Fortune、アップルのSteve Jobsに愛憎半ばの特集
by Erick Schonfeld on 2008年3月5日 append.gif この記事をBuzzurlにブックマークする

fortuenstevesmall.pngまたもSteve JobsがFortune誌の表紙を飾った。彼がここに登場したのはAppleがアメリカでもっとも憧れを抱かれる会社に選ばれたからだ。しかしちょっと待て。ここには調査報道を得意とするジャーナリスト、Peter Elkindがジョブズにタックルをかけた記事も12ページにわたって掲載されている。よく読むと両方の情報とも事実とわかる。Jobsがアメリカでもっとも憧れの的となる会社を指揮してきたことも事実だし、同時に、彼は無鉄砲なCEOであって、彼の行動が会社と株主を危険な状況に陥らせたことがあるのも事実だった。

私はバランスの取れた報道には無論賛成だが、今回の特集ははたしてどうなのか? あまり興ざめなことは言いたくないが、AppleはTime Inc傘下の多数の雑誌の大広告主だ。Jobsだったら何の良心の呵責もなく、気に入らない記事を潰すためなら「広告を全部引き上げる」ぐらいのことは言いかねない。実際、Jobsはこの記事を喜んではいない。(彼は記者のインタビューを断っている)。表紙に「Appleはナンバーワン」と大きく書かれた好意的な記事を併載しても、ダメージが弱まったとは思えない。(ちなみにJobsはこちらの好意的な記事については Fortuneの別な記者のインタビューを受けており、自分がいかに偉大かを説明している)。

もちろんAppleを批判する記事を書いたのはFortuneが最初ではない。Fast Company12月号のカバーストーリーで「Appleへの懸念」を特集しているが、こちらは少なくともこの誰にも愛されている会社にもいくつかビジネス戦略上の陥穽がありうることを問題にしていた。(それもあまり説得力のある記事ではなかったが)。Fortuneの記事はJobs個人についての話である。むら気ですぐにカンシャクを起こすことや家庭問題など、昔から知られている私生活に関する外聞の悪い話をいくつも取り上げて蒸し返している。たとえば、Jobsを養子に出した実の父親は今年76歳になるが、飲食物の責任者としてリノのBoomtown カジノ&ホテルで働いている、などということがあげつらわれている。

記事ではまた、AppleとPixarが社員や幹部に与えたストックオプションの日付を虚偽に遡らせたという数年前のスキャンダルにも多くのページが割かれている。ElkindはApple(それ以前にPixarも)の取締役会が事実上Jobsのやりたい放題を許していたことを取り上げている。もちろん、われわれはそれも知っている。(「飛行機を手に入れてくれ、いいな?」と言ったとか)。何ヶ月にもわたる調査の末にElkindが掘り出してきた唯一の意味のある発見は、JobsとAppleの取締役会がJobsのガンを株主に告知するまで9ヶ月も隠していたというものだ。Jobsは食事療法やその他の療法を試していて、手術を受ける決断をするまで時間がかかったもようだ。

それが大変な悪事なのか? ガンを隠していたことが、だが。しかし、ずっと読んでいくと記事の終わり近くに次のような1節がある。

公開企業のCEOが重大な病気だと診断された場合、株主にその情報をどのように公表すべきなのか? 現在明確な答えは得られていない。

80年代の半ばに当時のIntelのCEO、Andy Groveがガンだったことを1年も発表せずにいたが、それをとやかく言う人間はいなかった。問題はSteveJobsにあるんじゃなくて、記事のほうにあるんじゃないだろうか?

(情報開示:私は Fortuneで働いていたことがある)。

[原文へ]

(翻訳:Namekawa, U)

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