この4月に開催したTECLOSIONで見事優勝に輝いたWondershakeを覚えているだろうか? 22歳の鈴木仁士氏ひきいるチームによるプロダクトがいよいよ本日まもなくリリースされる。WondershakeはデジタルガレージやネットプライスらによるOpen Network LabのSeed Accelaratorの2期生でもあり、最終発表会でも優勝している。
とこれだけ期待感を持たせながらなかなかリリースされなかったWondershakeだが、実際のプロダクトとしてやっと登場することになる。WondershakeはiPhoneアプリで、人・場所・興味の3軸でコミュニケーションを活性化させるツールだ。僕が鈴木氏と以前に話をしていていちばんしっくりしたWondershakeの利用シーンは、大学などの講義での教室や学食といった場面でのものだ。たとえば、同じ講義を受けているのになかなか知り合わない人もいる。そもそもわざわざ声すらかける動機がないかもしれない。ただ、そのときに、あらかじめ、どんなことに興味を持っている人かがわかっていれば、その相手に話もかけやすい。そうやって、同じ場所にいる人同士が、仲良くなるきかっけるをつくるのがWondershakeというわけだ。
もちろん、大学を卒業して時間が経った僕らでも十分使う場面はある。たとえば、イベント会場で人になかなか声をかけずらい場面もあるだろうが、そんなときには大活躍するかもしれない。ある場所で、誰かと知り合うためのツールなので、ほかにもいろんな使い方があるだろう。
使い方はいたってシンプルだ。WondershakeはユーザーのプロフィールについてはFacebookからの情報を利用することになる。なので、Facebookを利用していることが条件になるのだが(これもいずれTwitterなどには対応したいとのことだ)、Facebookの「いいね」をした情報を「tag」という形でユーザーの興味を示している。
そして、ある場所やイベント会場で「Shake」すると、その場所にいる人たちが表示されることになる。個別にそのなかから直接一人にコンタクトをとってもいいし、同じ場所にいて同じ興味を持つ人同士でチャットもできるようになっている。このチャットをする部分が「Party」というモードなのだが、これが面白いのはチャットした内容が12時間しか情報がiPhone上に残されないということだ(サーバー上には残っている)。つまり、場所にという制約に加えて、時間も重要視していて、その場所でその時間にいた人同士だけがコミュニケーションをとることを重視しているわけだ。
加えて、この今回のリリース方法も面白いことがある。Wondershake自体は完全に英語版として開発されいていて、インターフェイスも幾分とっつきにくいところもある。これは北米でのリリースを中心に考えていたからなのだろうけれど、今回、最初にリリースするのは日本からだという。しかも使えるエリアは東京の渋谷周辺だけに絞っている。アプリとしてダウンロードはできるが、実際に「Shake」できたりするのは渋谷周辺というわけだ。これはアプリケーションを使いこなす先端的なユーザーに的を絞って、密度の濃い狭い場所で利用してもらいたいからだということだ。
限定されている小さなエリアだからこそコミュニケーションの密度があがるという算段があるようだ。
ところでWondershakeは成功するのだろうか? これはずっと僕の周りで質問され続けてきたことだ。リリースもされていないのにそれだけ話題になるのは、このアプリの注目度が高い証拠だが、その答えは現時点では「わからない」としか答えられない。僕はこのアプリをすでに実験的に利用はしてみたものの、ユーザーの数も少なくて、Wondershakeによって誰かと出会うということはなかった。つまりは、これ自体を楽しむというところまでは行っていない。正直言えば、スマートフォンでのコミュニケーションツールも数多くあるし、ユーザーも移り気なので、Wondershakeが決定打になるのかどうかはわからないが、まずは新しいツールには、新しい使い方があるのではないかと思っていて、それがどのように形成されるのかを見守りたいと思っている。
さて、といろいろと話題のWondershakeだが、実はこのチームはまだ会社化されていないことを付け加えておくとともに(現在資金調達と会社を並行して行っている)、彼らはこの夏にこのアプリを持って8月以降にはサンフランシスコとニューヨークで展開していこうという目論見を持っていることを付記しておこう。きっと現地での起業の計画とともに、大学などでの地道なプロモーション活動もしてくるのだろう。うまいくことを期待したいところだ。


