YouTube、パートナーとの広告収入分配プログラムを開始―依然プリロール広告なし
by Duncan Riley on 2007年5月5日

youtube.jpg最初にOm Malikがスクープし、その後YouTube Blogで公けになったニュースだが、YouTubeが大手コンテンツ提供者に広告収入を分配するPartners Programをローンチした。YouTubeは$1.5B(15億ドル)の買収価格に対し昨年わずか$15M(1500万ドル)の収入しか記録していない。この事態の改善に向けた重要な一歩となるだろう。

ただし、この発表には重要な点が欠けている。LisaNovarenettoHappySlipsmoshvalsartdiaryを始めとするYouTubeのパートナーに対し、プリロール広告や同種のビデオの一部に埋め込める広告のサービスをスタートさせる決定は行われなかったのだ。

ビデオ内広告が導入されるという噂は今年1月の記事で紹介した。その中で本誌Steve Poland記者は「YouTubeのCMは3秒間のプリロールになる」というBBCの報道を引用している。しかしそれから4ヶ月もたつのに、何の動きもない。

YouTubeが投資に見合う収益(ROI)をGoogleになんら貢献していない状況の中、この新しいPartners ProgramもYouTubeサイト上でのAdsense広告表示の導入止まりとあっては、こちらとしても首をかしげざるを得ない。メリットがなくはないものの、この新プログラムはYouTubeのコンテンツが利用される局面の一部しかカバーしない。YouTubeの大きな強みは、スタート当初から、外部サイトで表示できるエンベッド可能なビデオの提供にあった。大半とはいわないまでもユーザーの多くはYouTubeのサイトではなくブログやフォーラムでエンベッドされたビデオを視聴するはずだから、YouTube上にAdSense広告が表示されたところで彼らは見ていないことになり、コンテンツ提供者にとって、そのような視聴はまったく収入をもたらさない。

Red Herringが4月に伝えたところによると、YouTubeはこの夏にもプリロール広告を導入したい意向らしい。ところが、対象はプレミアムコンテンツだけ。もちろんテレビ番組や映画などのプレミアムコンテンツがYouTubeに大きなトラフィックをもたらしていることは疑いないが、だからと言ってそこの部分だけにビデオ内広告を導入するのはいかがなものか? Googleが買収し正式にコンテンツ配信契約を結ぶ以前のYouTubeを支えた原動力は(今もそうだという意見も多い)ユーザー生成コンテンツのロングテールである。それを無視する行為につながりかねないのではないだろうか。

ここで、なぜプリロールを導入しないのか?という疑問が湧く。なぜプリロールをはじめとするビデオ内広告をYouTubeの全コンテンツに導入しないのだろう? 確かにCMを嫌う視聴者はいる。ただ、Google自身、広告のことは熟知しており、今日までのビジネス的成功も大部分はGoogleがコンテンツ提供者を大規模に広告システムに取り込んだ戦略に負っている。GoogleAdsenseは現在明らかにライバルに優位を保っているが、それも元をただせば全世界の広い範囲のパブリッシャーが容易に現実に参加できるプログラムだったからである。YahooのYPNは依然として米国内のみ、招待制のサービスだし、Microsoft AdCenterにしても…まあロングテールの取り込みに熱心でないことだけは確かだ。

もしかすると、技術的な課題が解決できていないのかもしれない。Googleはビデオ内広告配信に関する技術を確立していないのかもしれない。そうなるとそうなったで、なぜこんなことにこれほど時間がかかっているのか、これはGoogle版のPanamaか、と疑いたくなる。YouTube買収以前からGoogleVideoは存在していたのだから、この問題に取り組み始めたのが昨年9月からということはないはずだ。しかもRevver のような小規模なスタートアップがなんら問題なくビデオ内広告の配信に成功していることを考えると、Googleがさらに動画分野で企業買収に動く可能性もあながち消えてないな、と思う今日この頃である。

[原文へ]

  • http://jp.techcrunch.com/archives/youtube-video-advertising-no-pre-roll-no-context/ TechCrunch Japanese アーカイブ » YouTubeビデオの広告に依然プリロールなし、コンテキストなし

    [...] NewTeeVeeでLiz GannesがYouTubeのビデオ内広告について要約している 。 われわれもYouTubeが5月4日に主要なコンテンツの提供者に向けた広告収入の分配計画を発表したニュースをカバーした。その際、私はプリロール広告を実施する予定がない点を指摘しておいた。プリロール広告は未だに導入されていない。Google/ YouTubeの新しいビデオ内広告については、AdbriteのInVideoサービスとの比較をすぐに思いつく。テキスト広告がビデオ画面にスーパーインポーズされる点ではどちらも同じだ。しかし似ているのは単にそこだけ。Adbriteのサービスは外部サイトへつながるテキストリンクが提供される。YouTubeの新しいサービスは簡単にいえば「ビデオの中のビデオ」に過ぎず、広告テキストをクリックしてもビデオ広告がプレイヤーに表示されるだけ。YouTubeから収益を上げようとするGoogleの努力がこれで一歩を進めたことは確かだが、私には依然として不徹底に思える。NewTeeVeeに掲載されたサンプルがすべてを物語っている。MyChemical Romanceの音楽ビデオの下部にCingular/ AT&Tのテキスト広告のスーパーが出る。Cingularは新生AT&Tに違いないだろうが、それとMyChemical Romanceといったいどういう関係があるのか? まったく無関係だ。 コンテキストによって広告とコンテンツを適合させるメカニズムはいっさい働いていない。このビデオにせよ、他の音楽ビデオにせよ、ユーザーがビデオの視聴を中断してまでAT&Tの広告をわざわざ見ようという気になるだろうか?ある意味、これは典型的なGoogle式の日和見だ。YouTubeの収益を改善する必要があるが、配信するビデオにプリロールやポストロールを挿入することには及び腰のように見える。代わりに現在は中途半端な方法、つまり視聴者に広告を見るかどうか選択権を与えると称するものの、実態としては視聴者が広告を見ないですませるような方法を採用している。プリロール、ポストロールは、たとえばOnion News Network でのDewarsウィスキーのキャンペーンの場合のように、効果的に実施できる場合もある。もちろんいっそう重要なポイントは、視聴者が見ないですますことができないことだ。誰もCMを好んで見るものはいないが、その広告主が現在われわれが消費するメディアの大きな部分を支えている。YouTubeはWeb 2.0を代表するユーザー生成コンテンツサービスに躍進したわけだが、経営的側面から逃れることはできない。Googleが支払った15億ドルを取り返すまでの道のりはまだまだ長そうだ。新しい広告サービスは多少の余分な収入をもたらすだろうが、大規模な成功を収めるとは私には思えない。[原文へ] Google YouTube [...]