2007年11月28日

Appleに“誤算”はあるのか

Erick Schonfeld

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fc-apple-cover.png「メリークリスマス、スティーブ。楽しみが続く今のうち、しっかり楽しんでおくことだ」―Fast Company12月号巻頭特集で、文責のAdam Penenbergはきっとこう言いたかったんだろう。(右の表紙カバーはAlex Ostroyが作ったジョブズの苦い顔のCGだ)。

彼が言うには今は「アップルにとって危ない局面」なのだという。株価は史上最高値に近い高水準で、P/Eレシオ(株価収益率)はグーグルとほぼ肩を並べる水準だ。ノキアからアマゾン、マイクロソフト、Vivendi Universal、NBCまでもがアップル失脚の機をうかがっている。アップルは来年iPhoneをさらに1000万台販売できるという。—この販売力こそが株価の伸びを支える有名な第3の脚だが、それも本当かどうかは来年になってみなければ分からない。Penenbergはこう書いている。:

でもよく見ると、アップル現象はテクノロジーと同じぐらいファッションの流行りのようなものなのだ。スティーブ・ジョブズはコンピュータ界のマーク・ジェイコブス(から“ヒロイン性”を引いた人)。そう言って彼の製品ハウスなら絶対どこの誰よりもクールなはずだからと、来るシーズンも来るシーズンも賭ける人もいるだろう。でも、ファッションはその定義からして「移ろうもの」なのだ。熱狂が引けば、みなさんが困るだろう。何年もこういうことは無かったが今になって初めて、アップルが誤りに陥りやすい状況にあることを示す兆候が出ている。ジョブズ信奉者の善意の貯蔵庫も底無しに大きいわけではないのだ。

携帯電話業界が一緒に反撃にかかることをアップルは懸念すべきだというのだが、そんなこと言ったら音楽産業、映画産業もそうだろうし、この主張についてはどうだろう。あらゆるコーナーから不平不満の声があがっているのは確かだが、それにしても証拠が足りない。例えばiTunesの懸念材料がサブスクリプションベースの楽曲サービスという話には笑ってしまう。 Rhapsodyですか? 頼むよ。あれも素晴らしいサービスだけど、iPod/iTunesのジャガノートにとってはビジネスの脅威でも何でもないだろう。アップルが心配しなきゃならないのはむしろ、最近続々と出ている広告入り無料楽曲サービスの方だ。

が、“iPod-iTunesペアは過去の所産であり二度と同じものは再生できないかも」という部分は僕も賛成だ。AppleTVはやはり失敗だった。 iTunesを最初始めた当時は音楽業界のエグゼキュティブたちも必死だったが、ハリウッドの重鎮たちのハードルを超えるのは容易ではないだろう。 Penenbergが書いた中で一番説得力のある意見は、どんどんオープンなものが求められる時代にあってアップルのクローズドな完全主義へのこだわりはもう流行らないかもしれない、という部分だ。:

アルバート・アインシュタインが知らなったことでスティーブ・ジョブズが知っているものは何か? アインシュタインは、クローズドなシステムはいずれ時が経てば停滞に至るという仮説を立てた。…ジョブズはアップルの次なる成長の波(アインシュタイン流に言うならエネルギー)が自製品・プラットフォームをライバルのそれに同期させること次第だ、という事実を受け入れなくてはならないのかもしれない。

収束と単純化の時代にあっては顧客もコンピュータ、電話、テレビ、楽曲のシステムが全部一緒に使えることを求めてくる。彼らにとって“オープン”であるということは特許情報やコンピュータコードを分け合うことではない。ポケットのフォンからフラットスクリーンで楽しむ映画まで互換性があってシームレスに楽しめる環境のことだ。…もちろん完全勝利は大変な難業だ。自システムという閉じられた空間で美しい機能性を実現することを意味するのかもしれない。消費者の潮流を左右するぐらい多くの人たち(クリティカル・マス)が喜んで入るような世界で、一度入ったら出たくなくなるような世界だ。

こうして読むと聞こえはいい。まあ、アップルがここまでこれたのはまさにこのクローズドワールドの戦略がうまく回った成果なのだけど…。デジタル端末産業にはジョブズのようなコントロール魔が一人必要で、本来あるべき姿で全て動いたら何が可能か残り全員に見せてやらなくては。オープンシステムは生来柔軟なので、そこは良いのだが、ともすると混沌となって管理が手に負えなくなる恐れもある。問題は他社がアップルに学んで追いつき追い越せるかどうかだ。仮にそれが起こった時には通り過ぎるパレードにスティーブ・ジョブズはただ加わるだけでは済まない。先頭に立って宗旨替えしたオープン信仰を声を大に叫んで回るだろう。

[原文へ]

(翻訳:satomi)

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