ファイル共有サービス、4種比較
by Michael Arrington on 2006年8月25日

ファイル共有というのは長い間インターネットの人気分野だった。私は昔、友だちが本棚からCDを探し出してプレイヤーに入れて再生するより早く、同 じ曲を膝の上のノートパソコンからNapsterでダウンロードして再生してみせる、という競争をしたものだ。私はたいていその競争に勝った。あのNapsterがなくなってからもうずいぶんたつ。しかしその役割はもちろん多くのP2Pネットワークに引き継がれてきた。今日、ネットのトラフィックの相当部分はBittorentその他、人気のある非中央集権的ファイル共有システムによるものだ。しかしBittorentの利用には多少の技術的知識が必要だし, 匿名性も低ければ安全でもない。RIAAとMPAAは日常的にBittorentネットをモニターし、著作権侵害をしていると連中が疑うファイル転送をし ているIPアドレスの収集に努めている。またBittorentは(ときおり)ウィルスやスパイウェアその他のマルウェア広めることがあるのでも悪名高い。

そこでプライベートなファイル共有ネットが登場した。WASTEは2003 年に開始されたサービスで、信頼できる友人間でプライベートなネットワークを作れる。 マルウェアや監視の目を気にせずにファイルが共有できる。必要なのは特定のグループのメンバー間の信頼だった。WASTEの欠点はネットワークを設定した り参加したりすのがかなり面倒なこと。結局この種のプライベートネットワークはマスユーザーを引きつけられず、うまく軌道に乗ることが出来なかった。

最近、友人その他信頼できる仲間内でのプライベートネットワークで簡単にファイル共有が実現できる新顔がいくつか登場している。 以下で比較するAllpeersZaprPandoExaroomはいずれもこの分野への比較的最近の参入だ。

AllPeers

プラハと英国に本拠を置くAllPeersについては、われわれは当初からずっとカバーしてきた(日本語記事)ので、このサービスをよく知っている。

Allpeersはすぐにでもサービス開始と なりそうだが(この記事の時点ではまだスタートしていない)、Firefoxのプラグインで、ファイル転送にはBittorentテクノロジーを利用している。ユーザーはAllPeersネットワークに友人を追加してファイルのやりとりを始める。インタフェースは直感的に理解できるほど分かりやすく、ファイルのサイズや転送量は無制限。AllPeersは実に使いやすく、ファイルだけでなくフォルダ単位でも転送でき、Firefoxが作動しさえすればどんなマシンでも使える。われわれはストレステスト(訳注:製品に高い負荷をかけて正常に機能しているか調べるテスト)をし、非常に大きなファイルの転送中にFirefoxをシャットダウン、つづいてOSもシャットダウンしてみた。 AllPeersはFirefoxを再開すると、以前に停止したところからただちにファイル転送を再開した。これはすばらしい。

他のサービスと同様、AllPeersも無料。またPandoやZaprとは違って、AllPeersは最初にメールで確認せずにファイル転送を完了することができる。ただし、関係するメンバーは全員がFirefoxにAllPeersをインストールしている必要がある。

Zapr

シドニーとシンガポールを本拠とするZaprこの記事でプロファイルを紹介している。今週初めに公開ベータテストを開始したところ。サインアップはこちらから。

Zaprはダウンロードするアプリケーションでルックアンドフィールはインスタントメッセンジャーのクライアントにそっくり。ユーザーはファイルを ZaprへドラグしてメールアドレスないしZaprのユーザーネームの宛て先へ送ることができる。受取り側へはファイルのリンクが入ったメールが届けられ る。リンクをクリックすればブラウザを通してファイルのダウンロードが始まる。ファイルサイズに制限はなし。

ZaprはバックエンドにBittorentを利用しておらず、転送に先立ってファイルをサーバにアップする必要はない。ファイルはコンピュータから コンピュータへ直接転送される。したがって正しく転送が行われるために送り手は転送中ずっとオンラインになっている必要がある。これはもしユーザーが 100人の相手とファイルを共有しようするなら、100回別々のダウンロードを実行しなければならないということを意味する。これは帯域幅を食うし、たぶ ん個別の転送が失敗する可能性が高い。したがってZaprは正確にいうなら、プライベートネットワークによるファイル共有サービスというよりも1対1の ファイル転送を手軽に実行するツールと考えたほうがいい。またテストでは、転送途中で停止させた場合、再開に問題が出た。さらに(メールで送信される) ファイルへのリンクにアクセスできる人間なら誰でもファイルのダウンロードを開始することができる。.

ZaprはMicrosoftの.NETプラットフォームを利用して作られており、Windowsマシンのみ利用可能。

全体として、Zaprのユーザーインタフェースはよくできているが、以上見てきた制限はAllpeersやPandoに比べていちじるしく実用性を 乏しくさせている。あと、4種類のサービスの中でZaprだけはファイルの受け手側がZaprクライアントソフトをインストール必要がない。

Pando

ニューヨークに本拠を置くPandoは最近100万回のダウンロードを記録した。PandoはWindowsとMacで作動するデスクトップアプリケーションだ。 ユーザーはファイルをアプリケーションにドラグして、送り先にメールアドレスを入力する。複数の相手への転送も問題なく、Pandoはフォルダも処理できる。

Pandoが持つインテリジェントはBittorentベースのバックエンド。ユーザーがファイルを送信すると、PandoはまずそれをPandoサーバにアップロードする。受け手は送り手のマシンから直接ファイルを受信することもできるし、サーバからダウンロードすることもできる。受け手が複数いる場合、Bittorentが効果的に働き始め、すべての受け手が同時に送り手 としても機能する。

受け手はファイル送信を知らせるメールを受け取るので、小さい添付ファイル開くと転送が開始される (ファイルダウンロードにはPandoをインストールしている必要がある)。

Pandoは効率的でユーザーフレンドリーなサービスだ。ただしファイル転送を開始するのにいちいちメールの添付ファイルをクリックしないですむほうがいいし、ひんぱんにファイルを共有する相手のメールアドレスをいちいちタイプし直すのは面倒だから転送先リスト(buddy list)を作成できる機能も欲しい。

Exaroom

サンフランシスコを本拠とするExaroomは2006年7月末にスタートしている。 Windowsのみのサービスで、 クライアントアプリのダウンロードが必要。一度インストールされれば、ユーザーはMy Documentsフォルダのドキュメントを他のExaroomユーザーと共有することができる。新しく共有可能にされたファイルはアプリケーションのインタフェースから確認でき、ダウンロードはブラウザのダウンロードマネージャ機能を通して実行される。

ExaroomはMy Documentフォルダを恒常的に特定の友人たちと共有したい場合には便利なツールだが、機能が少ないので、それだけ実用性には乏しくなっている。

要約

これら4種のサービスはどれも信頼されたネットワーク内で大きなファイルを共有するのに便利なツールである。

ただし、それぞれ目的とするところは異なる。ここでは取り上げなかったが、人気のあるサービスyousendit (プロファイル紹介はここに) も大きなファイルを1人あるいはグループに転送するのに必要な機能を持っている。もし長期間にわたってファイル共有ネットワークを築きたいのなら、 Allpeersがお勧めだ。プラットフォームの種類が豊富(Windows、Linux、Macをサポート)で、共有相手先リスト(buddy list)を簡単に作成でき、 長期間多数の転送行うのが容易。またファイルのダウンロードを開始するのにいちいち確認メールをやりとりする必要がない。

この記事のリサーチにはNick Gonzalezの助けを借りた。サンキュー。

[原文へ]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/pando-moves-beyond-email-file-sharing/ TechCrunch Japanese アーカイブ » Pando、メールによるファイル共有を越えたサービスを実現

    [...] 0 comments » ニューヨークに拠点を置くPandoはP2Pファイル共有サービスの一群に差を開きつつある。これら一連のサービスについては8月後半にレビューを書いた。クライアントソフトウェアのダウンロードは150万を超え、一日あたりユーザー間で 20TBにのぼるデータがやり取りされるという。 Pandoの利用はとても簡単だ。いったん、PCまたはMac用のソフトウェアがインストールされると、ユーザーはシンプルにファイルまたはフォルダー (1GBまで)を開いているウィンドウにドラッグする。PandoはファイルをPandoサーバーに直ちにアップロード開始、メールフォームを開く。ファ イルを受け取りたいメールアドレスをタイプして、送信ボタンを押すだけでよい。受信者がメールを開いて.pando添付をクリックすると、Pandoは Bittorentを利用して送信者のコンピュータ、Pandoのサーバーそれにその他のファイル受信者からファイルを配信し始める。転送スピードは信じられないくらい速い。私のテストでは最低速度で500 kp/s、最高速度はその2倍だ。もし、受信者がPandoをインストールしていない場合は、ダウンロード開始の前にインストールをすすめられる。 Pandoは完全無料、そして便利なOutlookとYahoo IMプラグインも備えている今日(米国時間10/26)、カリフォルニア州時間午前9時、PandoはEメールパラダイムを打ち破り、ウェブサイトから直接ファイル共有を可能にするサービスをリリースする。埋め込み、またはリンクのどちらでも可能。PandoのCEO、Robert Levitanからのメッセージを以下に一例として埋め込んでみた。シンプルにリンクから同じファイルへアクセスすることもできる。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/allpeers-goes-open-source/ TechCrunch Japanese アーカイブ » AllPeersがオープンソース化へ

    [...] AllPeersのアイディアは理論上はすばらしい。ユーザーはP2Pファイル共有システムをプライベートに作ることができて、RIAA(全米レコード協会)やMPAA(米国映画協会)のファシストの目を逃がれられる。ところが昨年、他にもプライベートファイル共有のできるスタートアップが次々とローンチして、どこもユーザー獲得にしのぎを削っている。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/much-hyped-allpeers-to-deadpool/ TechCrunch Japanese アーカイブ » かつて熱狂的支持を得たAllPeersが本日閉鎖、DeadPoolへ

    [...] ここでも2006年に競合サービス各社と比較検証しているが、その時には友だちと長く使える共有ネットワークを作るならAllPeersがベストという結果だった。昨年遅くにはオープンソースとして公開し、サービスにBitTorrentのフル機能構築にも乗り出していた。 [...]