サイボウズはグループウェアのソフトウェアを販売する企業としてのイメージが強いが、今日、彼らは正式に自社のクラウド化事業について記者向けの発表会で披露した。cybozu.comはサイボウズのクラウドプラットフォームのブランドネームで、実際のサービスを提供するドメイン名だが、一から自社開発したクラウドのプラットフォームで、これも新たに開発したクラウドベースのサイボウズOfficeやサイボウズガルーンと今日から正式に一般公開された業務アプリケーション構築のkintoneをまずは提供する。
サイボウズはここ最近業績、特に売上が以前よりも低迷しているが、どうやら今後は自社でクラウド基盤を構築し、その上で自社の主力製品を提供することで、クラウド事業にシフトしていこうとしているようだ。
觔斗雲を語源とするという新しいサービスのkintoneからまずは解説していこう。kintoneはサイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏が言うには「ファスト」システムなのだという。データベースと連携してコーディングすることなくウェブのフォームで入力するアプリケーションを素早く作るために提供するものだという。ウェブのフォームをインターフェイスとしたものであれば比較的なんでも作れるようだ。たとえば、アンケートシステムや契約書管理システム、営業案件管理システム、売上集計システムなどをすぐに作れるのだという。もちろんデータの集計や検索、変更履歴の保持などもある。データの検索機能では、添付されたファイルの中身まで検索できることをアピールしていた。
単純にデータベースでアプリケーションを作るだけでなく、そのアプリケーションにはプロセス管理やコミュニケーションの機能も備えているのだという。料金は1ユーザーあたり月額880円で無償のお試し利用も可能である。ライバルと目されるSalesforceのforce.comと比べてはるかに安く設定されている(force.comはエンタープライズエディションで1人月額6,000円)。
cybozu.comはこういったkintoneやサイボウズofficeなどのアプリケーションを提供するだけでなく、ユーザー管理のシステムも提供している。企業に応じた独自のログイン画面とユーザー管理の画面を提供し、企業ごとにアクセス制限などができるようにしている。たとえば、特定のIPアドレス以外のアクセスを排除したり、Basic認証を設けてログイン画面にアクセスすることを排除することもできる。あるいは、有料のオプション料金がかかるが、ユーザーにクライアント証明書を発行して、それをモバイル機器にインストールすることで、インストールされた端末のみがアクセスできるようにも設定できるようだ。これは誰もがみな同じURLで同一画面からログインするsalesforce.comと比較すると、企業ごとにサブドメインを提供してそれぞれ異なるログイン画面を提供しているcybouzu.comのほうが、不正なアクセスを誘導できるsalesforce.comよりもセキュリティが確保されているのだと青野氏は語っている。たしかにそれは一理ある。
11月下旬に提供されるというcybozu.comの価格は、さきほどのkintone以外だだと、サイボウズofficeが1ユーザーあたり月額500円(プレミアムは650円)、そのほかセキュアアクセスが1ユーザーあたり250円、メールサーバーが同じく150円(単体利用であれば300円)となっている。
このクラウド事業がサイボウズの業績を根底から変えるのかは未知数であるが、青野氏が言うには既存のサイボウズのユーザーが400万人でそれ以外にもグループウェアを使うユーザーが1,000万人いることを考えると、cybozu.comに乗り換えの市場は大きいと見ている。これらを3年かけて移行させていきたいということだ。なお、cybozu.comは当初から日英中の国際化対応をしていて、海外市場への進出も視野に入れている。

