Sellaband、クラウドソーシング(crowdsourcing)で無料ミュージック
by Marshall Kirkpatrick on 2006年8月25日

ドイツのスタートアップSellaband.comは一般群集の知恵と資金を有効活用し、質の高いインデペンデントミュージックをプロデュースし無料ダウンロードできるようにしようとしているサイト。成功の可能性はあまり高くなさそうだとはいえ、これは面白い企画だ。

方式はこう。まずバンドがサンプル曲をSellaband.comにアップロードする。バンドは自分のプロファイルページで精一杯プロモーションし、ファンから一口10ドルで資金を募る。資金が5万ドル集まったら実際にレコーディングが行われる。5万ドルが集まって[レコーディングが行われる]以前なら、ファンは投資した10ドルをいつでも返金してもらえる。レコーディングが実施されたあと、楽曲はSellabandのサイト上で無料で提供される。そして、サイト上の広告収入はバンドに60%, Sellabandサイトに30%、残りは雇われたプロデューサーとマネージャーに支払われる。ファンにはレコーディングされたCD1枚が無料で提供され、そのほかにバンドが任意に提供したいと思った特典がもらえる(コンサートチケットなど)。Sellabandは楽曲に対して12ヶ月の権利を有する。Sellaband側は多くのバンドが一口10ドル出したいと思う5千人のサポーター(”Believer”と呼ばれる)を集めることがきると確信しているようだ。

スタートから1週間たった現在、登録された130のバンドのうち、ほとんどは200ドルから500ドルしか集めていない。オランダのあるゴシックロックバンドは4500ドル集めている。Sellabandによれば5万ドルという目標はメジャーレコードレーベルと同等レベルの質の高い録音機材とサービスを確保するために必要な額として設定しているという。この5万ドルはサイトへはいっさい行かない。サイトが受け取るのは広告収入の30% のみだ。このサイトの運営者はメジャーレコードレーベルで働いた経験のある人たちで占められているが、彼らの仕事には感心する。われわれのような素人よりも上手にその5万ドルで品質の高いアルバムづくりができるという彼らの主張は信用してやってもいいだろう。

ウェブサイトのデザインはとても良い。プロファイルページのURLは分かりやすく、他のソーシャルサイトと協調動作させやすい。事実、このサイトのあるコメントは「Sellabandは音楽業界からMySpace世代をターゲットにしたゲリラ戦をしかける第一歩だ」と主張している。とはいえ、何千ものティーンエージャーに「お友だちリクエストfriend request」を承認させることはできても、クレジットカード番号を入力させてネット上のバンドの権利を一口買わせるのはまったく別の話だろうと思う。しかし僕が間違ってるかもしれない。もし、一口をもっと少額で払えるオプション(例えば携帯電話のテキストメッセージサービス経由での支払い)があれば、もっと成功の可能性は高くなるだろう。

たくさんのユーザーが一致して支持したバンドの音楽を無料で提供するサイトを作るという考えはかなりおもしろい。その結果、バンドのCDがもらえるというのはたくさんの人々が10ドルを投資するモチベーションになるだろう。もちろんユーザーはいつでも返金を申し出ることができるのだが、クレジットカードで払った10ドルを覚えていてわざわざ返金手続きを始める率はそれほど高くはなさそうだ。Grant RobertsonはDigital Music Weblog に Sellabandこそ彼が長年期待していたような仕組みだと書いている。ただしSellbandの戦略については、まだ評価を差し控えている。

僕はこの音楽まわりでの新しいビジネスモデルアイディアが気に入っている。大変気に入っているといっていい。先月MikeがAmie Streetという別のサービスを紹介したが、そのサービスではユーザーは個別の曲(track)を需要に応じた価格(無料かそれに近い額からスタートする)で購入することができる。また、システム内で曲を推薦したユーザーは推薦による販売の収益をシェアしてもらえる。2年後に実際振返ってみて、このふたつが(どちらかが生き残ったとして)実現可能なシステムだったかどうかを見るのが楽しみだ。

[原文へ]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/universal-music-group-to-try-ad-driven-music-downloads-through-sprialfrog/ TechCrunch Japanese アーカイブ » Universal、SprialFrogで広告収入モデルの音楽ダウンロードサービスをスタート ― 依然としてDRM付き

    [...] 音楽愛好家たちはここしばらくの間、異なるビジネスモデルを要求してきた。そして、すくなくても業界の大物たちは SpiralFrogを通じてそれを実現しようとしている。僕たちは最近、新しいミュージックビジネスモデルを試しているインディペンデント系サイトをいくつか紹介してきた (Amie Street、SellabandそれにMagnatune)。しかし、大手企業にはより伝統的な試みを期待しなければならない。ローコスト、DRMフリーのeMusicもチェックしてほしい。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/amie-street-takes-innovative-music-model-into-be/ TechCrunch Japanese アーカイブ » Amie Street、革新的な音楽モデルがついにベータ公開

    [...] DRMから解放され、価格構造を変えようと試みている企業はAmie Streetのみではない。次にあげる企業もチェックしてみてほしい。クラウドソーシングによる音楽制作を行うSellaband、DRM重視の無料リスニングサイトSpiralFrog、DRMありの77セント楽曲それにDRMなしの88セント楽曲提供のPayPlay.fm、それに機能満載(加えて新たに資金調達した)ミュージックブラウザーSongbird。音楽流通は根本的再編が明かに必要とされている。DRMは高まる批判に直面している。高すぎる価格、それに、オンラインでの音楽配布が簡単になることで、僕たちが音楽に支払う金額のうち、主要音楽レーベルが(アーティストの代わりに)過大な金額を受け取っていることが明白になりつつある。Amie Streetが一般向けにベータ版を公開したことをとても嬉しく思う。そして、革新的なビジネスモデルを持つ同サイトまたは他のサイトがユーザーを引きつけることに成功してほしいと思う。 [...]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/sellaband-music-model-may-be-working/ TechCrunch Japanese アーカイブ » SellABandの音楽ビジネスモデル、人気上昇中

    [...] 昨年8月、Marshall Kirkpatrickが ドイツのスタートアップSellABandがローンチした際に紹介記事を書いている。Amie Street同様、SellABandは自分たちの音楽を聴いてもらおうと苦闘するアーティストを助ける革新的な手段を提供し、収益も上げようというサービスだ。アーティストはサイトに登録してから楽曲をアップロードする。ユーザーは聴いてみて気に入ったら、10ドル寄付する。あるバンドが総額5万ドルを集めたら、SellABandはレコーディングスタジオとプロのプロデューサーを提供してアルバム制作を助ける。理論的にはなかなかいいが、われわれが最初の記事を載せた時点ではあまり具体的なデータがなかった。ローンチ後最初の2週間ほどで130組のバンドが登録、数組が何百ドルかを集めているに過ぎなかった。それから数ヶ月たったが、これはびっくり。世界中から2700のバンドが登録しており、4組がすでに5万ドルのゴールを達成してアルバムを出している(Nemesea、Cubworld、Second Person 、 Clemence)。さらに後に続くバンドが控えている。MandyleighはTechCrunchの読者で、トップリスト の第4位にランクインしている。彼女がスタジオレコーディングできる日も近い。10ドルを寄付したリスナーはアルバムが制作されれば無料でCDを1枚貰える。制作できなかった場合は返金される。アーティストはプロフィールページから上がる広告収入の1/3と、アルバムセールス(が実現した場合)の60%の分配を受ける。またアルバム発売後1年経つとすべての権利がアーティストに返還される。[原文へ] sellaband [...]