5分しかかからない。ほとんどリアルタイムでコミュニティーが反応するために、Thumbの平均利用時間はPinterestやTumblrなどのメジャーなサービスを引き離し、Facebookに次いで2位となっている(ただしユーザーベースはまだ小さい)。
こうした関心ベースのソーシャル・ネットワークの急成長は何が原因なのか? またFacebookの未来にどんな影響を与えるだろうか?
関心ソーシャル・ネットワークはその主たる対象も機能もFacebookとは大きく違っている。Pinterest、Thumb、Foodspottingといった種類のネットワークはまず第一にユーザーの「関心を抱く対象」を中心としてネットワーク化を図る。これに対してFacebookはユーザーの「人と人とのつながり」を中心にしている。Facebookが提供するのは社会的つながりを深めるための社会的インフラだ。その基礎となるのはユーザーがすでに持っているソーシャル・グラフ〔友人、知人の関係〕だ。新しい関心ソーシャル・ネットワークでユーザーは共通の関心を仲立ちとして、それまでまったく知らなかった相手と非常に急速に強い関係を持つことができる。これは関心ソーシャル・ネットワークがFacebookと大きく違う点であり、きわめて急速な成長を可能にする理由でもある。
たとえば私はPinterestでCrossfitというページを持っており、自動車や建築について投稿している。ここに投稿した写真や意見をベースに私は新たな社会的アイデンティティーを確立し、多くの社会的つながりを得ることができた。同様にFoodspottingで私は大好きなラーメンの写真を投稿し、それまで未知だった多くのラーメン・ファンと交流して有益な情報を得ている。
つまりFacebookのソーシャル・ネットワークがユーザーの個人的な友人・知人関係の上に構築されるのに対して、関心ソーシャル・ネットワークはユーザー個人の関心の周囲に構築される。どちらのアプローチが有効なのだろう?
もちろん双方ともに有効だ。
人間は本質的に社会的な生き物である。われわれと関係のある人々と同時にわれわれの興味の対象もまたわれわれの本質の一部をなす。何を食べるか、何を買うか、どこを訪れるか、といった日々の決断には過去の経験や本人の性向、、社会的関係、現在の位置、将来の目標などが複雑に総合された影響を与えている。だから人間関係をベースにするアプローチも関心をベースにするアプローチも、われわれが世界と交渉する仕方の異なる側面だ。
したがって、Facebookとは異なるアプローチのソーシャル・ネットワークを長期にわたって利用する熱烈なファンは多数存在するだろう。これは全国ネットの優勢なテレビ局(NBC、ABC、CBSのビッグ3)があってもESPN、HBO、CNNのような専門テレビ局が十分生き残ってこられたのと同じようなものだ。現在、Facebook、Twitter、LinkedInがいわばソーシャル・ネットワーク界のビッグ3だが、関心ベースの新しいソーシャル・ネットワークが繁栄する余地は十分にある。
同時に、こうした新しいソーシャル・ネットワークはFacebookの地位をなんら脅かすものではないという事実にも注意する必要がある。特にFacebookは自ら10億人近いユーザーを集めるという偉業を達成しただけでなく、サードパーティーに対してもAPIを通じて強力なプラットフォームを提供している。Pinterest、Instagram、Fab、その他多くのサードパーティーがタイムラインAPIを利用してより広い認知とユーザー獲得に役立てている。こうしたサードパーティーのサービスが成長すれば、プラットフォームを提供するFacebookの立場もより堅固になるのだ。Facebookに来たユーザーがプラットフォームを通じてサードパーティーのサービスを利用し、そこからの発信が再びFacebookに戻るというフィードバックのループはFacebookをますます強力にしていく。
マーク・アンドリーセンの言葉を借りれば「ソフトウェアが世界を飲み込む」のだ。 少なくともソーシャル・メディアの世界ではこれから飲み込まれるべき世界はまだまだ広いといえる。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)
