マイクロソフト、AOL、Yahoo、Red Hatなど企業が全米国民電子IDカードを擁護するのは何故なのか?
by Michael Arrington 2007 年 9 月 29 日 append.gif この記事をBuzzurlにブックマークする

米国の電子IDカード法案「REAL ID Act」(2005年可決)は$17B(170億ドル)に値する規模のプライバシー・市民権上の悪夢である。これは全50州に標準化 IDおよび運転免許証の発行を義務付けるもの。幸いお役所仕事で実施は棚上げになっているが。議会はカード義務化を決め、国土安全保障省に戦略を言い渡し、運営費は全米の州に負担するよう勘定を任せた。

法案通過後もこのREAL ID Act推進の目立った動きはない。きっと予算の割り当てがないせいだろう。

7 つの州では新法施行を拒否する法案を、10の州では議会にこの問題の見直しを求める決議案をそれぞれ可決した。ACLU(*1)はReal Nightmare(本当の悪夢)というサイトを立ち上げ、法案(反対案)の動向を追跡している。ケイトー研究所情報政策研究ディレクターJim Harperは「Identity Crisis」という本の中で何故この法が我が国と国民に損害であるか説いている。下院 上院 には撤回を求める法案を議会に提出する動きもあるようだ。

(*1) ACLU:American Civil Liberties Union(全米市民的自由連合)米国国民の言論の自由を守ることを目的とした非営利団体

そんな中マイクロソフト、AOL、Yahoo、Red HatはじめITAA加盟の大手テクノロジー企業多数が政府に事業費の即刻計上および事業推進を求めているは何故なのか?

たぶん事業のテクノロジーとセキュリティー面の仕事は外注になるはずだから、この実入りの大きな公共事業の契約でガッポリ儲けたいのだろう。この事業の直接コストは推定$11B(110億ドル)、さらに国には $6B(60億ドル)の認証費用と機会費用がかかる。そしてその多くは結局、落札に加わるITAA加盟各社の懐に落ちることになる。

もし REAL ID Actが施行になればアメリカ市民は出生証明書、社会保障カードなど各種IDの書類を政府に提出してカードを交付してもらわなくてはならない。全情報はスキャンされ、各州1台の相互接続データベース計50台に入力される。ハッカーにとってこれ以上のターゲットはない。直接攻撃したり、DMV従業員になりすましてアクセスしたり。先の著者Jim Harperは今のID盗難の問題は、今後データベースがハックされる未来(ハックされた場合、ではなく)に比べたらまだ序の口だと書いている。昨日は ITTA問題にも触れ 、ACLUも今日(米国時間9/28)それに同調する記事を出している。

REAL ID Act施行には何十億ドルという大きな予算がかかるが、テロリストから国土を守る上では何の役にも立たない。システム構築・保守の大型契約を取る技術&セキュリティー関連各社は別として、こんな法は支援しても誰も何の得にもならないのだ。

政府予算のおこぼれに預りたいばかりに実際の顧客(われわれみんな)を省みず平身低頭する企業ほど、見ていて恥ずかしいものはない。

関連:
米国の電子IDカード法案「Real ID Act」,米上院でも可決:ITpro, 2005.05.
米上院、「Real ID Act」のための3億ドルの予算追加案を否決:Cnet, 2007.07.

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