
インターネットは時空を超えるー。Googleをはじめ、facebook、Twitter、Ustream・・・様々なウェブサービスが地球上のどこかで生まれ、様々な国で使われている。しかも世界を駆ける彼らのスピードは恐ろしく速い。facebookの創業は2004年、TwitterやUstreamは2006年。大体5、6年で世界的な展開を行っている。日本ではTechCrunch 50に参加している頓智・やLIFEmeeなどが最初から国内だけでなく世界的な展開を考えて活動している例だろう。彼らは小さな体でどのようにしてエリアを拡大させるのだろうか?ここに一つの事例を紹介したい。
ドイツのJimdoはウェブサイトを簡単に創り出すオンラインウェブサイトクリエイターを提供するスタートアップで、2007年が創業だ。驚くべきは対応エリアで、既に対応言語が世界8ヶ国、2009年からはKDDIウェブコミュニケーションズと提携し、日本での展開も開始している。
「最初に話を持ちかけたのは日本側です。そもそも彼らは日本をマーケットとしてまったくみていませんでした。」そう語るのはJimdoの日本国担当、KDDIウェブコミュニケーションズの高畑氏。数多くあるCMSの中で、彼らがJimdoを選んだ理由は「日本にないサービスだったから」だそうだ。オンラインウェブサイトクリエイターはCMSとブログの丁度中間を担うようなサービスで、同様のサービスを提供するweebly、Yolaなどと激しい戦いを繰り広げている。コンセプトについてはビデオをご覧頂きたい。
「中国はその当時既にローンチしていて、日本語版は一番最後。しかもその他の言語対応は現地に法人があるわけではなく、すべてドイツのオフィスにいて、ドイツ語、英語、各国語の可能なトリリンガル担当者がいるだけでした。ただ、アジアだけはやはり分からないことが多く、中国と日本だけはそれぞれに提携先をもっているという状況です。」と同氏。現地に法人をつくるということではなく、多国語対応が可能なサポートさえできれば世界展開が可能、という考え方はヨーロッパなど、多民族国家独特のものかも、とも。
「彼らとの交渉は一日。独占の契約には難色を示したが、しっかり話をすることで理解を得られた。」高畑氏とJimdoのメンバーは同年代ということもあったが、やはりスピードが命のスタートアップ。こういうチャンスに対して、株主の了承を含め、即日に回答したことは大きい。
ただ、一方でデメリットもある。そう、デッドプール入り、つまり廃業した時のことだ。「社内でも大分検討しました。結局”たられば”の話なのでリスクとして許容することにしました。」その他も細かい経理上のやり取りに時間がかかったり、リリース時のバグがあったりと問題もあるが、「それを上回る驚きを与えてくれる」ことが、彼らとの関係を良好に保ってくれているそうだ。
エリアでの独自展開については「なくてはならない(= Must have)アイテムとあったらいいな(= Nice to have)の視点で考えている」そうだ。例えば日本であれば「モバイルへの対応」や「販売マーケティング」というものは日本独自でなければいけない要素となる。
一方、今年に入って新しくリリースした「ドラッグアンドドロップ」などの機能追加は世界共通のものだそうだ。しかも、このアイデアはJimdoの全体ミーティングで生まれたもので「ドラッグアンドドロップはスカイプでこんなのできたらいいよね、というコミュニケーションの中で生まれたもの。前回のミーティングでも日本が出した提案にフランスが同意したり。ベーシックな内容になればなるほど独自の展開は不要なのかもしれないですね。」と、ローカライズの現場を語ってくれた。
ビジネスについてはどうだろうか。「彼らとのビジネスは売上のシェア。最初に契約する際のライセンスフィーなどそういったものはありませんでした。」日本の大手通信会社と提携することになったJimdoがまず、期待出来るはずの目先の売上よりも日本というマーケットの拡大を選択したという事実は大変興味深い。
「今後の展開は売上の拡大という視点は勿論ですが、それよりもJimdoによるファン層の拡大を模索しています。例えば現在、Jimdoを広げてくれるエバンジェリストなどの活動を通じてB2Bのバイラルマーケティングを試みたりしています。」世界的にもJimdoサポーターズという制度があり、サービスを支える一つの力となっているそうだ。
