編集部注:ゲストライターのAshkan KarbasfrooshanはWatchMojoのファウンダー・CEO。ビジネスに関するショウを毎週放映し、成功についての著作もある。Twitterアカウントは@ashkan。
先週、Forbes誌のライターEric Jacksonが、ジェレミー・リンから学べる9つの教訓について書いた。その2番目が「チャンスをつかめ」だった。もちろんリンは最初でも最後でもないが、彼のすい星のような上昇は、チャンス〈さえ〉把めばどんなことでも可能だということを、改めて思い出させてくれた。
本稿では、それをさらに堀り下げて、〈どうやって〉チャンスをつかむかを議論したい。もちろん、言うは易し行うは難きである。
Carpe Diem[今の機会を捉えよ]は 言葉だけではない
Jacksonが正しく指摘しているように、リンが「ニックスで先発できたのは、彼を先発させざるを得なかったから」だ。実際、トニー・ダグラス、マイク・ビビー、アイマン・シャンパート、バロン・デービス、そしてカーメロ・アンソニーを怪我で欠いたために ― そしてニックスは最低の成績だった ― リンは呼ばれた(ニックスは彼を放出して別の選手と契約することさえ考えた)。”Linsanity”(*)がまさしく狂気なのは、リンがまるで冷血に計画する暗殺者のように、このチャンスに飛びかかったことだ。
(訳注* ジェレミー・リンのLinとinsanity[狂気・非常識]を合わせた造語)
一夜の成功の陰には必ず何年もの準備がある
殆どの傍観者にとって、リンは「一夜にして収めた成功」だが、実態は全く異なる。リーダーは先天性か後天性かの議論があるにせよ、一夜にして生まれるわけではない。だから、ブレークスルーの瞬間のない人も落胆することはない。成功はロングパス一発で決まることは稀で、フィールドを10ヤードずつ進みながら、時には後退しながら手に入れるものだ(そして、後退は必ずある)。
強力な基盤の上に築け
ちなみに、リンは堅実な家庭に育った(父親は彼にYMCAでスポーツを教えた)。学校新聞の編集長も務めた。高校3年生の時、パロアルト高校のキャプテンとして32勝1敗で州のタイトルを獲得した。
別の言い方をするなら、怠けた生活をしながら突然チャンスがお膳立てされることなど期待してはいけない。何年もの努力と犠牲が必要だ。
秀でていても、運が良いとは限らない
リンは無名ではなかった。ESPNのDana O’Neilの記事によると、リンは「高校時代カリフォルニア中の出版物の年間最優秀選手に大差で選ばれ」、当時ハーバード大学のアシスタント・コーチだったビル・フホルデンによると「殺し屋の天分」を持っていた。ESPNのFran Fraschillaは、大学バスケットボールの万能プレーヤー12人の一人に彼を選び、コネティカット大学のコーチ、ジム・カルホーンはこう付け加えた「数多くのチームを見てきたが、彼はどのチームでもプレーできる。コート上の上でものすごく冷静でいることができる。彼はバスケットを知っている」。
人の通らない道を進め
あらゆる賞賛にも関わらず、身長6フィート3インチ(190.5センチ)のリンは、どの大学からも奨学金を受けることができず、ハーバード大学に進んだ。この大学からNBAプレーヤーは過去50年間!生まれていない。
NBAにドラフトされなかった彼は、2010年7月、子供の頃から好きだった地元チーム、ゴールデンステート・ウォーリアーズと2年契約を結び、中国あるいは台湾系アメリカ人として初のNBA選手になった。
成功のためには失敗しなくてはならない
彼のゴールデンステートでの期間は成功ではなかった。2年目のシーズンにはNBAのDリーグ(育成リーグ)にいた。2011年12月、リンはトレーニングキャンプ初日に切られた。
ヒューストン・ロケッツは、ウェーバードラフトで彼を獲得したが12月24日に手放した。先祖が18世紀に中国から台湾へ移住した福音派キリスト教徒の彼にとって、まさにメリー・クリスマスである(リン本人はカリフォルニア生まれ)。
良いニュースは、人生のチャンスは1度だけではないこと。悪いニュースは、そうそうチャンスはやってこないから、忍耐が美徳とは限らないことだ。
見せかけではなく、中身がすべて
リンがドラフトされなかった理由の一つが、彼の三番目のチームであるニックスでの成功をものがたっている。
サンフランシスコ大学のコーチ、レックス・ウォルターズは、NCAAのドラフトルールがリンに不利だったと語る。「殆どの大学が、選手を最初の5分間だけ見て、すごく速く走るか、すごく高くジャンプするか、などすぐ簡単に評価できることで選ぶ」。
リンも同じ意見だ。「私のゲームを理解してもらうには、二度以上見てほしい。派手なこともしないし、すごい身体能力があるわけでもないから。」
つまりは、シンプルな方がいい。
疑った連中に徹底的に後悔させる
得点争いで38対34とリンに敗れ、ゲームもニックスに敗れたロサンゼルス・レーカーズのコービー・ブライアントはこう言った。「普通、あんなすごい選手はどこからともなく現れたりしない。まるで突然現れたように見えても、遡ってよく見れば、彼のスキルはたぶん最初からあの水準だったはずだ。気付かれなかっただけだ。」
ウォーリアーズのオーナー、ジョー・レイコブもこう付け加える。「スタンフォードがリンを取れなかったのは本当にばかだ。あの子は道の向こう側にいたのに。あれに気付かないようでは問題だ」。
人は、恐怖と欲望によって動かされる。自分を疑ったことを恐れさせ、後押ししなかったことに苦しみ続けさせよう、永遠に。
きずなが重要
実質的にリンは負傷したカーメロ・アンソニーの代役を務めたが、コーチのマイク・ダントーニに、リンをもっと使うべきだと助言したのは、〈彼〉だった。謙虚であり、人のきずなを理解しなくてはいけない。
指揮系統を尊重せよ
トロント・ラプターズ戦の試合を決めたスリーポイントシュートを打つ前、リンはボールを保持すて時間を稼いだ。それは突然の行動だったが、ビデオを見ると、リンは明らかにコーチの方を振り返って承諾を得ていた。それは戦略的に理にかなった行動であり、彼は周到にシュートを沈めた。たしかに運は彼を味方したが、運は人生で成功するために必要だ ― 野望、ビジョン、実行力、粘り強さ、タイミングと共に。
リスクなくして見返りなし
結局彼はリスクを取り勝利を得た。それがチャンスをつかむ方法だ。ことわざも言っている。冒険しなければ何も得られない。
何が起きるのにも理由がある。おそらく、ニューヨークの晴れ舞台に立つ前に小さな市場で失敗を経験したことが、彼にとって良かったのだろう。
ジェレミー・リンはニックスとNBAに希望を与えただけなく、世界中の弱者に自信を与えた。
画像提供:nikk_la
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(翻訳:Nob Takahashi)
