アントレプレナー2.0
by Glenn Kelman on 2007年11月16日 append.gif この記事をBuzzurlにブックマークする

glennkelman.png本稿は不動産関連のスタートアップ企業Redfin社長兼CEOのGlen Kelmanのゲスト寄稿だ。氏はエンタープライズ用ポータルソフト市場を創出したセコイア出資の上場企業Plumtree Software共同ファウンダーも務めた人物。

「アメリカ人の人生に第二幕はない」、F. スコット・フィッツジェラルドはかつてこう言った。が、シリコンバレーはどこ吹く風。ニューヨークタイムズのGary Rivlin記者がPayPal共同創設者Max Levchinの紹介記事で書いたように連続起業家が七転び八起きで作る会社の数はかつてないほど増えている。ネットバブルの再来のWeb 2.0は、ある意味、こうしたアントレプレナー2.0たちの申し子なのである。-1990年代の成功で得た富を手に、休暇で羽を伸ばす間もなく起業に走る人たち。そして表にはベンチャーキャピタリストたちが資金を手に行列を成している-。

起業も2度目ともなると失敗の確率は下がるのかもしれない。ある調査結果では失敗率は82%から70%に下がるという。が、経験があるということは同時に成功の規模を狭めることにもつながる。その点には誰も気づいていないようだ。アマゾン、アップル、Dell、eBay、グーグル、マイクロソフト、オラクル、ヤフー…シリコンバレーの巨象はどこも30歳以下の若者が初挑戦で生んだ。Facebookに至ってはティーンが創業した会社だ。

とはいえ連続起業家と聞くとみんなつい骨抜きになって信用してしまう。セレブ起業家なるもの仕立て上げて。やっぱり運より才能、誰だってそう信じたいからね。で結局、「2度目の起業家は経験があるが故にベターどころか悪くなる場合がある、それは何故なのか?」という大事なポイントを見逃してしまうのだ。

例えば起業が2度目の人たちは自分の成功をそっくりそのまま再現したいと願うあまり、初心者なら当たり前に感じる問題も悪い方に悪い方に考えてしまう。最初の会社がどんなにすばらしかったか…そればかりに囚われ、何か別の新しいことを作り出そうとするより前の会社のコピーを作ることに全時間を注ぎ込んでしまったり、前のベンチャーからトップのチームを雇ってみたり、大きくなった期待に応えようと成長をがむしゃらに急いだり、肩に力が入ってしまう。最初の成功で忌憚のない意見を言ってくれる相手として頼りにしていたパートナーも抜きで進め、大体は三振アウトで自滅だ。

2度目も初心にかえって一生懸命がんばる…と言葉ではいくらでも言える。が、現実には起業家も2度目ともなると大体は初回スタートアップ当初の貧しかった時代を乗り切った厳しさと同レベルに気持ちを引き締めて取り組む人は稀だ。しようとも思わない人が大半だろう。私の友人なんて素晴らしいアイディアがあるというので昔の投資家から出資を募って、さっさと3週間のヨットの旅に出てしまった。その部下からはしょっちゅう「宇宙でゴルフしていますよ」という報告が耳に入ってくる。「宇宙でゴルフ」というのはモルタルの会社で何年働いたって一生賄えないような豪遊バケーションに出ていますよ、というキャッチフレーズだ。

だからといって呼びつけてガミガミ言う人間もいない。先週の木曜、3回起業を経験した企業家とパネル講演があった。彼はビジネスプランの是非を占う査定のひとつが資金集めのプロセスだ、と口でこそ言うが、今の会社はそんな初期の精査は一度も受けていないという。なんせ彼には経験があるから彼自身ターゲット顧客もよく分かんないんだけど、まあまあまあそれでも資本を募ることができた、と言うのだ。

投資家は経験を買う。が、私にはそれが正しいタイプの経験かどうかさえ分からない。これは自分自身のキャリアを振り返ってそう思うのだ。PayPalの起業家と同じで私も、第2のスタートアップを手がけた動機にはCEOになりたかった、という気持ちもあった。元々私はソフトウェア設計が得意なのだが、それはほどほどにして、人を動かすという自分自身誰にも一度も教わったことのないものを今は朝から晩までやっている。

そんな調子なので学んだはいいが役立たないこともある。僕が1997年に共同設立した企業の会長はしょっちゅうこぼしたものだ。「君には自分が分かってないことも分からないのか」。会社を興すことに関して言えば、この無知があるからこそ初心の企業家は大きく物事を考えることができる。自分の限界を知ってしまうと、せっかく手にした輝かしい評価を思って慎重になってしまうからね。

無論こう言ったところで別の会社を始める人は始める、何もそれをとめることはできないだろう。チャールズ・ディケンズはかつて自分の憂鬱をこう表現した。「まるで自分の中の子どもが泣き止まないようだ」。もっと良くなるはずの世界がそうならないことに対する起業家の不満は尽きることがない。そんな起業家の飽くなき不満を表現する言葉として私は、これ以上の言葉を知らない。

こう言ったところでおそらく二度目の起業家でも安全に利益を出す人は出すのだ。でも本当に素晴らしい結果を出すとなると…どうだろう。どんなに苦労して学んだことでも忘れてしまった方が良いこともあるのではないだろうか。

CrunchBase: Redfin

[原文へ]

(翻訳:satomi)

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