FilmLoop、投資家に裏切られる?
by Michael Arrington on 2007年2月14日

先月私は大規模なレイオフの噂に基づいてFilmLoopをTechCrunch DeadPoolに入れた。しかし話はそれで終わりでないのが明らかだった。この会社は従業員30人で、$11.5M(1150万ドル)の資本を調達しており、どう計算してみてもあと$3-$5M(300万ドルから500万ドル)は銀行にキャッシュが残っていたはずなのだ。Filmloopのサービスはこの分野のライバル、Slide、RockYou、Photobucket の後を追っている状態だったが、すっかり新しいプラットフォームを発表し、好意的な批評を受けていた。FilmLoopはこの分野のリーダーではなかったにしろ、追い詰められた状態ではまったくなかった。

やがて、同社に近い複数の情報源から次第に真相が漏れてきた。おおまかに時系列で出来事を追ってみよう。

  • 2005年1月: FilmLoop、$5.5M(550万ドル)をGarage Technology Ventures (Guy Kawasaki) とGlobespan Capital Partnersから調達。
  • 2006年5月: FilmLoop、$7M(700万ドル)をComVenturesから調達。Roland Van de Meerが取締役に就任。
  • 2006年10月: FilmLoop 2.0、ローンチ。 同社も投資家もFilmLoopの将来に楽観的な見通しを持つ。
  • 200611月: ComVentures、自身の有限責任パートナーからの圧力でポートフォリオの整理を迫られる。収益を生んでいない資産はすべて清算されると決定される。FilmLoopは年内に買い手を探すよう告げられる。FilmLoopのファウンダーたちは、成功の見通しは十分にあると思っていた、会社の売却には反対だと意思表示する。しかしComVenturesの持株比率に加えて、同社の持つある種の権利(「drag along 権」と呼ばれている)により、他の投資家もFilmloop社も売却を余儀なくされる。
  • 2006年12月: ComVenturesは出資先の一つ、FabrikにFilmloopの買収を提案する。年末までの2週間でFilmLoopは別の買収先を見つけることができなかった。FabrikはFilmLoopを銀行に残っているキャッシュ($3M 300万ドル)をわずかに上回る額で買収。清算時の残余財産分配に関する優先権の条項により、ファウンダー、従業員ともまったくの手ぶらで会社を追われる。

事実上ComVenturesはFilmLoopをFabrikに叩き売りにした。Fabrik自体は、たまたまComVenturesが投資している会社であったが、限られた時間内ではFabrikしか買収先が見つからなかった。FilmLoopのデスクトップやその他のソフトウェアは将来Fabrikの一般ユーザー向けストレージサービスで利用されることになるのだろう。
SimpleTechもFabrikに買収されたが、今日(米国時間1/12)、同社のサービスの一部もFabrikに提供されるという声明を発表した。

休暇シーズンを控えて、有利な買い手を見つけるのが不可能に近いにもかかわらず、かくも短い期間で、Fabrikへの売却を強制することにComVenturesが非常に強い動機をもっていたことは明らかである。同時に、この売却はComVentures以外のあらゆる関係者にとって最善の利益となるものでなかったことも明らかだ。FilmLoopのファウンダーも従業員も$3M(300万ドル)のキャッシュを銀行に持つ有望な会社に安心して身を託していた。ところが、次の日、彼らは株も職も会社も失ってしまったのだ。最低限でも、ComVenturesは買収の賛否を問う投票に加わるべきではなかった。

ベンチャーキャピタリストが今回のような振る舞いに出た場合、ファウンダーは信じがたいほど大きなプレッシャーの下で「事を荒立てない」よう行動することを強いられる。将来新しい会社を起こそうとしても、訴訟沙汰に巻き込まれていたらベンチャーファンドは出資を大いにためらうだろう。そのような評判を考えて、ファウンダーはされるがままになって去っていくのが普通だ。新規巻きなおしで新しいベンチャー企業をスタートさせ、その時は倫理的に問題のある投資家に出会わないことを願いながら。資金調達を考えているファウンダー諸君。FilmLoopの悲劇を教訓として注意を払いたまえ。状況が良いときだけでなく厳しくなってきたときにも支援を続けるという暗黙の契約をきちんとやり遂げてきた記録のあるベンチャーキャピタルとだけ取り引きをすることだ。ベンチャーキャピタルには、良貨を悪貨より優先して選ばなければならない義務はない。しかし、自分が出資している会社に有利になるように、別の有望なスタートアップを清算するというのは悪行である。また、ファウンダー諸氏は契約書にサインする前に「drag along」条項や清算時の残余財産分配優先条項を熟読することを忘れないよう。

私はこの件に関してComVenturesにコメントを求めるメールを送っておいた。

アップデート: ComVenturesからの直接の回答はまだ受け取っていないが、同社のパートナー、Baris Karadoganはコメント欄に コメントを残している

アップデート: VentureBeatもこの話題を追っており、ComVenturesからのコメントもあり。

[原文へ]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/reckoning-day-for-venture-capitalists/ TechCrunch Japanese アーカイブ » ベンチャーキャピタリストが清算を迫られる?

    [...] ベンチャーキャピタリストの一部は決断が速く、コミュニケーションが明快で、投資先にはフェアな扱いをし、関係者すべてが満足するようにスタートアップを導いていく。しかしそうでない者もいるし、われわれに妙な (友好的だが) 文句を言ってくる者もいる。新しくできたTheFundedというサイトはベンチャーキャピタリストが起業家をどう扱っているか、情報を公開することで起業家の立場を多少なりと有利にしようという試みだ。すでに多数のベンチャーファンド(3,529のファンドの6,559人の関係者)の情報を掲載したデータベースが構築されており、ベンチャーファンドと直接に接触した際の感想と評価を投稿するようユーザーに呼びかけている。投稿や評価に対して他のユーザーはさらに賛成や反対などのコメントをつけることができる。その結果はハッピーな体験やホラーストーリーに加えて、それぞれのファンドについて、5つのカテゴりーで1から5までの評価となる。このサイトは「レーダーの下を飛んで」いる状態で、メンバーも39人しか登録されていないので投稿はまだあまりない。例としては Menlo Venturesが総合評価で5点満点の2.8を取っている。コメントが2つ残されており、一つが肯定的、一つが否定的なもの。(おもしろいことに肯定的評価は、投資を拒絶された起業家からのものだ)。このサービスはメンバー登録が必要。登録すると投稿や評価ができるだけでなく、他のユーザーの投稿の多くを閲覧することができるようになる。(登録ユーザー外に一般公開される投稿は一部しかない)。将来は既存ユーザーからの招待がなければ登録できない「招待制」に移行する計画という。またある程度の身元確認の手段も取り入れるとしている。ベンチャーキャピタリスト自身はメンバーになれない。メンバーになろうとする際には、所属する組織と経歴のページへのリンクを示す必要がある。これは面白いサービスだと思ったが、TheFundedについて私にはいくつか疑問がある。一つは、投資を申し込んだスタートアップの大部分は断られるわけだから、起業家側からはどうしてもネガティブなコメントが出る傾向があるわけで、読者はその点を考慮に入れておく必要がある。しかしもちろん、ベンチャーファンドが投資を断る場合に起業家を正当に扱ったかどうかは重要な問題であり、その点のフィードバックが得られることは貴重だ。投稿フォームに「投資を受けた/断られた」というチェックボックスを設けておくと、読者が状況をつかむ助けになると思う。このサイトは、ある種プライベートなクラブ的で、匿名ではないので、われわれが最近人物評価サイトGorbについて書いたような問題の多くは解消されるかもしれない。しかし現在TheFundedでの大きな問題はベンチャーキャピタリストの名簿をメールアドレス、電話番号入りで公開していることだ。これは不快きわまる、プライバシー侵害の名簿屋サイトJigsawの例を思い出させる。削除するか、少なくともメンバー限定で公開すべきだろう。金がめまぐるしく流れるこの業界では、良いアイディアの場合、複数のベンチャーキャピタルから選択できるケースが多い。TheFundedは、起業家がどのベンチャーファンドから資金の提供を受けるか決める際の情報源のひとつとして役に立つと思う。[原文へ] thefunded [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/js-kit-web-2-for-lazy-people/ TechCrunch Japanese アーカイブ » JS-Kit: ナマケ者のためのWeb 2.0

    [...] JS-Kitのことを最初に書いたのは去年の11月で、JavaScriptさえ使えればどこのサイトにでもコメントを付けられるようになる簡単な埋め込みコードを紹介した。 あれ以来、JS-Kitではさらにウィジェットが開発され、サイトにユーザーとの対話を加えることが実に簡単(ウィジェット1つにつきコード2行)になった。さらに、JS-Kitはワンマンショウから一人前の会社へと成長し、エンジニア12人のうち5人が(今年閉鎖された)Filmloopから来ている。それ以来、2週間に1度のペースで新しいウィジェットが作られている。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/serious-drama-as-knockatv-shuts-down/ TechCrunch Japanese アーカイブ » KnockaTVの操業停止で深刻なドラマが

    [...] 2007年初めのFilmLoopの強制的な合併以降、創設者と投資家間のこれほどのドラマを目にしたことはなかった。今日(米国2/14)の前の記事で私はイスラエルのスタートアップKnockaTVがデッドプール行きに向かっていると書いた。どうやら賃金が支払われないらしい従業員は、少なくとも未払い賃金の一部を得るため、会社に清算を迫っている。 [...]