ダボス会議の超パネル討論会「モバイル技術の未来」
by Michael Arrington 2008 年 1 月 26 日 append.gif この記事をBuzzurlにブックマークする

『フォーチュン』シニアエディターのデビッド・カークパトリックが司会を務める要人揃いの討論会が今日午後ダボスで開かれた。演題は「モバイル技術の未来」。

パネリストにはグーグルCEOエリック・シュミット、FCCケビン・マーティン委員長、米ソニーCEOハワード・ストリンガー郷、NBCユニバーサルCEOジェフ・ザッカー、SKテレコムCEO金信培(キム・シンベ、Kim Shin-Bae)、中国移動(チャイナ・モバイル)CEO王建宙(Wang Jianzhou)が参加した。

まず最初、カークパトリックはモバイル分野におけるアジアの成長に話題を向け(中国移動は中国市場を独占しており、毎月600万人もの新規利用者を獲得している。一方のSKテレコムは韓国で市場シェア50%以上を独占する)、モバイル広告収益の予想が寂しいことに触れ、一例として米モバイル広告市場はだいぶ先の2012年まで$1B(10億ドル)のラインに届かないというフォレスターの調査結果を引用、モバイル端末への広告表示は現在のネット広告の3%を占めると話した。

グーグルのAndroidとモバイルのティッピングポイント

シュミットは収益予想は軽視している様子で、モバイルはまだティッピングポイント(世の中の流れが雪崩式に変わる分水嶺)には到達していないという。来年辺りにはその転機が訪れるだろう、と。そうなったら今述べたような収益予想はとても控え目な数字になるだろう、というのが彼の言い分だ。氏がグーグルの新Androidプラットフォームで実現を目指しているのは、市場がティッピングポイントに到達する手助け。そうしながらモバイル広告から収益をあげることにある。

シュミットはまた、モバイル端末にはGPSなど各種機能を搭載し、現在地ベースの広告など新タイプの応用が利くので、パソコン以上に面白くなる可能性があると主張。新サービスをオープン標準のオープンプラットフォーム(Androidのことだ、もちろん)上に乗せ、さらに700MHz周波数帯域のルールがこれを容認する、これが鍵だと語る(大筋では許可されている)。 この条件が整えばモバイルの世界にも「大革命」のお膳立ては整うが、それがないと、せっかくのネットワークも“島(アイランド)”としてクローズされてしまう。

アジアにおける成長: モバイル端末は「体の延長」になりつつある

中国移動CEO王建宙は今日、中国国内には3億1700万人ものモバイル顧客がいる、市場全体では利用者5億人だ、という。人々にとってモバイル端末はもはや自分の延長のようなものであり、携帯電話さえあれば音声やSMSで他人と繋がっていられるし、逆に携帯電話を持っていないと人間らしい暮らしに必要な最低限の基礎機能にも支障を来たしてしまう、と語る。

同社では毎月600万人の新規加入があるらしい。海外進出は検討中かどうか尋ねると、中国国内だけでも成長のポテンシャルはかなり大きいので今は中国市場に全力投球だ、と答えた。

NBCも携帯ドルに大きな関心。ソニーの関心は今ひとつ

ストリンガー(米ソニー)もザッカー(NBC)もコンテンツを携帯利用者に見せたがっている点では一緒。だが、どれだけ効率的に実行できるかについては見方が異なる。

ザッカーは今の米市場の割拠状態を嘆きながらも、自社マーチャンダイズ(特に短編動画)に関しては効率的に(PCからモバイルへ)動かすことができると将来を楽観視している。収益分配も抜本から変える必要がある。今はコンテンツ製作者に払われる収入は売上のたったの10%で、収入の大半はキャリアに取られているが、競争とオープン性がこれを変えるだろう、と氏。

ストリンジャーはそこまで楽観的ではない。例えば中国の顧客はコンテンツは買わず、空のCDを買ってばかりだと言う。「コンテンツ価格を今の状態に維持することは並大抵のことではないでしょう」。さらに、「昔の状態はもう失われてしまったのに、それを守ろうとしても。面倒に巻き込まれるだけです」と辛口の一言も。 ストリンジャーには高いカリスマ性が備わっているし、話も面白いが、その苦悩は傍目にもアリアリと感じられる。例えば誰かが、ソニーのOLEDスクリーンの新技術が求め易い価格でモバイル端末に採用されるのはいつ頃になるか尋ねると、製造コストの高さを引き合いに出し、「コンシューマーエレクトロニクス端末で利益を出すことも当社の目標の一つでね」と冗談を飛ばす一幕もあった。

FCCは自らの妥協を擁護

FCCのケビン・マーティン委員長は、モバイル市場を一部開放する決定を委員会が先ごろ下した点に触れ、グーグルが要請した主要ルールの多くを却下したことに関し委員会の立場を擁護した。

例えばネットワーク事業者に卸売レートでアクセスを他の会社に販売するよう求めることは、事業者の「パイプを維持する」インセンティブの減退に繋がる、と指摘。インフラ投資は鍵を握るものであり、オープンネットワークの強制は業界にダメージを与える、と話した。

私からマーティンには、グーグルの公開書簡が氏と委員らに周波数帯域のルールをオープンにするよう圧力をかけたかどうか尋ねた。氏はプレッシャーはかからなかったと答え、それよりも何よりも既存電話事業者から波風立てずにおくようかかったプレッシャーの方がずっと大きかったとの返答。もっとも、グーグルの書簡があったので、部分的にでもオープンにするよう委員を説き伏せる説得材料にはなった、と話してくれた。

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(翻訳:satomi)