あっという間に6ヶ月が過ぎた。Time Inc.からTechCrunchに移って以来、ノンストップでブログ記事をポストし、睡眠時間はほとんどなく、ますますニュースフィードやTechmeme、そしてBlackberryにのめり込み、生活は嵐のようになった。先週、私は自分にとって600本目となる記事を書いた(この記事は617番目の記事)。前の職場から持ってきた箱は、TechCrunchのオフィスでまだ山積みのまま未開封。たったひとつ、3歳の息子の絵が壁を飾っているだけだ。荷物を開ける時間も、ましてや物を置く本棚さえ買う時間がなかった。14年分の荷物。自分でも驚くが、そのどれもいらないものだ。
ジャーナリストとしての私はこの記事をずっと避けてきた(ひとりでじっと考え過ぎ、自分のことに没頭し過ぎた)。しかし、ブロガーとしての私は書かずにはいられない。どのように作られ、それがどのように消費されるかという点で、メディアは変化している。今、ブロギングとジャーナリズムが衝突している。旧世界がどうだったかを忘れてしまわないうちに、そして新世界で快適さを感じ過ぎてしまう前に、私はこの移行について書き留めたいと思う。(注意:長い記事が好きじゃないなら、この記事は飛ばして欲しい)。
ブログが次々にプロのスタッフを増やしていくに従い、ますます多くの新聞や雑誌の記者がブログを始める必要が出てきている。例えば、Techmeme Leaderboardを見てみよう。トップページはブログと従来の報道機関にほぼ均等に割かれている。ここで注目すべきは、ブログは専門的なもので、記事を書くスタッフを備えているということ(TechCrunch、ReadWriteWeb、Ars Technica、Silicon Alley Insider、GigaOm、VentureBeatなど)、また、最高位に位置付けられるニュースサイト(CNETとNew York Times)も最も精力的ななジャーナリストブロガーを擁している、ということだ。
けれど、専門的なブログに転換し、現在は小規模なメディアビジネスを構築しようとしている大きなブログの全てが個人のブログとして始まったことを思い出して欲しい。また、(TechCrunchを含む)これらのブログが世の中の何百万ものブログを代表している小さな小さな一部分だということも思い出して欲しい。他の人と違い、私はプロとしてのブログと個人的なブログとをはっきりと線引きしてはいない。どんなブロガーも公のディスコースに貢献するレベルにまで達することができる。一貫した基準を持ってそうしている人、例えばDave Winer、Robert Scoble、Nick Carr、Mark Cuban、Fred Wilsonなどは、幅広い支持者を得ているし、読者に対する責任は全てのジャーナリストと同等だ。
もっとわかりやすくいうと、読者が信頼する情報源と信頼しない情報源があるということだ。一度信頼のレベルに達してしまうと、できる限り真実を伝えることが彼らの責任になる。
私にとっては、ブロギングとジャーナリズムはずっと前にあいまいになり始めていた。私は、現在New York TimesのテクノロジーエディターをしているDamon DarlinからBusiness 2.0ブログ(Next Netになったもの)を引き継いだ。それは2005年5月、Michael ArringtonがTechCrunchを始める1ヶ月前のことだった。Michaelと私は初めから波長が合っていたことを思い出す。その当時はもちろん、、私よりも彼の方がブロギングをまじめに捉えていた。
Business 2.0では、私のブログはいつもサイドプロジェクトだった。フィードの購読者が5万人にまでなったけれど。私は印刷媒体の雑誌の執筆、パッケージ、記事の調整をし、収入を得ていた。その他にも小さな会議を開催したり、ウェブビデオに手を出したりと、他の副業もやっていた。最終的にはブロギングはその雑誌にとってより重要になり、全記者と全編集者がブログを始めなければならなくなった。けれど、それは副業を超えるものにはならなかった。
TechCrunchの仕事は全然違う。ひとつには、私は長く物語的な記事はもう書いていない。(このような週末の記事を除いては)物語を語る時間はあまりない。ほとんどがニュース速報、事実の報道、分析の提供だ。TechCrunchでは、1日24時間、週7日、私は完全にブロギングにかかりきりになっている。(例えば、50のインタビューと何週間にもわたる取材旅行が必要な綿密な雑誌記事とは違い)多少の例外を除いて、どの記事も書くことはさほど難しくない。とはいっても、全体として見ると、実際ブロギングは大変だ。ブロギングは決して止まらないからだ。「もうすぐ終わるよ。あともうひとつ更新したら」という私の新しい呪文を繰り返して私のことを真似している妻と子供たちに聞いてみるといい。
TechCrunchを公開するのは超特急列車に乗るようなものだ。私が飛び乗ったとき、TechCrunchはすでに時速150マイル(約241キロ)で走っていた。6ヶ月前、メインのTechCrunchサイトは月間約200万人の訪問者を記録し、最もリンクされたブログのリスト、Technorati 100の4位にランクインした。それから6ヶ月が経った今日、月間訪問者は300万人に手が届きそうなところまで来ている(厳密には290万人)。先週、TechCrunchはEngadgetを初めてを追い抜き、Technorati 100のナンバー1に輝いた。(それがどのくらい続くか見てみようじゃないか。Hufifngton Postが追跡中だ)。
では、TechCrunchのやり方とは? それは執念としかいいようがない。メインのTechCrunchブログは4人が執筆している。Michael、Duncan、Mark、そして私だ。(私が始めたときは5人だったが、Nick Gonzalezはスタートアップの比較的健全な就業時間の方を選んだ)。サイズは小さいが、TechCrunchは世界的な組織だ。移動中でなければ、MichaelとMarkはカリフォルニアから、Duncanはオーストラリアから、そして私はニューヨークから記事を書いている。だから、常に誰かがオンラインで、全員がオンラインということも多い。Michaelは文字通り、決して眠らない。全く不健康なことだ。
我々がTechCrunchでやっていることは、実際とてもシンプルだ。ウェブのスタートアップや、それをコピー、あるいは買収しようとする技術系の大企業について書く。日によっては、Amazon Kindleのローンチについてのライブブログ、 インターネット時代における言論の自由に関する議論、Googleの秘密プロジェクト の暴露、 頼まれてもいないYahoo買収に対するアドバイス、 ホットな新規スタートアップについて書くことができた。
いつも何か他に書くべきことがあるのに、それをカバーする時間が足りない。しかし、もし自分たちで公表することができないのなら、ニュースが起こったあといかに早く記事をアップできるかが生死を分ける。TechCrunchのタイプミスに頻繁に遭遇する読者は知っているように、自分たちの記事を読み返す暇はほとんどない。幸運なことに、我々の読者はコメント欄で間違いを指摘するのが大好きだ。彼らはTechCrunchのコピーエディターであり、事実調査員でもある。(そんな君たちが大好きだ)。70%のストーリーを素早くアップし基本的事実を正しく得る方が、残りの30%を得るのに1時間(あるいは1日)待つよりもいい、というのが我々の哲学だ。我々はいつでも記事をアップデートしたり、新しい情報が出たときにそれを記事に書いたりすることができる。たいていは、情報の一部を載せることが真実に導いてくれる。詳細を知っている情報源が我々にコンタクトを取ってきたり、直接コメントに書き込んだりしてくれるのだ。
TechCrunchが専門的なメディアサイトというよりは、もはやブログなのかどうかを疑問視する人もいる。だが、その区別はますます意味のないものになってきている。真実は、TechCrunchはそのどちらでもある、ということだ。我々は従来の報道機関と競合しているが、スタッフの数はわずかだ。それは競争上優位だ。我々は確かにニュースをカバーしているし、独自のレポートもしている。けれど、他でレポートされたニュースに関しても議論しているし、個人的な意見を表明するのも躊躇しない。TechCrunchは情報源でもあり、フィルターでもあるのだ。
従来のメディアと注目を集めることを争うのに役立つ即時性、ギブ・アンド・テイク、視点など、ブロギングには何かがある。そして、それを失いたくはない。ときには従来のジャーナリストが不適切だと考えるかもしれないやり方で我々は推測し、議論し、話し合うことが好きだ。読者が記事を読みに戻って来続けてくれる限り、それでいい。
だから、ブログって何だ? それは読者との対話だ。しかも、真実を全部知った上で会話を始める必要はない。しかし、もし始めた以上のもので終わり、間違っているとわかるとき以上に正しいとわかることの方が多いなら、これは役に立つ。そうでなければ、人は他人がいうことを聞くのをやめてしまうだろう。これはどんなメディアソースについても同じだ。
(ハッブル望遠鏡の衝突する銀河の写真はOswaldoからとったもの)
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(翻訳:Megumi H.)




記事も読んでくれる人がいるからこそ存在意義がある。ブログやSNSといったソーシャルメディアは、顧客(読者)と対話しながら、つまりフィールド・リサーチをしながら情報を提供できるすばらしい環境なのだと思います。なので、従来メディアからブログに転進する人がいるのだと思う。