日々の暮らしにまだ広告が足りないとでも言うかのように、今度は電話を保留にすると流れる音声広告、無料ウェブ電話使用中に流れる広告のニュース。実現を目指しているのはニューヨークシティ(NYC)郊外のスタートアップ「VoodoVox」。ソフトバンク・キャピタルと Apax Partners、Steamboat Ventures(ディズニー)の援助を受け、VoodooVoxはこれまでに計$13M(1300万ドル)の資金を調達した。
CEOのJ. Scott Hamiltonが目指すのはこのVoodooVoxを、“インコール(in-call)”広告という分野のDoubleClickに育てること。
「また1994年の(ネット広告の)振り出しに戻ったようなものですね。[...]バナーが何かも分からない人たちにバナーを売っているんですから」
と氏。彼が売っているのは比較的新しいかたちの音声広告だ。
VoodooVoxは5年前、ラジオ局の電話対応自動化システムの構築で始まった会社だが、この1年半は電話その他の端末の音声ターゲット広告配信にも事業を拡張している。カリスマDJのHoward Sternが司会を務める人気ラジオ番組や、MTVのリクエスト番組では視聴者からの電話が1日数百、数千件も入る。VoodooVoxのソフトではこうした通話の処理とメッセージ録音、電話主の(性別、年齢、住所などの)人口統計情報の回収ができる。広告は例えばこちらのMSN Musicの広告のようなのは朝飯前。これはNYCヒップホップミュージック専門局Hot97のコールイン広告として流している広告だけども、MSN Musicのお得な情報を携帯に送って欲しい視聴者は“9を押しましょう”と言っている。
VoodooVoxの通話管理システムを導入しているラジオ局は400局前後で、それ以外にもテレフォンカード会社など”音声パブリッシャー”が200社ある。全部合わせたら受ける電話は月3億件で、うち現在VoodooVoxが音声広告を配信しているのは10%、CPMは平均$10~$15だ。この広告収入は通話受付け窓口の会社と50対50で折半している。つまり、VoodooVoxには音声広告ネットワークになるだけのクリティカル・マス(社会の流れを変える規模の大衆)があるのだ。
額は明らかにされなかったが先日もJones MediaAmerica というラジオ音声営業会社と$2.3M(230万ドル)の提携をまとめ、VoodooVoxの広告をJonesがラジオTV局に再販営業をすることで合意した。
が、ラジオはまだ序の口で、「たまたま今は電話で流していますが、他のメディアに流せない理由はない」とHamilton。同社の広告ならウェブベースの電話サービスやオンライン楽曲サービスにも簡単に挿入できそうだし、事実、VoodooVoxはウェブのボイスメールサービス「MyVoxとSayNowにも広告配信を提供している。音声アプリのBlabberize とも交渉中。
考えようによってはラジオ広告を一からやり直しみたいにも聞こえるが、VoodooVoxの広告は(一般のラジオ広告と違って)大体10秒から15秒で終わるし、通話や娯楽を中断しないスポットに流せばベストな成果が得られるだろう。
411の無料番号案内コールのような広告収入で賄うVoice 2.0のアプリは何もここが初めてではないが、Hamiltonの野望はもっと大きい。「携帯、電話線通話も広告で。そうなる手応えはありますね」と未来予想を語っている。たぶんいつかは。でも今はまだ…とにかくウェブでこれだけのVOIP通話が使われているのを見ると、スタートアップにとってはVoice 2.0の新型アプリを作る方が、そのアプリで儲けを生み出す方法を考えるよりずっと簡単なことが分かる。Hamiltonが見たら、こうした通話は全部広告をつける目録に見えるところだろう。
簡単に想像がつくことだが、VoodooVoxの広告はオンラインの楽曲サービスにも恩恵をもたらすだろう。ネットで今行われている広告入り通話や広告入り楽曲サービスの実験はそもそも、「音声配信サイトに目で見るバナー広告を出す」という発想に縛られているものがほとんどだ。でも音声配信サイトなんて誰が見る? サイトからストリーミングで音楽聴いている時は僕なんかの場合、例えば窓は後ろの見えないタブに置いて聴いたりしてる。サービスはスピーカーから受けているのだ。通話専用アプリにも同じことが言える。エクスペリエンスはヘッドセットを通して、だ。
音声広告は容易に無視できそうにない。一方で、聞きたくもないもの聞かされて時間を無駄にするのが嫌な人がはずせるような選択肢(オプション)も用意しておかないと、もっと広告をうるさく感じるだろうし一生使いたくないサービスになる可能性も。でもやはり音声広告のDoubleClickという発想には大いに興味をそそられる。
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