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Zecco、前途は険しい

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注:以下の記事は常連寄稿者Neil Kjeldsenのものだが、Neil は9年間にわたって株のブローカー業界で働いていた。最近の仕事はschwab.comのウェブサイト管理だった。

昨日(米国時間9/21)、Zeccoのコミッション無料の株式売買プラットフォームの発表は、テクノロジー界に大きな反響を呼んでいる。現代というマーケットにとって逆風の不安定な時代を考えると、これは面白い試みだ。しかしZeccoなどのスタートアップが大手のブローカーに影響を与えるようになるまでには長い時間がかかると思う。これにはいくつか理由がある。

  1. ほとんどの顧客は株の売買をあまり頻繁に行わない。そこで手数料が問題になるのはマーケット参加者のごく一部に過ぎない。 非常に活発な短期売買(Active Trading:buy-and-hold―買い持ちの反対で、短期のトレンドを見て売買・予測するアプローチ)で株式仲買業に大きな手数料収入をもたらす顧客もいるが、多くの口座の持ち主は平均して年に数回取り引きを行うだけだ。そのため、一生に一 回出会うかどうかというめったにない右肩上がりの市場で(たとえば90年代のような)、誰も彼もが株を始めるようなことでもないかぎり、 AmeritradeやeTradeは生まれない。そういうことが起きてZeccoが繁盛するようだったら、私が間違っていたことになるだろう。 Zeccoが生き延びることができないと言っているのではない。小さなニッチビジネスを築くことはできるかもしれない。しかし大手に対する脅威になるかっ て? 猛烈に強気な市場にならないかぎりそれはない。私はもちろん市場の予言者ではないが、石油価格が70ドルでアメリカが世界中あちこちで戦争をしてい る現状では、ここ数年そんなことは起きそうにない。
  2. ディスカウント・ブローカーはすでに手数料をゼロに近づけている。Schwab は2年間で手数料を30ドルから10ドルにまで下げ、それに応じて社内も改革した。売買手数料に永久に頼りつづけるわけには行かないと認識して、彼らは助 言サービス、マネージドアカウント、固有のミューチュアルファンド(米国の投資信託)、バンキング・貸出業務などに向かっている。 細かい数字までは知らないが、SchwabとFidelity は両社ともトレーディングよりはるかに多くの収入をミューチュアルファンドとキャッシュバランスから得ている。前回の危機からeTradeを救ったのはお そらくバンキングだろう。現在eTradeは助言業務にも進出中だ。 Ameritradeは助言業務を強化するためにWaterhouseの一部を買収した。手数料ゼロトレードは将来の形だろうが、これらの会社の場合、そ れに対応するよう社内体制を整備するのにあと数年はかかるだろうと思う。.
  3. 安いからといって人気が出るとは限らない。安ければいいというのならSchwabは何年も前にMerrillをやっつけて いたはずだ。もちろん一定の影響は与えたが、Merrillは金融サービス分野で大きな存在でありつづけている。Merrilが生き延びたのはマネーがら みでは(運用実績の助けになるとは限らないが)顧客サービスが重要だからだ。実例を見てみよう。たとえば現在SchwabとFidelityがどうやって Merrill、 Smith Barney、などの大手に挑戦しているか? 顧客サービスの売り込みによってだ。

こ ういうことを踏まえたうえで、もしZeccoが非常にすぐれた短期売買のトレーディングプラットフォームを作りあげるのに成功し、活発に短期売買を繰り返 す最上の顧客グループを引き寄せるのに成功するなら、大したものだが、そういうことは起きそうにないと思っている。活発に取り引きする最上の顧客グループ は何の資産もなくて料金にだけは非常にうるさい22歳の若者ではない。彼らはもっと年上で、地位を築いており、大きな財産を持っている。こういう人々はた いていの場合、財産のほんの一部で株式投資をしている。こういう顧客が年に何千ドルか節約するためにZeccoに走るとは考えにくい。大手ブローカーは彼 らの多くを満足させる顧客サービスを提供している。ZeccoはおそらくTradeStationのようなブローカー会社と直接の競争関係になるだろうが、TradeStationも熱心なファンがついており、しかもすでに手数料は十分に安い。

それではZeccoは誰を引き付けられるのか? もしZeccoが非常に優れた短期売買のプラットフォームを作りあげることができたら、私は前言を 取り消す。Zeccoの顧客ターゲット層が財政的に有料助言サービスやミューチュアルファンドを必要とするほどの力があれば良いビジネスチャンスがあるだ ろう。しかし広告収入で支えられる代わり映えしないブローカーサイトに過ぎない場合、顧客はほとんど財産のない、料金を出し惜しみする若い層だけというこ とになる。そしてそういう若い層も中年になって財産ができれば、多様なサービスを揃えている大手ブローカーのもとへ流れていくことになってしまいそうだ。

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