
業務効率の改善は経営者やマネジメント層にとって永遠の課題だ。特に小〜中規模ビジネスではその重要性はわかりつつも、投資コスト、費用効果の面から大企業が採用するようなシステムの採用は難しいことが多い。このニーズを狙ったウェブサービスが京都のクエステトラが提供する「Questetra BPM Suite SaaS Edition」だ。そして今日、同サービスがそのAPIを公開することを発表した。
彼らは業務効率の改善に必要なビジネス・プロセスの作成から従業員のタスク管理までを、ウェブベースで実行できるSaaS型サービスを提供している。また、クライアントをインストールするダウンロード版は2009年1月からの集計で日本語版が3500本、英語版が6500本程ダウンロードされており、170の国と地域で利用されているそうだ。同サービスの詳しい仕組みやビジネス・プロセス・マネジメントについては前回の記事で書かれているので参考にされたい。
今回のAPI公開の理由、それはもちろん「カスタマイズ」だ。世の中には星の数ほどの「業務」が存在する。SaaS型サービスというものはいわゆる「最大公約数」をとって、誰でも使える汎用のサービスを低コストかつスピーディーに提供するかわりに、何かに特化したカスタマイズには弱いという特徴がある。API公開はそのデメリットをカバーし、さらに開発パートナーを募ることで多種多様なビジネスに対応することが狙いだ。

例えばインテリアショップを想定してみよう。彼らの仕事は当然顧客に対してインテリアの提案をし、商材を販売することだ。プロセスを考えると、店頭で顧客からの相談を受け付けて商品を決定、在庫の確認や注文書の作成、値引きなどが発生する場合はマネージャーと相談することも必要になる。決定された事項をマネジメント層にチェックしてもらい、最終的にメーカーへ発注し、顧客のもとへ納品する。
この一連の流れで事業内容を問わず比較的「最大公約数」が取りやすいのが注文書の作成やマネージャーとの承認プロセスだろう。実際、Questetra BPM Suiteでもよく使われているプロセスは「見積りと注文」だそうだ。一方、店頭で顧客からの相談を受けて商品を決定する、というプロセスはインテリアショップとカーディーラーでは内容も全く違う。ここで今回のようなAPIの公開が効果的な役割を果たしてくれることになるだろう。
例えばiPadを使ったインテリアカタログを使ってビジュアル的に提案し、その場で在庫をチェックして注文書を作成、承認プロセスに流す、といったことが可能になる。当然、承認プロセスからはウェブベースでの処理が可能なので新たにシステムを作る必要はない。承認プロセスについても簡単なスマートフォン対応アプリを作ることで、いつでもどこでも内容をチェックして、スピード効率をあげるということも考えられるかもしれない。
iPhoneのようなスマートフォンやiPadのようなタブレット型端末は、電話やウェブブラウズのためだけでなく、業務用としての可能性も大いにある。例えばJack DorseyのSquareはiPadをレジにしてしまったが、スモールビジネスにとって使い勝手のよさそうなソリューションだ。今回のAPI公開がこのようなビジネス活用のスピードを上げてくれるかもしれない。

※画面は業務用向けiPadアプリ(見積り)のイメージ
同様のサービスを提供するSalesforce.comのVisual Process Managerや、SAPのソリューション、Appian、intalioなどのプレーヤーもそれぞれの方法でカスタマイズが可能ではあるが「新たに公開されるAPIは、TwitterライクなHTTP通信なのでJSONや一般的なXMLでのデータ通信を行える。開発自体の敷居が低い」(クエステトラ 代表執行役CEO今村 元一氏)点が差別化のポイント。APIのドキュメントは現在クローズドでいくつかのビジネスパートナーに提供し、2010年9月に全面公開となるそうだ。
