
「なう」どころか2日も経ってしまったが、リアルタイムウェブの新潮流の現在と未来を考える「リアルタイム・クランチアップ(Real-Time CrunchUp)」が20日(米国時間、以下略)、サンフランシスコ市内のホテルで開かれ、図々しくも近在のよしみでお邪魔させていただいた。関連エントリ全部読む暇のない方のためにダーッと見どころだけダイジェストでまとめてみた。
1. 巻頭対談:Dick Costolo, Twitter COO
[ポイント] 広告やる宣言!/現経営状況/ジオロケーションAPIリリース
リアルタイムウェブの花形ツイッターは、のっけから広告事業参入を発表した。「え?広告入れないんじゃなかったっけ?」という方は、9月10日にTOS(サービス利用規約)が改訂になって、広告掲載も「アリ」になったのを知らないのかも。
ツイートの著作権はもちろんつぶやいた本人のもの。この基本ラインは変わらないが、ツイートの二次利用(使用、コピー、複製、加工、改作、変更、発表、送信、表示、配布)についてはツイッターに全世界で非独占的な使用料フリーのライセンス(およびサブライセンス=再実施権)を付与する取り決めになったんである。ということは…横道だが、『ツイッター140文字が世界を変える』で著者が小飼弾さんに「地震なう」の再掲確認のメールを出したみたいなのもツイッターに1本断りのメール入れるだけでオッケーになるのかしら?
広告となると急にケミカルが変わって、フェースブックのBeaconの時みたいな反発も予想されるが、Costolo氏は「これはスゴい。昔からある広告とは全然違う。みんな気に入る。とってもクール」と、押せ押せだ。この「嫌われない広告モデル」については、最前列に座っていたロバート・スコーブル氏が午後妙案を披露してくれた。
次、経営状況。今夏ツイッターゲートでリークした社内資料には「年内ユーザー2500万人、売上げ$4M(400万ドル)、社員75人達成が目標」とあったが、あれはどれもクリアしたそうだ。謎なのは収入源。唯一考えられるのはMSとGとの検索業務提携からの実入りだが、そちらの実数には触れなかった。
最後は19日に正式にオンになったジオロケーションAPIのおはなし。foursquareみたいなサービスも続々ローンチしており、ツイッターもジオはやる気満々だ。「ジオ」は今イベントで何度もマントラのごとく出てきたキーワードなので、「これからリアルタイムでなんかやりたい」と思ってる方は脳みその襞にしかと刻んでおきたい。
日本語関連記事:Twitter COOのDick Costolo、「もうすぐ広告を投入」と語る
2. 座談会「ストリームをフィルタリング、ノイズを除去」
Amit Singhal, Googleフェロー
Lili Cheng, Microsoft FUSE Labs, GM
Bret Taylor, FacebookプラットフォームVP
Chris Cox, FacebookプロダクトVP
Jason Hirschhorn, MySpaceチーフ・プロダクト・オフィサー
Ron Conway, エンジェル投資家
Edo Segal, Futurity Ventures, 投資家兼起業家
Jason Shellen, Thing Labs/Brizzly, CEO
Kimbal Musk, OneRiot, CEO
Loic Le Meur, Seesmic CEO
Ken Moss, CrowdEye, CEO
マイクロソフト「セキュリティが大事。壁の中(社内ネットワー ク)に外から情報が入ってくるのは大歓迎だが、中の情報を出す方がコントロールが難しい 」
グーグル「20年前は調べようもなかったことが今は調べられる。数年前は検索結果に出るま でにラグがあった。今は数秒だ」
フェースブック「コントロールは大事。何を共有し何を共有しないか。うちはクローズドだから情報開示・非開示のコントロールが強み」
シーズミック「うちの息子(14歳)に言わせ ると、Twitterのようなオープンな場につぶやくのは僕のような“おっさん”のすることなんだって。ティーンは知ってる者同士のクロー ズドな場で今なにが起きてるか、というのが最大関心事」
Edo Segal「次なるビッグな変化は、ジオロケーション。タイプなんかしなくても居場所が情報になる。何かをツイートしたり、ブログに書くまでもなく、アクション(行動)そのものがリアルタイム・ウェブ・ストリームになるんだ。こいつは大きい。そろそろリアルタイムなんちゃら呼ぶのはやめて、こういう潮流を総括する名前がいるね」
3. Mark Benioff, Salesforce CEO講演(動画)

「私もFacebookには友だちが5000人いる。でも何が悲しくて部下のことより他人のことに詳しくなってるんだろうね? 一番大事なのは社員のことなのに」(マーク・ベニオフCEO)
発表の目玉は、この会場の目と鼻の先で開かれたDreamforceカンファレンスで2日前に発表になった新ソーシャルビジネス協働ツール「Chatter」だ。
これはFacebookやTwitterのエンタープライズ版とも言うべきもので、企業のセキュア&非公開なネットワークでリアルタイムのコラボを実現する。同社のコアのCRMソフトで使え、Force.comのHOMEにプロフィール、ステータス更新、フィード、グループ、カレンダーなどが新たに加わり、誰が今どんなプロジェクトに取り組んでいて誰に会ったか一望できる。グーグルアプリの更新も直に反映されるほか、開発者はChatterのAPIを使ってソーシャルエンタープライズアプリも作成可能。来年2月発売予定。既存顧客は無料、新規顧客は月50ドル。
最初は紙コップ片手に眠たげに座っていたBenioff氏も、だんだんと調子が出てきて、最後はコップを振り回して「マイクロソフトの悪口言うわけじゃないが、Windows 7にアップグレード料払ったのに新機能がゼロなんて、ありえない!」とエンジン全開になったところで時間切れ。

マーク・ベニオフ氏の新刊「Behind the Cloud」絶賛発売中。ツイッターのくじら風
4. リアルタイム系スタートアップのデモ
Part 1(動画)
Hot Potato, Justin Shaffer(日本語関連記事):イベント共有アプリ。iPhoneのGPSで現在地を割り出し、近在のイベントで気になるものがあればFoursquareみたいに「チェックイン」して、そこで今なにが起こってるか写真・動画・メッセージで共有できる。
Seesmic, Loic Le Meur(関連):BlackBerry&アンドロイド対応アプリ発表
Qwisk, Zachary Garbow(関連) : ブラウザのサイドバーでTwitterやFacebookの友だちと繋がっていられる拡張機能。ニュース・動画・写真もドラッグ&ドロップするだけでTwitterやFacebookに流せる! Reframe ItとかグーグルのSidewikiに似てるが、プラグインではなくて拡張機能なので、どんなブラウザでも使えるのがミソというか技。これはFacebookが8月に買収したFriendFeedの技術で作って9月にオープンソース化したリアルタイムウェブアプリ統合フレームワーク「Tornado」で実現した。
Knx.to, Rohit Khare, Salim Ismail(関連): GoogleVoiceの競合「Ribbit」を開発したAngstroの新プロダクトは、連絡先の「今なにしてる」をインデックスするリアルタイム検索エンジン「Knx.to」(Connect toと読む)。相手の電話番号がわかるのが「ナンバーディスプレイ(Caller ID)」なら、相手の各種ソーシャルネットワークの最新フィードを表示してくれるKnx.toはさしずめ「Caller ID 2.0」。サイトで認証許可をためらう人もいると思うが、「認証情報はサイトではなく、ユーザーのブラウザにキャッシュされるのでプライバシーの心配はない」そうだ。
StatusNet, Evan Prodromou(関連): 「マイクロブログのWordPress」を標榜するオープンソースのマイクロブログ専用プラットフォーム。自ドメインで自ブランドのマイクロブログが運用できる。オープン標準のOpenMicroBlogging対応なので、他のTwitterやJaikuともメッセージは行き来できる。「自分のツイートを広告に使われたくない!」という人はこれ?
Mozzler, Chris Were(関連): RT数最多の人気エントリが分かるリアルタイム検索エンジン。今現在、過去1時間、6時間、12時間から選べる。カテゴリ検索アリ。検索結果には動画・写真も出るよ。
(抽選飛び入り)Superfeedr(関連): リアルタイム・フィードを実現するAPI。ピッツァの出前じゃないが、15分でフィードが届かなかったら無料になる。
Part 2(動画)
Plymedia, Matt Knopf(関連): - 待望のリアルタイム・キャプション「SubPLY」誕生! 動画を見ながら世界中どこからでも誰でも字幕やキャプションがつけられる。ライブ中継で是非使ってみたい機能だ。トランスクリプト機能は、配信業者から何秒か入力のための時間ラグをもらって動画とぴったんこ合うように配慮した。生中継後はサイトに原稿も掲載できるので、動画の内容に応じたSEO効果も。UStream、Livestream、WSJと提携済み。YouTubeも数日前、耳の不自由な方のために音声認識で自動で字幕をつける機能を発表したけども、人力と機械、勝つのはどちら?
Tweetmeme, Nick Halstead(関連) :ちっちゃな緑の「retweet」アイコンでお馴染み、Tweetmemeもあと2週間で広告プロダクト「AdTweets」をローンチ! 大手Federated Mediaと2週間前に提携もした。スパム紙一重だけど、バイラルビデオCMのRTなら大丈夫か?
VideoLobby, Peter Urban(日本語関連記事) : 自ブランドの動画TVサイトが無料で作れる。サイトにQik、Ustream、Justin.tvなどからネット生中継動画を埋め込んで、TwitterやFacebook、サイトで質問を受けながら視聴者と一緒にダダ漏れ。
Rippol, Aaron Crayford(日本語関連記事): リアルタイム動画検索エンジン。自分や友人の嗜好に合った動画をメタデータで探してきてくれる。すごくいい感じだが、CrunchUpでローンチして数時間後、Huluから「埋め込み動画を無効にせよ」との非掲載通告を受けてしまった。オーマイガー!
FlixUp, Somrat Niyogi(日本語関連記事): 他人の映画評ほどアテにならないものはない。Bazaar Labs社のiPhoneアプリ「FlixUp」(近日公開)では、自分がフォローしてる信頼のおける人たちの映画評が見れる。類似サービスにtwitMovie(TwitterとNetflixの映画評をダブル集計)。
(抽選飛び入り)Baduku: 「誰にだって言いたいことはある」―リアルタイム世論検索エンジン「Baduku」は、最大50字のマイクロオピニオンを投稿し、上げ下げできる。好評と悪評の2カラム。50字はマイクロ過ぎない!? 1月公開予定。

お昼はランチボックス。ベジーも美味
5. メディアストリーム: 究極のマーケティング媒体になり得る?(動画)
Ryan Amos, DailyBooth共同ファウンダー
Sean Rad, Ad.ly CEO(イン・ストリーム広告のパイオニア)
Jesse Engle, CoTweet CEO(ブランドマーケティング用プラットフォーム)
Robin Bechtel, ハリウッドのエージェント(ワーナー、ブリットニー等のデジタル戦略担当)
Philip Nelson, NewTek戦略開発上級VP
Robin Bechtel「ブリットニー・スピアーズのつぶやきでタイムズスクエアにファン8000人が集まった」、「ヒーローとの一体感が魅力」
Philip Nelson「リアリティーTVのスターSpencer PrattとHeidi Montagはバハマのホテルと楽屋裏からライブキャストし、13回お色直しとかして、5万人がこれを視聴し大成功だった」、「が、ミス・ユニバースは50万人しか動員できなかった。まだ実験段階だね」
Jesse Engle「ツイッターはいろんな要素が交わる焦点。大衆とつながりを維持する焦点」
Sean Rad「広告は1日1本に制限し、内容も監視している」、「いかにも広告というのはダメ。内容がリアルじゃないと」、「大事なのはhonesty(正直であること)。ツイートは本音だから価値がある。ストリームが広告に汚染されたら、もう誰も信じなくなる」
6. ジオ・ストリーム~現在地ビジネス(動画)
Matt Galligan, SimpleGeoファウンダー
Tristan Walker, Foursquare事業開発VP
Ryan Sarver, Twitterプラットフォーム部門ディレクター
Steve Lee, Googleグループ製品マネジャー(Google Maps for Mobile, Google Latitude)
Justin Shaffer, Hot Potatoファウンダー
Elad Gil, Mixer Labs CEO
まずは今週発表になった「SimpleGeo」が話題にあがり、Justin Shafferがベタ褒め。SimpleGeoファウンダーMatt Galliganは、「場所と時間のスタンプをデータポイントに圧縮できるジオロケーションの4次元展開の新技術を開発中」であることを明らかにした。なんでもこれを使うと、アプリは同じ場所の過去に遡ってチェックできる、らしい。「いま目の前にある店のクーポンが出る。これ最強。ジオタグ付きクーポン」
現在地が知られて良いときだけ「チェックイン」するモデルで話題のFoursquareだが、「他社も簡単にマネできるの?」との問いに、同社Tristan Walkerは「コンテンツのフィルタリングは大変なので、コピーは難しいよ」と返した。一方のLatitudeは常時追跡のアプローチだが、グーグルのSteve Leeは、「常時追跡は問題もあるけど、それじゃなきゃできないサービスもある」と強調した。
Paul Buchheit, Facebook/Friendfeed/Gmail発明者
Rob Goldman, CEO Threadsy
Paul Buchheit「メールはあまりにもプライベート。サイトのフォーム入力が雛形で、タイトル・メアド・本文を決まった入力欄に記入しなきゃならない。ツイートはもっと自由だ。メッセージはパブリックで、ひとたび公開したらどこ行くか分かりゃしない。1日やることがない日の暇つぶしとして、メールはあんまり楽しくない。受け取ると…長いメール書かなきゃいけないしね。笑」
Rob Goldman「メールは受け取るという前提で送る。1日消化しないとその分、読まなきゃならないメールが溜まる。ツイッターはパブリックなIMで、流し読みが前提。相手が読むという保証はない」、「メールチェックの前にDM(ツイッターのダイレクトメッセージ)をチェックする、それはひとつの分岐点」、「だがメールはウェブのID(身分証明)の最小単位で、今はまだ何をやるにしてもメールアドレスが必須。それが変わるまでは死なない」
日本語関連記事:Gmailの作者曰く「メールは永遠に死なない, Google Waveは試してない」
Ron Conway, エンジェル投資家
Dan’l Lewin, マイクロソフト戦略&エマージングビジネス開発VP
George Zachary, Charles River Ventures, VC
Andrew Braccia, Accel Partners, VC
Brian Singerman, Foundes Fund, VC
Paul Buchheit, Facebook/Friendfeed
George Zachery「うちはTwitterとYammerとSMSGupshup(インドのTwitter)に投資している。Yammerは14ヶ月で法人利用55万人を達成した。マーク・ベニオフがYammerをコピーした、ChatterはYammerのコピーだと、大勢の人が電話をかけてきたよ。先方は月50ドル課金するのが、せめてもの救い」、「リアルタイム系の会社はFacebookを除き、どこも収益という面ではかなり未熟」
Eric Schonfeld「FacebookのFriendFeed買収は、このスペースの買収第1号だった」
Michael Arrington「検索は大きい。TwitterがSummizeを買収した際、Twitterは会社株の確か8%を渡したと思う。報道されたかどうかは覚えてないが、とにかく大きなパートだった。あと金が動くのはYammer、Echangeなどがやってること(エンタープライズ)だが、このバケツ2個以外に、スタートアップが儲ける方法なんてあるのか?」
Ron Conway「最高のバケツじゃないか」、「クーポン広告はこれまで新聞の独壇場だった。それもジオタグで変わる。これひとつとっても、途方もない収益性を秘めている。そして、それが起こるのは2010年だ」、「リアルタイム検索は既に出てるプレーヤーから1社、勝ち残る。その他、リアルタイムはCRM、決済、ライセンシングなど広い範囲に影響を与える」
Brian Singerman「リアルタイム・セールとクーポンは確かにトラフィックが巨大」
Andrew Braccia「リアルタイム検索は厳しい業域。3~4年前にはどのサイトも30%がgoogleのSEO、40%がSEM、残りが直接紹介だった。今は突如現れたFacebook、Twitterが大きなレファラー(トラフィック誘導者)になっている」、「リアルタイムウェブは次のWeb2.0たりえるのだろうか?」
Steve Gillmor「Twitterとのディールについては何か知ってる?」
Dan’l Lewin(MS)「どっちのディールの話?」
Michael Arrington「どっちって、まだ他にあるのか?」
Dan’l Lewin(MS)「彼らとうちの取引きは1つだけだ」
Steve Gillmor「質問は、フィードのライセンスのこと?」
Michael Arrington「パネリストはみんな答えを知ってるようだね(しつこく食い下がるが諦める)」
Paul Buchheit「そういえば、Zynga IPOの噂を聞いたなぁ」
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(感想)午前の企業座談会は決まり文句の確認、午後のメディア座談会はスロー&手探り、ジオ座談会は超早口&行け行けムード、投資家座談会はノラリクラリと腹の探りあい、というカラーの対比が面白かった。それにしても会場のみんなも、ツイッターやフェースブックを見ながら聞いてる人がほとんどだ。最初ネット接続のパスワがもらえるとは知らず、隣の人に「入れないみたいですよ」と答えてしまったが、その人がパソコンをパタンと閉じて鞄にしまい、座り直して話に聞き入る姿が、やけに印象に残ってしまった。勉強不足を取り返し、いろんなこと考えた1日でした。感謝。□

20日は雨。サンフランシスコに向かう101で見た虹





いやーお疲れさまでした。情報だけでなく雰囲気がよく分かりました。
シリコンバレーはまたかなり温度上がってきてる雰囲気かな? (大企業のレイオフは続いてますが)
冷えたときが熱いんですよ:)