シカゴ商品取引所、アテンション先物取引サービスのROOTに出資
by Marshall Kirkpatrick 2006 年 9 月 18 日 append.gif この記事をBuzzurlにブックマークする

彼の経営するROOTChicago Board of Trade (CBOT=シカゴ商品取引所)から100万ドルの出資を受けたことを、ベンチャー起業家のSeth Goldsteinは、今日(米国時間9/15)発表した。シカゴ商品取引所は1848年に創立された商品先物取引市場。CBOTのCEO、Bernard W. DanがROOT社の取締役会に加わる。

ROOT はインターネット上で生じる消費者のリードを売買する商品取引市場。現時点では、住宅ローン提供会社への住宅ローンに関する消費者リードの売り手について品質評価基準を適用したサービスを行っている。

さらにずっと面白いのは、まだ実験段階のサービスだが、ROOT.netだ。これはアテンション情報(ブラウジング、検索履歴、さらにはそれ以上のデータも―この記事の下部に一部のスクリーンショットを載せてある)を管理するネット上のバーチャル保管庫だ。ROOTは将来、消費者が公開することを選択したアテンションデータを先物市場を通じて買い手に販売するサービスを提供することを考えているのだろう。たいへん実験的だが、たいへん興味深い。現在ROOT.netはまだ生まれたばかりだが、これがROOTのもっとも重要な部分になると思う。CBOTが投資したということ、CBOTのCEOが取締役として参加したということはアテンションデータというコンセプトに大きな信任がもたらされた証拠だろう。

ROOT.netで、ユーザーは非営利団体のAttentionTrustが配布するFirefoxプラグインを使ってキャプチャーしたアテンションデータを管理することができる。AttentionTrustもROOTのファウンダーGoldsteinが設立を助けた団体だ。このプラグインはアテンションデータをxmlファイルとしてローカルに記録することも、あるいはROOTを含め、いくつでも複数のサードパーティーサービスのサーバにアップロードすることもできる。ROOT.netのダッシュボードについては、この記事の最後の部分スクリーンショット参照。

この会社はおそらくROOTサービスで、ユーザーが公開を希望したアテンションデータへのアクセスを販売し、それに対してユーザーは収益の分配か、そのデータを購入した広告主からの割引、あるいは他の形で対価を得ることになるだろう。ROOTの場合、しかし、販売はリアルタイムではなく先物市場で行われることになるものと思われる。AttentioTrustのプラグインを使えば、ユーザーは自分のアテンションデータを記録し、ROOT Vaultに格納し管理することは既にできるようになっている。しかしROOT社はまだこれに対して何もしていない。ユーザーはアテンションデータの記録をいつでも停止することができる。下の画像でわかるとおり、ユーザーはこのサービスでいろいろなオプションを選択できる。たとえばwormと呼ばれるウィジェットを利用して好みのサイトをブログその他に表示できる。ウェブの利用履歴をこのようなツールで記録することができると、いろいろな利用の可能性が出てくる。そこでROOTはユーザーがこのデータを市場で売りに出す場合、有利な位置を占めている。

先物市場でアテンションデータを売買するというのはこういうことになると思われる。企業はコンパクトカーを買おうとしているカリフォルニのユーザー、あるいはこれこれの範囲の年収のアウトドアマニアのユーザーのアテンションデータに対する将来のアクセス権を購入するのために、現在金を払う。ユーザーが商品購入の準備のためにオンラインで取る行動履歴を広告のベースにするというアイディアだ。ユーザーは自分の行動に関する情報の一部を一定の利益と引き換えに公開するだろうというのだ。アテもなしにランダムに広告をばらまくのではなく、ユーザーの購入意図を知ったうえで狙いを定めた広告ができる。ユーザーはこれに対して金銭なり割引なりで代償を受け取るわけだ。

もちろんこういった分野でシステムが機能するためには多くの信用が蓄積されることが必要だ。しかし考えてみれば、われわれは今現金をベッドのマットレスの下に隠しておくようなことはしないで銀行に預けている。われわれのアテンションデータは、実はもうすでにいくつもの企業の手に渡っている。ただわれわれは現在これについてほとんど何のコントロールもできず、自分の利益になるように活用することもできない。

AOLがユーザーに無断で大量の検索内容を公開したときの騒ぎを覚えているだろうか。たいへんな危機だった。ユーザーにとって自分のデータに対するコントロールがいかに重要かを示す一例だ。もちろんある部分はプライベートにしておきたいが、もし利益になるなら多くのデータを信頼できる企業の手で利用してもらって構わないと考えるユーザーも多いはず。 ただどうやってこれを現実化できるかはまだ未知数だ。アテンション・エコノミー(Attention Economy)は映画マイノリティーレポート(Minority Report)みたいな事態をもたらすかもしれない。映画で主人公は消費履歴を不気味なほど詳しく知っているマーケティングシステムに追いかけられていた。しかしうまくいけば、アテンション・エコノミーは必要なときに必要なことを教えてくれる便利なサービスになるかもしれない。

将来、自分の公開アテンションデータをいろいろな付加価値サービスで自由に再利用できるようなサービスができることを期待している。そうなれば、コンピューターに向かい「Attentionについて僕が読んだ記事のなかから、このテーマについて最近コミュニケーションした5人のものでべストな記事を呼び出してくれ」といえるようになる。代わりに、このデータを市場で先物取引するというアイディアも、すごく納得のいく話であるとも思う。

これは、たいへん複雑で、たいへん実験的な試みである。もし「アテンションエコノミー」が今後、主要な提唱者の思惑どおりの方向に進むとしたら、今日のCBOTのROOTへの出資の発表はユーザーが自分自身に関する情報をコントロールしはじめた日、ユーザーのアテンションデータの価値についての認識が大きく広まった日として、歴史に記録されることになるだろう。

【日本語版補足】
アテンションデータ(attention data)についてはTechcrunchの記事リアルタイムで注目データを追うTouchstoneのAttention Dataも参照。

ROOTサイト自体にはどのようなシステムなのか詳しい説明は、Seth Goldsteinのブログhttp://majestic.typepad.com/seth/参照。非常に詳しい解説が掲載されている。

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コメント

すごい商品を取引しようとしていますね。目の付け所が違うというか、ものすごい発想ですね。アテンションの取引所ですか。すごいです。