Kindle: まずは触ってみた
by Erick Schonfeld on 2007年11月20日

kindle-blogs.JPGAmazon Kindleのプレス会見(今日ライブブログをお届けした)の参加者全員が、この電子ブックリーダーを1台づつもらった。Jeff Bezosのインタビューを待つ間に、いろいろといじってみた。私の第一印象は以下のとおり。

FCCの写真で見たほどにはださくないが、たしかに不思議なレトロ感がある。1970年台最先端の特大電卓を思わせる。本物の本よりもずっと軽くて持ちやすい。裏側の大きなグレイのパネルがバッテリーのカバーになっていて、SDカードメモリのスロットはラバー仕上げで、そこに古代からのさまざまなアルファベットの文字や記号が刻まれていて、初めて文字が書かれた書字板をさりげなくあしらっている。

画面の文字以外はすべて白色で、これはデバイスが周囲に「溶け込んで」画面の文字以外のものに気を取られないため、ということなのだろうが、オリジナルiPodの白の後追いのようでもある。Kindleは言うなれば「本のiPod」で、Amazonのオンライン書店がiTunesの役割を果たす。

Kindleを使うには少々慣れが必要だ。テックオタクにアピールするつもりなのか、活字中毒者向けなのかわからない。多分後者なのだろう(以前の記事でのBezosの話参照)。両者が相応れないというわけではないが、このデバイスは読読体験を新しくしようというものであって、オンライン読者にとって当たり前のことをたくさん盛り込んだものではない。それが欠点になるのかもしれない。本にメモを書き込んだり、マーカーで塗ったりできるのだが、それを誰かと共有することは決して簡単ではない。あと、Amazonアカウントを共有しているのでない限り、誰かにこの電子ブックを貸すのは諦めた方がいい。デジタル著作権管理システム(DRM)によってデバイスの貸し借りは禁止されている。

画面は驚くほど読みやすい、ただし灯りは必要(ふつうの本と同じ)。ふつうのコンピュータの画面ではなく、モノクロのE-Ink画面だ。スクロールホイールで、画面右端のデジタルバーを上下されることができる。これがブラウザの右側にあるナビゲーションスクロールバーと同じかと思ったのだが、実際にはページをめくることはできない。そのためには「Next Page」と「Previous Page」ボタンを押さなくてはいけない。これにはちょっとイライラした(しかも、単にスクロールするよりも遅い)。さらに、この「Next Page」ボタンが左右両方にあって無駄に感じる。携帯電話などのソフトキーのようにカスタマイズすることもできない。

キーボードのレスポンスは私の指についてこない(CrunchGearのPeter Haも同じ意見)。タイプした文字が画面に表れるまで、かなり待たされる。かなり、といってもミリ秒単位のことだが、それても遅れは明らかだ。少なくとも私は、デバイスがキー入力を認識する早さ以上に入力することはできない。本来、読むための機械ではあるが、ウェブを見たり、メモやコメントも書けるのだからタイプする場面はあるはずだ。

このデバイスのよいところは、電子ブックを買ってから読むまでがスムーズなことだ。Amazonの本や、電子新聞、電子雑誌、ブログの有料購読などをデバイスから直接買うことができる。デバイスにはSprint EVDOカードが内蔵されている(WiFiはない)。AmazonはEVDOのデータアクセス権をSprintから卸して、Kindleと共にWhisperNetとして再販している。つまり高速データ通信がデバイスに「無料」でついてくる。おかげで、何を買うのも購読するのもスムーズだ。この部分は実にうまくいっている。

しかしこのためにAmazonは前金でかなりの負担を強いられているはずだ。私のSprint EVDOのデータプランは月額$60。これは消費者価格。もちろん、Amazonははるかに安く交渉できたはず。それでも、Kindle 1台につき月に$10だとしても、この通信費を回収するためだけに本の10冊も売らなくてはならない。おそらく、もっといい条件なのだろう、何しろこのデバイスは「ダウンロードして読む」という使い方であって、常時接続するものではないから。結局Kindleは大してバンド幅を使わないことになるのかもしれない。みんなが毎日新しく本をダウンロードするとは思えない。Amazonが月額$1で契約できているとすれば話はわかる。それなら客1人当たり本が1~2冊売れれば年間のワイヤレス通信料をカバーできる。Amazonは、ワイヤレス通信にいくら払っているかについては何も語っていない。デバイス単位でSprintに支払うのだとすれば、Kndleがバカ売れしない限り問題ではない。

電子ブックリーダーのほかに、実験的な機能がいくつか付いている。ひとつが、このテバイス用にカスタマイズされた限定版ブラウザーで、あらかじめAmazon.com(本ではなくデジカメが欲しければ、Kindleショッピングページのトップから買うことができる)、Wikipedia、Google、BBC News、Yahoo Finance、Weather Underground、Yellow Pagesなどがブックマークされている。

BloglinesなどのURLも自由に入力できる(ただし、Google ReaderにはJavascriptが必要で、Kindleのブラウザーがサポートしていないのでダメ)。ちょっとKindleをハックしてみた。New York TimesのRSSフィードや、TechCrunchなどのブログのフルフィードをこのブラウザーで無料で読むことができる。購読料を払ってダウンロードしなくてもよい。Kindleがどこかのパブリッシャーに購読料をもたらすことには大きな期待はできない。

それでも、こうして使えるウェブブラウザーが付いているということは、購読したフィードの中のリンクをたどれるということだ。さらに重要なのは、本の著者にリンクするという世界が広がること。これから本には引用文献だけでなく、リンクを付けることができる。電子ブックの形式を活かせる著者が、興味を持った読者のためのハイパーリンクを入れるようになれば、書籍全般としてウェブの文化と密接にかかわってくる可能性がででくる。本を読む、という行為が最終章では終らなくなる。むしろ、ウェブの情報の世界全体への入口にもなることができる、今のブログやオンラインニュースと同じように。

もうひとつクールな実験が「Ask Kindle NowNow」[今すぐKindleに聞け] 。どんなことでも質問すれば、人間の研究者が答えてくれる。これは、AmazonのMechanical Turkというサービスを利用している。「Kindleについて最初に書いた人は誰ですか」と聞いてみたところ、数分後の回答で、2007年9月11日のEngadgetの記事が「早い記事」として紹介された。この記事はたしかにKindleのGoogle検索で上位にでてくるが、New York Timesがこの記事を9月5日に載せている(これも初めてKindleのことを書いた記事ではないかもしれない)。というわけでNowNowはいい線は行っているが、ベストの回答はくれなかった。しかし、タダにこれ以上何を望もうか。

Kindleは電子ブック分野にとって間違いなく一歩前進だ。ただし、今年のクリスマスでの大ヒットは期待できない。これはAmazonの長期戦略だ。現物の本を郵送しなくてすむためなら、どんなものでもするし、デジタル販売のマージンはおいしすぎる。デバイスの話ではない。デジタルブックをネットに流すことだ。今後、新しいKindleがでてきることは間違いない。そして、この1号機にはすぐに古風な趣を感じるようになるだろう、あの初代のデカイiPodと同じように。

CrunchBase:Amazon

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)

  • http://jp.techcrunch.com/archives/kindle-images-and-video/ TechCrunch Japanese アーカイブ » Kindleの画像とビデオ

    [...] 私はAmazonのKindleを買った。サンクスギビング(11月22日)までには届くはず。私はデザインをからかったが、最終的な評価は実際に手に取ってみるまでお預けにしておこう。Amazonは上に掲載したビデオと画像を製品紹介サイトのトップページに掲載している。ちょっと前に流された最初の画像よりずっとマシだが、それでもえらくダサい。(日本語版注:本家コメント欄に「ビデオが見えない」という投稿が複数あり。)[原文へ](翻訳:Namekawa, U) Amazon kindle [...]

  • http://bolinc.net/?p=1005

    [...] 饤κǤ礭ʥåȤȤơ󥯤ĥȤȤ롣ΤȤTechCruchErick Schonfeld᤬äŦƤץå ƻȤ륦֥֥饦դƤȤȤϡɤեɤΥ󥯤򤿤ɤȤȤ˽פʤΤϡܤԤ˥󥯤Ȥ뤳ȡ줫ܤˤϰʸǤʤ󥯤դ뤳ȤǤ롣Żҥ֥åη褫Ԥ̣äɼԤΤΥϥѡ󥯤褦ˤʤС̤Ȥƥ֤ʸ̩ܤˤäƤǽǤǤ롣ܤɤࡢȤ԰٤ǽϤǤϽʤʤ롣ष֤ξΤؤˤʤ뤳ȤǤ롢Υ֥䥪饤˥塼Ʊ褦ˡ [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/kindle-web-browsing-experience-is-horrible/ TechCrunch Japanese アーカイブ » Kindleのブラウザーはかなりひどい

    [...] きのう(米国時間11/21)サンフランシスコのOrangeのパーティーでRobert Scobleに会った(パーティーの写真はここ)。RobertがAmazon Kindleを持ってきて、みんなに触らせてくれた。私が手にするのは初めて。Kindleは買ってあるのだが、まだ届いていなくて、副編集長のErickがNew Yorkでの発表の記事を書いている。ともあれ、彼は私がKindleの感想(ダメ出し)を述べているところをビデオに録ってくれた。問題はUIがまるっきり直観的でなく、画面はちょっと暗いところでは読めないこと(部屋はビデオで見るよりもずっと明るくて、ふつうの本なら十分に読める)。私は、ブラウザーを立ち上げてウェブを見ようとしたのだが、どうやればいいのかわからなかった。etch-a-sketchに負けていると思う。Robertに頼んでTechCrunchを開いてもらった。初めにやった時にあまりに時間がかかったので、ビデオに録らせてくれるよう頼んだ。OKがでたのでもう一度やってみたところ、ブラウザーを立ち上げて、TechCrunchのURLをタイプするまでに55秒かかった。次に私がiPhoneで同じことをやったら14秒だった。ウェブを見ることはKindleのメインではないので少し気の毒ではある。しかし、iPhoneのブラウザーだってメイン機能ではない。単にAmazonがいいデバイスを作らなかった(ユーザーインターフェースもキーボードも画面もみんなダメ)だけのことで、ちゃんと作る時間はいくらでもあったはずだ。バージョン2が、よくなっていることを期待しよう。ただし、これは私がほんの数分使っただけの感想で、ビールも何杯か飲んでいた。Don MacAskillは、Kingleを1日使ってのレビューにすばらしいと書いている。そうなのかもしれないが、私はそれでもetch-a-sketchの方が総合的にみてもって便利でよくできたデバイスだと思う、圧倒的に。[原文へ](翻訳:Nob Takahashi) Amazon kindle [...]

  • http://www.slack77.net/2007/11/24/142/ KINDLE

    [...] techcrunch  [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/sold-out-kindles-going-for-1000-on-ebay/ TechCrunch Japanese アーカイブ » アマゾンKindle完売、eBayで1500ドルまで高騰中!

    [...] アマゾンから新発売のeブックリーダー「Kindle」が発売とほぼ同時に売り切れ、クリスマス明けまで1台も入手できない品薄状態になっている。: Kindle在庫状況 お客様からの需要が多くKindleは完売しました。ご注文は早い者勝ち。今すぐご注文になり、列にお並びになって待ちましょう。お客様のKindleのご到着は12月24日を過ぎてからとなります。Kindleは現在、米国外のお客様には販売・配送を見合わせております。 [...]

  • http://d.hatena.ne.jp/topsoul/20071226/1198642655 とっぷそうるふる?

    [ニュース]Amazon Kindle欲しいっ!…

    Amazonから電子ブックリーダー「Amazon Kndle」が発売された模様。 まさに書籍のipodですねー。(表現が微妙w ・ブックマーク機能 ・ハイライト機能(コメント入力可) ・PCからのデータ転…

  • http://jp.techcrunch.com/archives/new-years-tech-resolutions/ TechCrunch Japanese アーカイブ » ハイテク主要各社の今年の目標を代筆してみる

    [...] アマゾン—Kindleをオープンにせよ。 御社のブックリーダーKindleは電子書籍受け入れ気運をメインストリームで確保できた。その点では大きな一歩前進だ。が、Kindleで素晴らしいのはサービスであって端末ではない。つまり9万もの書籍タイトル(その数は現在も増えている)がeブック形式になって、シームレスなワイヤレス環境でDLして読めるということであり、バックエンドの決済プロセスが既存のアマゾン利用アカウントにリンクしていること。このサービスがあるからこそKindleは何個も複製する価値があるのだ。レファレンスデザインは下請けに出せ 。そして他社にもっとスリークな電子リーダーを作らせて、それをAmazonストアに繋げ。この端末はデザインそのもの野暮ったい。餅は餅屋だ。自分の知ってることは譲らずしがみついていいが、ハード製造は他社に任せろ。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20080801we-know-how-many-kindles-amazon-has-sold-240000/ TechCrunch Japanese アーカイブ » アマゾンKindle延べ販売台数は「24万台」だった

    [...] 昨年11月アマゾンがKindleを発売してからというもの、ずっとその売れ行きが気になっていた。この電子ブックは初っ端完売となたきり品薄が続いている。 アマゾンの事業全体から見たらあまりにも小さな部門なので、同社もKindleが本当は何台売れたか、実数は公表していない。だが、われわれ取材班はなんとかこの数字を入手した。数字を直接聞ける、アマゾンに近い筋から得た情報によると、昨年11月からのKindle出荷数は延べ24万台だそうだ。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/20090209whats-new-with-the-kindle-2/ Kindle 2に搭載された新機能

    [...] 全体的に見れば新しいKindleは初代Kindleからあまり変わっていないようにも見える。デザインにも機能にも根本的な変化は見られない。しかし随所に手が加えられて進化の跡を示している。 [...]

  • http://ecostock.seesaa.net/article/113988557.html ecostock

    Amazon、iPhoneより薄い「Kindle 2」を発表…

    米Amazon.comは2月9日、電子書籍リーダーの第2弾となる「Amazon Kindle 2」を発表した。同日から予約を受け付け、24日に出荷開始する。価格は前モデルと同じ359ドル。 …

  • http://frenchbloom.seesaa.net/article/131394449.html FRENCH BLOOM NET-main blog

    電子ブックと書籍の未来(1) アマゾンのキンドル…

    近年、革命的なテクノロジー体験が日常的なものになった。何千曲もの音楽をスットクし、指先で呼び出せるiPodしかり、自宅のパソコンから行きたいレストランの周囲の様子を見れるグーグル・アースしかり、どんなミュージシャンのレア映像も必ず出てくるyoutubeしかりだ。アマ…..

  • http://frenchbloom.seesaa.net/article/132119032.html FRENCH BLOOM NET-main blog

    電子ブックと書籍の未来(2) 読書の楽しみとは …

    キンドルで本を読んでいて、ふと別の本のことが気になり、それをダウンロードして読み始めたとする。次の本に移ったのはとっさの思いつきだが、それは元の本に書かれていた引用や参照、文中の間接的な示唆などがきっかけになったのかもしれない。いつでも利用できる書店の誕…..