『Crazy Frog』に続け!アニメスタジオにかけるAniBoomの野望
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by Roi Carthy on 2008年1月12日 append.gif この記事をBuzzurlにブックマークする

aniboom_logo.jpgUri Shinarはヒットを探している。アニメ専門サイト「aniBoom」(過去エントリはこちら)のCEOである彼が行き着いたのは、でも、成功を夢見る才能に恵まれた世界中のアニメーターのためにプラットフォームを構築し、ここからヒットを生み出すことだ。

元イスラエルTV界の大御所Shinarは、イスラエルでトップの民間テレビ局創設の立役者。その彼は今、aniBoomでウェブのアニメスタジオの基礎をつくり、そこから「アニメ版YouTube」という今の枠組みを越えるものにしたいと考えている。

Shinarがプロデュースを手掛けたテレビ番組は相当な数に上る。その現場で氏は潤沢な黒字を出す成功ビジネスの開発・実践に欠かせないコスト評価、複雑な業務処理、運を身につけた。そんな彼にとって利用者の提供する素材を原動力とするアニメスタジオ形成の場はウェブをおいて他にない。彼がウェブを理想的なインキュベーターと捉えるのは、そのためだ。

月曜(米国時間)、氏は諮問委員会を召集し、ある発表を行う予定だ。この委員会にはJohn Mass(大手エージェンシーWilliam Morris Agencyの企業開発・新規ベンチャー部門ヘッド)、Peter Hirshberg(テクノラティ会長)、Barbara Corday(Cagney and Laceyなどの製作を手掛けたTVプロデューサー)も名を連ねている。

Shinarはコンテンツ製作、コラボ、製作コストの面でWeb 2.0がもてる最高の機能を活用したモデルをにらんで、aniBoomの原型を練り上げてきだ。が、氏はこれにマーチャンダイジングなどメインストリームのメディア配信で古くからある伝統的なパイプラインも合体させたいと思っている。 最近このShinarとちょっと話す機会があったが、その時彼が言っていたのはaniBoomのようなアニメスタジオが雪だるま式に世間に広まるには、やはり一発大当たりのヒットを出さなきゃダメだという話だ。

ヒットと言っても近頃は思いもかけない意外な方向から生まれてくるもので、氏はaniBoomが追い求めているヒットはあのカエルなのだという(いや、セサミストリートのKermitではなくて…)。

『Crazy Frog』という名の金脈

crazy-frog-small.pngこの右にあるチャーミングな生き物は言わずと知れた『Crazy Frog』、実の名を「The Annoying Thing」という。ここで動画を見ると大体のテイストが分かるだろう(歌はここ)。あの欧州一円と豪州・日本を中心に世界中にマーチャンダイジングの嵐を巻き起こしたサウンドも聴ける。これはaniBoomが生んだアニメではないけども、Shinarが支援したいのは、こういった類いのコンテンツの発掘・プロデュースだ。

アニメーション、ライセンシング、マーチャンダイジングの世界がぶつかり合うとき、大ヒットは大きな大きなドルとなる。その意味ではaniBoomが目指すもの全てが、この『Crazy Frog』に凝縮されているのだ。

frog_merchandizing.jpg2005年、『Crazy Frog』フランチャイズは携帯着メロだけで$79M(7900万ドル)もの売上げを達成した。 左にあるのはマーチャンダイズ総売上高の見積もりだが、これなんか見ると本当にたった1本のヒットがどれだけのマネーを生むかが分かると思う。ざっと算盤弾いて考えてもみて欲しい。これだけの営業実績を出すスタートアップの名前を何社言えるだろう? きっと頭をボリボリ掻いてる方も多いのではないだろうか。

『Crazy Frog』がクレイジーなのは、その製作の背後に何一つマスタープランがなかったことだ。1997年、あるスウェーデン人のティーンエイジャーがツーストロークエンジンの真似をし、その自分の姿を撮影した動画をウェブにアップロードしたところ、噂がバイラルで広まり始める。2003年には別のスウェーデン人がこの『Crazy Frog』のキャラ扮するアニメを追加。その1年後、ドイツのJamba!という会社がサウンドとアニメーションの両方をライセンスしたのを皮切りに現象は一気に広まってセンセーションとなった。


Pixarをインキュベートする

第1級のアニメを製作する才能・創造性・ツール・技術を兼ね備えたアーティストなら無数にいる、それがShinarには分かっている。が、こうしたアーティストにないのは業界へのアクセスであり、ブレイクする(スケールする)能力だ。ある意味ではaniBoomが作ったのは、コスト効率の良い開発・製作ニーズと国際リソース(人材・情報源)を繋ぐ架け橋となる「デジタルのパイプライン」のようなものである。これまでaniBoomは世界70ヶ国以上の国々からアニメーター2000人をリクルートしてきた。このデジタル・パイプラインがあればこそaniBoomはオフの既存のアニメ製作プロセスより格段に速いペースでアニメの発掘・開発・テスト・製作・配給ができるというわけだ。もちろん段違いに安いコストで。

The Race for the White House』という作品を例にとってみよう。このシリーズは米国、ブルガリア、インド、クロアチア、イスラエルのクリエイターたちが製作を手掛けた。脚本書きと声優タレントは米人気番組『Late Show with David Letterman』の独白劇脚本家のヘッドであるGabe Abelsonが担当している。あと一つ、『Animal Nation』というタイトルの未公開のシリーズも見せてもらったが、 そちらはメキシコ出身のクリエーター一人が作った作品だ。彼の方からaniBoomにアイディアを売り込んできて、aniBoomがコンセプト、脚本書き、ミュージックなどの作業をサポートした。『Mr Coo』というシュールな動画も要チェックで、これはバルセロナ出身の22歳のアニメーターの作品だ(下にはっておこう)。

共同制作のシリーズの場合、aniBoomからクリエーターに支払う開発契約料は$20~25K(2万~2万5000ドル)。あとはテレビ配給を含む全プラットフォームから入る収入の30%がクリエーターに分配される。マーチャンダイジング事業のレベニューシェアは事案別に要交渉となる。2008年の今年、aniBoomが製作を予定している作品は共同制作シリーズ20編を下らない。

しかし、Shinarはまだ大ヒット第1号を探しあぐねている。AniBoomのサイトのユニークビジターは月たったの77万人。それでもShinarは数にはあまり拘っていない。トラフィックに憑り付かれ気味の2.0系CEOと違い、Shinarは即金の広告収入ポテンシャルよりもむしろ、aniBoomが抱えるコンテンツ保管庫のバリューを高めることしか頭にない。彼にとってはコンテンツがキングであって配給網は交換できる導管に過ぎない。それでも一応YouTube、Joost、YahooのようなところともaniBoomは配給契約を結んでいる。

『Crazy Frog』の歴史はここではとても重要だ。aniBoomはラッキーな偶然の連続を「売り込みから製作まで」の方法論に変形させようと頑張っている。1986年にスティーブ・ジョブズがピクサー(Pixar)を買収した当時は、まさかこれがアニメ業界のパワーハウスになろうなど誰も予見できなかったはず。ウェブでは企業育成のインキュベーション期の加速化が進んでおり、アニメのショートを放り込んで様子を見るのも簡単になった。星の並びが正しければ、aniBoomもアニメ業界でみるみる有望なプレーヤーになれるかもしれない。

でも何はさておきその前にカエルだ。カエルを探さなくては。

CrunchBase: aniBoom

[原文へ]

(翻訳:satomi)

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