3G iPhone / iPhone App Store関連の話題はこちらからまとめてどうぞ!

2007年1月8日

バブル、バブル、バブル

Michael Arrington

7 comments »

append.gif この記事をBuzzurlにブックマークする

スタートアップが寂しくなり始めている。先週は3つの事業がTechCrunch DeadPool入りしてしまった(Raw SugarFilmLoopBrowster)。 去年の末にはGoogleまでこの機運に同じたようにGoogle Answersを停止させた。そしてフォーラムでは「次はどこだ」と言われ始めている。

もちろん、新しいベンチャー資金が流れ込む量は、DeadPool入りの何十倍もあることは明らかだ。2006年には$600M(6億ドル)かそこらがWeb 2.0系のスタートアップに投資された。そして大半のスタートアップは結局、失敗に終わるのだから、 コメント欄である読者が 「私は2007年はdeadpoolの年になると予測する」と書いたのはたぶん正しいだろう。

しかし、こういったことはわれわれがバブルの中にいるということを意味しない。私の見るところこれはまったく逆である。いくつかの失敗例が起きているのは、現状がバブルでないこと、プライベートなベンチャー市場が、状態を正常に戻すために時折ガス抜きのプロセスを行っていることを示すなによりの証拠だと思う。

Web 1.0の自爆

Web 1.0は2000年4月14日金曜日にNasdaqが株価総額で約10%を失ったとき、事実上終わりを告げた。2000年3月10日から4月17日にかけてNasdaqは同市場の総合指数5133.3ポイントと比較して株価総額の37%を失った。(その後さらに大きく下落する)。在来企業を代表するニューヨーク証券取引所に対して、当時Nasdaqは事実上Web 1.0企業のインデックスであり、そしてきわめて激しい打撃を受けた。

このバブル崩壊を招いた最大の問題のひとつが、多くの企業が株価を維持するだけの収益を得られなかったことだった。バブルの破裂直前、多くの上場企業の株価収益率は3桁にまでなっていた。現在の株価収益率は、例えば、Googleが62、Yahooが35、Microsoftは24である。

Web 2.0の現実

現在、インターネット企業に対して株式新規上場の道はほとんど閉ざされている。2005年8月、GoDaddyは株式公開前に有価証券届出書を取り下げた。株式公開については、NetSuiteが次の候補となっている。半年か1年くらいのうちにこれが実現するかどうか判明するだろう。

株式公開の道が閉ざされているのにはおそらく2つの理由がある。第1に、2000年に比べて、現在、法制上の情報開示要求がきわめて厳しくなっていることがあげられる。現在では公開企業となるための内部管理的コストはたいへん大きい。第2に、こちらのほうがより重要だが、公開市場は、前回のバブル期の失敗を教訓にしており、将来期待されるとされる漠然たる収入、収益の見通しを元に株式上場を許さなくなっている。「一度噛まれると、二度目からは怖がる」(*1)

そういうわけで、現在のほとんどスタートアップにとっては自社を換金する唯一の現実的な方法は企業買収である。いくつか話題となった大型のWeb 2.0企業買収もあったが(YouTube、MySpace、他)、1998-2000時代に比べれば、スタートアップ起業家もベンチャーキャピタリストも心中で期待する出口金額をずっと低いものに設定している。

バブルだ!

しかし、現在の新しい実態に照らしてみても、「資金ばかりが多過ぎて、良いアイディアが少なすぎる」という現象が起きているという意見がある。「誰かが良いアイディアを思いついても、Web 2.0世界の法則というのは、企業が自分のビジネスの優位性を守るために張り巡らした壁をかたっぱしから壊す方向に働いてしまう。」というのだ。 (Spark Capital のTodd DagresがWall Street Journal紙でこの説を主張している)。

そういうわけで、いくつかの事業が失敗すると、人々は安全な場所を求めて慌てて走り出す。

しかし、私は「Web 2.0事業は持続可能なビジネスになり得ない」という意見には賛成できない。いわゆる「ネットワーク効果」は現在でも、もっとも強力なインターネットでの成功要因だ。たとえば、ユーザーがDiggを利用するのはそれが優秀なソフトウェアだからではない。Diggが最初にローンチされたとき、ファウンダーのKevin Roseはシステム開発に2000ドルも使っていない。誰だろうとDigg のクローンを作ることはできるし、すでに作られたこともあるかもしれない。Diggは成功しているし、将来も成功を続けるだろうが、それはDiggが作り上げたコミュニティーの力によるものだ。人々がDiggに行くのは他の皆も行くからだ。新しいユーザーによる、ときおりの記事投稿や評価の投票も、すべてネットワーク全体の価値を高める。ネットワーク効果は、また、FacebookやYouTubeの成功の要因でもある。これらの成功した事業はどれも格別に面白いソフトウェアを持っていない。信じられないほどの価値をもつのは、そのコミュニティーである。これらのサービスはリードを保つために真剣に努力を続けていかねばならないだろうが、一方で、新規参入者が彼らに追いつくのはほとんど不可能だ。

私は「資金が多過ぎて、良いアイディアが少なすぎる」という考えにも同意しない。たしかに$3~$8M(300万~800万ドル)のシリーズAラウンドによる実験的試みはたくさん行われている。しかし大半はそれだけで終わって、フォローはない。ベンチャーキャピタルのビジネスモデルというのは、大半の試みが失敗に終わるようにできているのだ。投資案件の過半数は無駄になることが予期されている。ベンチャーキャピタリストは10の案件のうち、1、2件でも大きな見返りが得られればいいと考えている。ベンチャーキャピタリストにとって個々の案件は賭けであり、一つの賭けに失敗したら、頭を切り替えて資金を別の案件に向けるだけである。起業家も同様に次の事業に向かって進んでいく。かくして資金は効率的に配分され、全体としてシステムはうまく機能していく。

ガス抜きの効果

2006年には、事態が少々過熱している兆候が見られた。ベンチャーキャピタルに関する長期的な問題のひとつは、見込みのありそうな会社への投資から締め出されると、ライバルに投資する傾向である。その結果、良いアイディアにはどれも3つか4つのベンチャーファンドに支援されたスタートアップが存在することになった。これらのスタートアップは、どれか一つが臨界点となるユーザーを獲得して、ネットワーク効果が現れて〔決着がつくまで〕競争しなければならない。これが現在、オンラインスライドショーというようなニッチ市場で起きていることである。 Slide、FilmLoop、RockYou、Photobucketはすべてベンチャー資金によって支援されているが、どれも似たようなサービスだ。このうちFilmLoopはトラブルに見舞われているが、他の3つのサービスは激しい競争を続けている。

そういうわけで、あまりにも多くのレビューサイト (Yelp、Insider Pages、Riffs、Judy’s Book)、あまりにも多くのQ&Aサイト(Yahoo Answers、Live.com Q&A、Yedda、Answerbag、Askville、他)、 カスタマイズできるトップページ(Netvibes、Pageflakes、Google、Live.com)、等々がひしめきあうことになる。これらのサービスの大半は失敗し、いくつかは成功する。成功したスタートアップへの投資の見返りが、すべてのスタートアップに対する投資の総額より大きければよいわけだ。そういうことになれば、全体としてシステムは機能したといえる。

個々の事業が失敗するたびに、市場は反応し、調整される。ガス抜きが行われて物事は落ち着きを取り戻す。ベンチャーキャピタリストは泡くった投資を控える。投資対象となる企業が減らされる。会社価値の推定も下がる。そして均衡が回復する。

Web 1.0時代には企業は倒産しなかった。 (バブル破裂までは、ということだが)。企業は評価額を増加させることによってさらに多額の資金を調達し続けた。こうしたことは現在起きていない。ベンチャーキャピタルは、失敗したスタートアップが当然の運命を辿るのを容認している。現在の状況は1999年のように興奮させるものではないが、はるかに正気である。

したがって、スタートアップの失敗は、バブルがはじけそうになっていることを意味するのではなく、市場が正常に機能していることを意味するものだと思う。大半のスタートアップ企業は失敗する。しかし少数が成功すれば市場全体のエコシステムを健全に機能させるのに十分なのだ。

*1: Once bitten, twice shy. =「羹(アツモノ)に懲りて膾(ナマス)を吹く」

[原文へ]



PR
Ads by Overture

Trackbacks/Pings (Trackback URL)

  1. TechCrunch Japanese アーカイブ » Insider Pagesで大レイオフ
  2. TechCrunch Japanese アーカイブ » TechCrunch、週末のまとめ、レーザーポインター入り
  3. Welcome to BOL [Business On Line] » ʥꥫͥåȴȤϷ㤷äƤ롣
  4. TechCrunch Japanese アーカイブ » Farecast、さらに$12Mを調達
  5. TechCrunch Japanese アーカイブ » TechCrunch、FuckedCompany.comを買収する
  6. TechCrunch Japanese アーカイブ » バブル経済指標

Comments

このコメント欄の RSS フィード

  1. otaku

    スタートアップ!!Japanには実感し難いものでしょうね。

    どちらかといえば、囲みこむ性格が強いのがJapanの会社
    の性格みたいな、というかJapaneseの封建的な性格との
    相関が強いかな?

    個人のアイディアを支援するというより、現在のサービスに
    プラスαを加えよう!

    パイオニアスピリッツというよりはエクステンションスピリッツ!!

    ん~、井の中の何とか…