2008年の大統領選挙の候補者へのインタビューのシリーズ、今回はジョン・マケイン John McCain 上院議員の回だ。 録音を下に掲載した。TalkCrunch でも聞ける。
マケイン上院議員の選対は質問内容に一切条件をつけなかった(この話 を尋ねるなというような話もしなかった)。 マッケイン議員は、中国、H-1Bビザ、ネット中立性、インターネット課税、個人情報の盗取〔なりすましによる犯罪〕、その他多くのテクノロジーに関連する重要な問題に関して非常に率直、かつ明快に自らの立場を述べた。このインタビューは正味22分と少々続いた。全部のテープ起こしを以下に掲載する。
いくつかの問題に関するマケインの見解は衝撃的なものだ。たとえば、 最近の議会証言 (Yahooの〔情報提供のせいで〕中国人ジャーナリストが懲役刑を受けることになった)に関連して、Yahooを厳しく批判して次のように述べた。
これ〔Yahooの情報提供〕はとうてい受け入れがたい行為だ。それに、彼らは以前明らかにこの問題を隠蔽しようとした。Yahooはきわめて立派な会社だ。大きな貢献をしてきた。それだけに恥ずべき行為だし、腹が立つ。彼らはもっと分別を働かせるべきだった。
McCainはまたGoogleについて「[検索結果の検閲に関して] 中国政府と取引した」と批判した。
私は以下のテープ起こしで重要と思う部分を太字で強調した。McCainはネット中立性問題に関しては、概して「成り行きを見守る」というアプローチを好むように思えた。またH-1Bビザに関して、アメリカの有権者はこの問題を国境警備の問題と同時に解決するよう求めていることを指摘し、ビザがいわば「とばっちり」を受けた形であることを認めた。
気軽な話題としては、以前McCainの個人情報を盗んだした人間に何が起きたか、彼のiPodに何が入っているかなどを話してもらうことができた。念のため付け加えておくと、マケインは今まで一度も違法に音楽をダウンロードしたことはないそうだ。
インタビューの最後で、私の元に最近送られてきたビデオの中でマケインがベトナムでの捕虜としての体験を語ったくだりについて触れている。そのビデオはここ で見ることができる。また私は中国には3万人のインターネット警察が存在するという伝聞を述べた。詳細はこちらを参照 。
われわれはEdwards上院議員から提供された書面での質疑応答 についても今週中に公開できればよいと願っている。すでに実施したMitt Romney候補とのインタビューの内容はここに 。
インタビューに応じてくださったことについてMcCain上院議員とスタッフの皆さんに感謝する。また今回も引き続き、リッチメディアの配信を専門とする コンテンツ配信ネットワークのBitGravity が音声ファイルをホストしてくれたことに感謝する。BitGravityのおかかげで、音声を迅速かつスムーズにストリーム配信することができた。
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テープ起こし
注:一部の重要な言明については太字で強調してある。
Michael Arrington〔以下MA〕: もしもし。こちらはTechCrunchのMike Arringtonです。今日はJohn McCain大統領候補に少々時間をいただいて、いつくかのテクノロジーに関連した問題についての立場をうかがいます。McCain上院議員、お時間を割いていただきありがとうございます。TechCrunchへようこそ。
John McCain上院議員〔以下JM〕:お招きいただき感謝してます。いつでも始めていいですよ。
MA:まず最初にテクノロジーのリーダーシップという一般的な質問から入ります。アメリカのテクノロジーは、何十年の前のように世界の絶対的なリーダーではないが、リーダーの一角であることは確かです。われわれは国際市場における競争を通じて大きく成長してきました。大統領としてこの面ではどのような努力を払うつもりですか?
JM:まずひとつ、私はわれわれの革新的な世界をリードする品質の製品がどこのマーケットでも受け入れられるよう、自由貿易に関する合意を確保していきたい。明らかに教育改革も急務です。適切に訓練された有能な労働力の確保はあらゆる政策の前提になる。一方、私はインターネット課税にはあくまで反対していく。インターネット課税禁止法が最近議会で7年延長されたのはよいことだ。
MA:課税禁止は恒久化されるべきだと考えますか?
JM:もちろん私は恒久化されるべきだと考えている。実際、私は禁止を恒久化するために率先して努力しました 。なぜ議会は恒久化に反対か知ってるかね? この問題がいつまでも尾をひいていると、そのたびに産業界は「インターネット課税禁止の恒久化」キャンペーンのために政治家に寄付をしなけりゃならない。これはR&D支出に対する減税措置〔を恒久化しないの〕と同じで、アメリカ史上最大のユスリだね。しかし、前回のインターネット課税禁止の延長は4年間で、今回は7年だから、まだマシではある。いいですか、グローバライゼイションこそ答えなんです。何も恐れることはない。利用すべき機会なんだ。95%の顧客はアメリカの国外にいる 。だから自由貿易協定によってそのマーケットにアクセスして貿易を拡大するんです。ただし知的財産権を守る適切な手段が必要だ。私の理解するところでは、中国ではずっと長いこと知的所有権が侵害されてきている。私はこの問題をWTOに提訴するつもりだ。こういうことは止めさせなければなりません。しかしこの点では、中国の経済がより発展して、自分たちの知的所有権が尊重される必要が生じるような状態になることが、他人の知的所有権を尊重させるようになるいちばん近道ではないかな。自由貿易主義者であることにかけては、私はこのブログに登場した誰にも負けないつもりです。第二次大戦前の一時期などアメリカが保護主義に陥った時期が何度かあるわけだが、そのつど手痛い代償を払わされてきたというのがわれわれが覚えておくべき歴史の教訓だと思う。私は率直に言って、最近のアメリカで保護主義が勢いを得つつあるのではないかと心配しています。
MA:あなたは今中国について何度か言及されましたが、実は、次の質問は中国に関連したものです。シリコンバレーで今週いちばん話題になったテーマはYahooの共同ファウンダーのJerry Yangと同社の主席法律顧問のMike Callahanの議会証言 でした。今週の小委員での証言だったと思いますが、もちろん、上院議員はこの話題については十分にご承知と思います。2004年に、Yahooはある中国人ジャーナリストの情報を中国のインターネット警察に手渡した―ちなみに、私はこの中国のインターネット警察なるものが、3万人の組織だと聞いたことがありあます。私自身が確認したソースがあるわけではありませんが、なんとも驚いた話です。問題のジャーナリストは懲役10年を宣告されました。数人の下院議員が―Chris Smith議員だと思うんですが、Yahooを第二次大戦中のナチ協力者になぞらえました。Tom Lantos議員はこのシリコンバレー選出の議員ですが、Yahooは「倫理的なピグミーだ」と非難しました。あなたのこれに対する意見はどんなものでしょう? Yahooの件はもちろんですが、もっと一般的に中国に進出したアメリカ企業が人権侵害に加担する問題についてどうお考えでしょう?
JM:もちろん、とうてい受け入れがたい行為です。それに加えてYahooは明らかに事後に問題を隠蔽しようと試みている。Yahooはたいへん立派な会社です。大いに社会に貢献してきた。それだけに恥ずべき行為だし、腹立たしい 。しかし同時にこれは中国の問題でもある。相変わらず民衆を抑圧、弾圧する政権です。国の指導者を海辺のリゾートの秘密会議で選ぶような政権だ。Yahooが2度とそいういうことをしないことはもちろん、われわれとしても中国にさらに人権とデモクラシー、進歩を要求していく緊急な必要があることを教えるものです。ところで、ご承知のように、Googleも中国政府と取引をしている。中国で「天安門広場」でぐぐると非常に平和な風景がヒットする。しかし中国の国外では中国人の青年が戦車の前に立ちはだかっている写真がヒットする。つまり悪事を働いていたのはYahooだけではないわけです。 私がシリコンバレーの人々、ハイテク関係者、それに中国でビジネスをしている企業関係者にに言いたいのは、社会を抑圧、弾圧し続けようとする政権の要求に従って手を貸してはならないということです。そういうことは長期的にみて決して得にはならない。アメリカ企業のイメージダウンをもたらす。率直に言わせもらえば、一部のアメリカ人が抱いている「アメリカの大企業は金のためならたいていどんなことでもやりかねない」という疑いを裏付けるものだ。 もちろんナチ・ドイツとはいっしょになりません。議会では往々にして過激なレトリックを弄する傾向があるは遺憾だと思います。しかし〔議会での非難は〕いわば警告射撃です。われわれはときにアメリカの本質を守るために立ち上がらねばならないということだ。もうだいぶ以前になるが、われわれは外国でビジネスをする際に外国で贈賄を行ってはならないという法律を制定しました。そのときビジネス界では口をそろえて、「それではわれわれだけが不利になってしまう。他の連中が賄賂を渡すんだから、われわれも同じようにできなければ、」と抗議したものだ。しかし、われわれには世界でもっとも進歩したテクノロジーがあるのだから実際にはそんな必要がないことが判明している。
MA:ええ、まだあなたの立場を100%理解したかどうか自信がありません。あなたはGoogleを例に出されましたが、Microsoftはじめ、他の企業も同じようないことをしています。eBayの子会社のSkypeは、報道によれば、中国政府がテキストメッセージを検閲するのに協力しているそうです。こういった非難はすべて伝聞です。証拠を私が確認したわけではありません。しかし、Ciscoは中国政府が国民の監視に用いると疑われる機器を売却しているということです。あなたはアメリカ企業が中国で人権侵害に加担する恐れのあるビジネスを法律で禁ずべきだと思いますか? それともこの点については企業自身で慎重な判断をすべきだと?
JM:そうですな、第1に、まず企業自身が判断すべきでしょう。 第2に、アメリカ人の信ずる基本的な価値観に背くような行為は、遅かれ速かれいつか明るみに出るわけですが、そういった行為がなされたことが判明した時点で何らかの措置が必要になるかもしれません。しかし、ご存知のようにこういう問題は、そう簡単ではない。たとえば〔軍民共用の〕二重目的のテクノロジーの問題がある。シリコンバレーが輸出する多くの製品が良い目的にも、最悪の目的にも利用できる。プライバシーの侵害とか民衆の監視とか、そういったことです。私は白黒はっきりしたのが好きな性格ですが、一部の物事は灰色なのが事実です。しかし、一方ではわれわれはアメリカの良心を守るためにできるかぎりのことをしなくてはならない。つまり<すべての人は生まれながらにして平等であり、すべての人は神より他に委譲できない権利を与えられている>という〔独立宣言の〕精神です。これには私は中国の市民も含まれると私は信ずる。私は〔Yahooなど〕こういった企業が罰せらべきだとはまだ申し上げたくない。しかし彼らは人権侵害に加担するような行為に対するアメリカの公衆の反応を正確に知っておくべきだと思う。
MA:この点に関してあなたの立場は倫理的な見地を重視しておられるのですね。あなたの反応が感情的でなく抑制されたものであることに感心しました。
JM:ありがとう。
MA:そういえば、Yahooの株価は議会公聴会の後で7%も下がりましたね。社会はYahooの行為に我慢がならなかったということかもしれません。中国でこういったビジネスのやり方をすると罰が与えられることになるようです。
JM:もうひとつ注意しなければならないのは、、議会が法律を制定すると必ず予期しなかった副作用が起きることです。いい例がSarbanes-Oxley〔SOX〕法だ。
MA:ああ、そうですね。あの法律は特にシリコンバレーで不人気です。
JM:(笑)無理もない。
MA:この辺でネット中立性 の問題に移りたいと思います。シリコンバレーにとっておそらく最重要の課題ではないでしょうか。ところが、これはめったにワシントンのトップレベルの話題にならない。Barack Obama 候補は最近、当選したこの問題に優先して取り組むと言明しています。ネット中立性に関するMcCain候補の立場はいかがでしょう?
JM:一般的に言って 私はFCCの役割に関して違うモデルで考えるべきなんじゃないかと思っている。FCCは明白に反競争的な行為、消費者の利益を損なう行為を規制することに集中すべきだと思う。実際、率直に言って、現実に何か悪事が働かれたのでないかぎり、FCCは市場に介入すべきではない。さらにアメリカのビジネスとその革新についてあまりに細かい点まで管理しようとすべきではないのではないか。 これはたいへん難しい、重要な問題だ。極論するとこうだ。市場を縛りつけることはできない。市場にインターネットを利用して生活するな、金儲けをするなとは言えない。明らかにインターネットの発明された趣旨は金儲けを禁じていないし、それだからインターネットは現に繁栄してもいる。だから私としてはインターネットで何が起きているかについて監視は続ける必要がある―誰かが不当な利用で利益を上げていないか、被害を受けていないか、どのように発展しつつあるのか、等々だ。インターネットのすごいところは、主要な部分について国家の介入や規制を免れてきたという点だ。だから私としては、まだ深刻な問題が何も起きていないのに、起きると決め込んで解決法を云々するよりも、これ〔インターネット〕がどうなっていくのか見守ろうじゃないかと言いたい。こういう言い方はいささか煮え切らない態度に聞こえるかもしれないが、これは私の性向として、どうしても絶対に必要な場合以外、政府の介入はできるかぎり避けたいという立場なんです。
MA:市場に任せるというアプローチには私も個人的に賛成なんですが、インターネットへのブロードバンド・アクセスという問題に関しては企業も一般ユーザーもごく少数のオプションしかない。1社か、せいぜい2社しかサービスの提供者がない状況です。こういったカルテル、ないし独占が起きている状況では、不正が現在まだ明らかになっていなくても、いずれ起きることはほとんど必然といっていいと思う。そいうう状況でもお考えは変わりませんか? 〔独占的〕企業に対して予防的な措置を取る必要があるとは思いませんか?
JM:そうですね、今われわれに必要なのは現状の見極めでしょう。現状に関してアメリカを代表するトップクラスの専門家―学者その他の専門家の意見を聞いて、問題の範囲と、それに対する必要な措置を正確に見極めることが必要だ。正直に言って、この問題はどちら側のいい分もそれなりにもっともであるという数少ない分野のひとつだと思いますね。もし明らかに反競争的行為が見られて、消費者の利益が犠牲になっているのだったら、何をしなければならないか明白だ。しかし、関係者の皆さんの懸念には十分敬意を表しますが、それでもなおかつまだ明白かつ重大な不正があるとは思えない。
MA:さて、そこで、もう一つ、大きな問題が生じている分野があります。個人情報窃盗〔による犯罪〕 です。ことにインターネットには人々がさまざまな情報を持ち寄るにもかかわらず、政府も踏み込んだ規制には乗り気ではない。刑事罰を定めた法律がいくつもすでに制定されているにもかかわらず、この問題は拡大しつづけております。年間の損失は直接のものだかけで$60B(600億ドル)、被害者1人あたり平均$6,400とも言われる(もっともこれもあくまで推定であり、確証があるわけではないですが)。政府が現状を超えてわれわれのオンライン上のプライバシーを守る手段が何かあるとお考えですか? それともそもそもオンライン上のプライバシーという考えがすでに妄想なのでしょうか?
JM:私も個人情報窃盗は重要な問題だと思っていますよ。プラバシーの侵害というのは実にさまざまな側面があって難しい。テクノロジーが絶え間なく進歩する分野では、今まで不可能だったことがどんどんできるようないる。その進歩についていくだけでも大仕事だ。Cindy〔妻〕と私は個人情報を盗まれて悪用されたことがある。法的には…
MA:被害をすっかり処理するのにどのくらいかかりましたか?
JM:いや、それほど長くはかからなかった。それほど巧妙な仕事ではなかったようだ。私たちの個人情報を盗んだ奴らは、現在アリゾナ州政府の客人になっている〔刑務所に入っている〕。 いずれにせよ、私は企業が一般的なデータセキュリィテーに関する方針を策定しなければならないと定める法律を成立させようと先頭に立って活動している。すべての企業が顧客のID情報を盗まれるなどの脅威に対する情報セキュリティー対策を立て、もし漏洩などセキュリティーが破られるようなことがあれば消費者に告知すべきだ。私は消費者のセキュリティー意識を高める教育と企業がセキュリティー対策を常に最新のものに更新していくことが最善の解決法だろうと思っている。ちなみに、その事件―妻と私の個人情報が盗まれた件だが、それで思い出す話があってね。ある男がクレジットカードを盗まれたが、当局に通報するのを止めたというんだ。というのもそのカードを盗んだ奴のほうが彼の妻より金を使わなかったからだというんだ。私も当時、その男の気持ちがわかる気がしたよ。
MA:(笑)それはおかしい。
JM:ははあ! ありがとう。
MA:H-1B〔就労〕ビザの問題です。 われわれはシリコンバレーでこれを大いに必要としています。世界から最良の高度な労働力を集めることに役立っています。ところが政府はこの割り当て数をこの2年ほど6万5千に減らしています。私は15万から20万人の需要があるはずだと思う。あなたの H-1Bビザについてのお考えは?
JM:私は今までもずっとH-1Bビザの発行を支持してきた。数学や科学や工学分野の優秀な学生のアメリカにおける不足を補う重要な手段となっているわけだ。しかしね、率直に言わなきゃならないんだが、移民法の総合的な改革にわれわれは失敗してしまった。そうとも失敗だ。われわれは失敗しており、 H-1Bビザはその失敗の一部になってしまったんだ。アメリカ国民はもはや政府の移民政策を全然信用していない。いいかね、それでこの失敗から生じたメッセージというのはこうだ。アメリカの有権者は国境を固く警備することを望んでいる。国境の管理が第一なんだ。私も教訓を得た。だからわれわれはまず有権者の政府に対する信頼を取り戻さねばならない。そのためにはまず入国管理を厳しくすることが最初に必要なんだ。私は今でもH-1Bビザの支持者だ。しかし聞いてほしいんだが、アメリカ国民の優先順位は、正しいかどうかはともかく、われわれはデモクラシーの国に住んでいる以上しかたがない。優先順位のトップは国境管理の回復だ。
MA:しかし国境管理の厳格化とH-1Bプログラムは関係ありません―それではまるでコラテラル〔巻き添え、とばっちり〕ですね。われわれは大学や大学院レベルの高度な教育を受け、学位を持ち、多くは起業家精神に富んだ人々の話をしている。彼らはアメリカにやってきて、7年でしたか、働く。これは国境からぞろぞろ密入国してくる外国人とはまったくちがう。まるで関係ない問題じゃありませんか。
JM:しかし、その話をするなら、アメリカの農業も潔白な第三者というわけにはいかんわけだよ。〔外国人労働者がいなければ〕ユマのレタスは腐ってしまうだろうし、カリフォルニアのメロンは収穫できなくなってしまう。〔入国管理の厳格化で〕農業もダメージを受けるんだ。そう、だから農業もコラテラル・ダメージを受ける。これは気の毒だと思う。私は3年間にわたって総合的な移民制度改正に取り組んできた― H-1Bビザの問題も、その他多くのアメリカにとって必要な技能を持つ労働者の問題も考慮した改革案だ。しかし、否決された―アメリカ市民の多数意見によって否決されたんだ。われわれは引き続きこの問題で努力はする。しかしアメリカ国民はまず国境の安全が確保されたと知りたいんだ。
MA:すると、つまりH-1Bビザ問題はそれ自身としては解決不可能だ、もっと大きな観点から見なければならない、なぜならそれがアメリカ国民の要求だから、とおっしゃるわけですね?
JM:そりゃわれわれはデモクラシーの国住んでいるんだから仕方がない。有権者の意思がすべてに優先する。ときとして、有権者の意思がアメリカの利益に沿わなかったこともある。しかし「デモクラシーというのは最悪の政体だが、まだこれより良いものが発明されていない」という意味のことをウィンストン・チャーチルも言っているだろう。私もH-1Bを拡大したい。私も高度な技能を持つ労働者の受け入れに賛成だ。もちろんそうさ。しかしアメリカ国民のメッセージは「国境の安全を確保しろ」なのだ。みな政府の言うことやるとこを信じていないからなんだ。たとえば1986年にわれわれは「これから国境管理を厳重にする。その代わりに200万人ほどの不法移民に特別に恩赦を与えよう」と言った。それでどうなったと思う? たしかに恩赦は与えたが国境はそのままだ。そして今では1200万人の不法移民が滞在している始末だ。ご承知のとおり、こういう不法滞在者の40%は、合法的に入国した後ビザの期限が切れた人々だ。国境を不法に越境してきた人々ではない。しかし、きみ、この国をすみからすみまで歩き、この24年間、アメリカ議会で激しい議論になった問題には残らず参加してきた私が言うんだが、アメリカ国民は「国境を取り締まれ」と言ってきかないんだ。
MA:時間がなくなってきたようです。質問に対して率直かつ貴重なお答えをいただいてありがとうございます。さてもっとも重要な質問があといくつか残っています。McCain議員、あなたはMac派ですかPC派ですか?
JM:(笑い)私はコンピュータはさっぱりでね。
MA:まさか?
JM:いや本当だよ。
MA:しかしiPodはお持ちでしょう?
JM:イェス、持っている。iPodにはビーチボーイズ、ロイ・オービソンなんかを入れている。ときによると非常に優れた音楽とそれほどでもない音楽を判別することもできるんだが、私の音楽に対する見識は1967年10月に〔北ベトナム上空で〕撃墜された日で進歩が止まってしまったようだな。
MA:あなたが音楽をダウンロードするときは合法的にiTunesで購入するんですか? BitTorrentとかそういサイトから違法にダウンロードしたことはありませんか
JM:いや、ないね。違法なことはしない。私がそんなことすれば、えらく有名になってしまう(笑い)。
MA:あなたは撃墜されてから、どうして音楽が好きじゃなくなったんですか?
JM:いや、音楽が好きじゃなくなったなんてことはないよ。音楽の趣味において進歩が止まってしまっただけだ。私は〔捕虜になっていた間〕5年半というもの音楽を聞くことができなかった。いや、多少は聞いたな。反戦運動の音楽ならだいぶ聞かされた。大いに楽しんだものです。
MA:私は昨夜送られたきたあなたのビデオを見ました。あなたが聴衆に向かって、捕虜収容所のある監視兵の話をしていましたね。彼が当番の夜に縛られていたロープを緩めてくれたとか。クリスマスには監房の前の砂の上に十字架を描いてくれたとか。あなたはたいへん感動したそうですね。私も感動しました。時間がなくて、こういったお話を詳しく聞けないのが残念です。しかし、私はアメリカ人としてあなたのこの国への奉仕に感謝しています。私はあなたの大ファンなんですよ。
JM:ありがとう。感謝する。ところで、もうひと言付け加えてもいいかな?
MA:もちろん。
JM:私は自由貿易主義者だ。私が大統領になったら、あらゆる権限を使ってアメリカの知的所有権を守る努力をする。さらに重要なことだが、世界のあらゆるマーケットを自由な貿易のために開かせるよう努力する 。なぜならアメリカの輸出はもっとも革新的で、もっとも生産性が高く、もっとも偉大なアメリカの偉大の富のもっとも重要な源泉であり、産業革命以来最大の革命の成否に直接の影響をもつからだ。一方で、私の任務は、いや、これはハイテク産業の関係者全員に考えてほしいんだが、アメリカで多くの労働者が置き去りにされている。私は今現在ミシガン州を訪問している。われわれは、現在進行中のすばらしい新しいテクノロジーによる革命にすべての人々が参加できるよう、教育と訓練のプログラムを企画する必要がある。そのために私はアメリカでもっとも知恵のある人々の助けを借りることにした。そうして、来年以降になるが、教育、訓練プログラムのデザインを助けてもらうつもりです。
MA:そうですね。残念ながら時間の関係で デジタル・デバイドの問題について詳しく議論することはできないようです。E-Rrateプログラム〔学校、図書館の通信料金を割り引きする制度〕の実効性についても意見を伺いたかったんですが。あなたなら30分でも論じられることと思いますが、全般的な意見を聞けただけでもたいへんうれしく思っています。さて、最後の質問は、知的所有権を保護するためには―これはいささか微妙な質問になりますが―違法なダウンロード行為に対して人を刑務所送りにする必要もあるとお考えですか?
JM:私はいろいろな冷酷非情で過激な男という評判をとっているかもしれないがそいういうことは考えないね。いや、もちろんその連中が今どきのヒットチャートにランクされてる頭がおかしくなりそうな最悪の音楽をダウンロードしてるんでなければだが。そうなんだったら iPodだろうと違法ダウンロードだろうと刑務所にぶち込まれて当たり前だな(笑)。
MA:私も以前は年寄りが若い世代の音楽を理解できないということが理解できなかったんですが、最近うちの若いインターン連中が聞いている音楽に接して、そこが分かってきました。私は今年37歳で、彼らは20歳なんですが、私もあなたと同感です。つまりひどいもんだ。私も音楽は高校時代が最高で以後ずっと下り坂という印象があます(笑)。
JM:そうだね。近頃の音楽ときたら感覚に対する暴力だ。ありがとう。
MA:McCain上院議員、わざわざ時間を割いていただき感謝します。
JM:お招きいただきありがとう。
MA:では健闘を祈ります。
JM:ありがとう。 バイ。
MA:バイ。
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(翻訳:Namekawa, U)