今週水曜夜 にWeb 2.0サミットでルパード・マードックとクリス・デ・ウルフ(MySpace共同創業者)がMySpaceの臓部を開発者に開陳し、Facebookとプラットフォーム対プラットフォームの一騎打ちに本気で乗り出すと発表した時、みなさんは「さぞかし会場のプログラマーたちは拍手喝さいだろう」と思ったことだろう。実際、大喝采だった。
ただ会場で一人だけ声も態度もやたらとデカい人がやおら立ち上がって「それでは足りない」と言い出した例外を除いては…。この人はBroadband MechanicsのCEOで名前をMarc Canterという。最近は大きなテクノロジー関連のカンファレンスに行くと決まって彼がいて、毎度公式パネリストに爆弾発言を投げつけては会場のフィクサー役を演じている。ともあれこのCanterがマードックとデ・ウルフに向かって(この日は先にFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグにも同じ質問をしていた)、MySpace内で開発者がアプリを書くような一方通行のAPIだけでなく、どうせやるなら開発者(およびMySpaceメンバー自身)がMySpaceのフレンドリストを外に持ち出してMySpaceの外部でソーシャルなアプリを書けるような双方向のAPIを作るべきだと思うが御社は賛成かどうか、と質した。要するに彼が言いたいのはこういうことだ。「中に入れてくれてありがとう。さ、ついでにこっちの(反対の)壁も取っ払ってしまえ!」
咄嗟には絶対ありえない話に聞こえる。MySpaceやFacebookのようなソーシャルネットワークは、自サイト内に社外ディベロッパーを招き入れて、自分の庭でアプリを作らせ自社プラットフォームを改善するのは歓迎でも、カスタマーには鍵をかけている。メンバーとそのフレンドリスト全員の関係は自分たちにだけ見えるようにしているのだ。この既成事実のお陰でSNSは競争で優位に立てるわけだし、複合的にネットワーク効果も創出できるのだ。みすみすそれを放棄するだろうか?
これはFacebookの中でも一番非難が集中する弁慶の泣きどころなのだ。(Facebookというのは)ブラックホールのようなもの。全部吸い上げて、そこからは何も出てこない。(メール転送さえしてくれないから、Facebookのメンバーからメッセージが来ると、わざわざFacebookにログインして読まなきゃならない)
双方向のAPIを作ること。これはたぶんMySpaceが今できる最も賢い動きの一つだろう。Facebookに対抗して追いつくだけでなく、もっとオープンになれば出し抜くこともできそうだ。外部ディベロッパーを引き寄せるにはオーディエンスとオープン・プラットフォーム…この2つの大きな蜂蜜の壷が物を言う。仮にWebがプラットフォームならWebサイト(あるいはWebベースのアプリ)からデータの出し入れを妨げる障壁は全て、いずれは入り口の障壁どころか成長そのものの障壁となってゆくだろう。
既に中小の前向きなTwitterやTwineのような企業では、みんながサービスに入力したデータは自由に引き出せるよう、双方向のAPIを導入している。グーグルもソーシャルネットワークはじめ各種サービスでこのアプローチを採用する計画だ。カンファレンスの廊下でMySpace社員に話を聞いてみたが、たぶんMySpaceもプラットフォームを公開する時には双方向車線になるのではないか…との思いを強くした。少なくともそれがMySpaceの意向のようだ。具体的にどう進めるか詳細はまだ決まってない印象を受けたが、それはいずれ出てきたAPIを見たら分かる。どっちみちこの壁は崩れることになるだろう。
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