ソーシャルネットワーク市場はまだまだ成長する: SixApartのAndrew Ankerインタビュー

次の記事

Redditのファウンダーと会談

CLASS=shot2先週、ソーシャルソフトウェア企業 SixApart は同社の最新のソーシャルネットワークとブログホストサービス Voxをローンチした。発表は鳴り物入りだったし、サイトのデザインは美しく、 (僕も含めて)多くの人々が Vox のリリースはこの分野での重要な出来事だと判断した。しかしそう思わない人たちもいたようだ。

以下のインタビューで、ローンチ当初Voxに向けられた批判の主要なものについて、SixApart社のCorporate Development担当VP、Andrew Ankerに話を聞いた。SixApartに移る前、Anker はWired Digital の共同ファウンダー、CEOを務めた。August Capitalのゼネラルパートナーでもあった。以下のQ&Aはスタートアップ企業やソーシャルソフトウェア関係者全般に興味のある話題だと思 う。

Anker によれば、ソーシャルネットワークのマーケットは飽和しているにはほど遠い、またユーザーがたとえ行使しなくてもプライバシーを保護するサービスのマーケットも大きい、ということだ。彼はまた「ソフトウェアは機能豊富でなおかつ技術に強くないユーザーにも使えるようなものにすることは可能だ。オンライン 広告の時代も始まったばかりで、パンチ・ザ・モンキー式の幼稚な広告スタイルようやく脱しかけているに過ぎない。改良の余地はまだまだある」と語った。

以下のAnker の発言をどう考えるか、判断は読者に任せる。グラフィクはVoxの150を越すレイアウトテンプレートの中から選んだもの。
Marshall:
一部ではVox はまたひとつ余分なソーシャルネットワークが増えただけと見ているようだ。ソーシャルネットワークのマーケットは飽和状態に近づいているのでは?

CLASS=shot2Andrew:
われわれはマーケットが飽和状態に近いとはまったく見ていない。現在さまざまなサービスがすべてきわめて順調に成長を続けているのが何よりの証拠だ。ある会社がユーザーを獲得した分だけ他の会社のユーザーが減るというゼロサムゲームの段階にはるかに遠い状態だ。ケーブルテレビでたとえるなら、われわれは 1980年代にいるようなものだ。いくつか、MySpaceやFacebookのような大ヒットが出てはいるが、ソーシャルネットワークはユーザーのあら ゆるニーズ、このマーケットのあらゆる分野をカバーするにはまったく至っていない。

Voxにとってさらに重要なことは、より年配で、現在まだネットワークに熱中していない層をカバーするようなサービスはまだ全く不十分だという点 だ。MySpace はたしかに素晴らしいが、両親が家族ぐるみの付き合いをしている親しい友人たちと自分たちの子供の写真を共有したりするのにふさわしいところとはいえな い。

Marshall:
プライバシー保護に重点を置いたシステムが必要とされているという証拠は?

Andrew:
いちばん分かりやすい例はわれわれ自身の Live Journalだろう。これには1100万の登録ユーザーがいるが、しかし写真共有という混み合ったマーケットで Flickr’が驚異的な成長を遂げたことは、いかにプライバシー面に配慮したシステムが必要とされているかを証明するかっこうの例になっている。さらに 詳しく言えば、人々が必要としているのはプライバシーそのものというより、ユーザーが「これを見られるのは誰と誰」というようにプライバシーをコントロー ルできる能力だと思う。事実としては、Voxの(Live Journalもそうだが)記事や写真の大部分は一般に公開されている。しかしわれわれのユーザーはもし必要とあればコンテンツを非公開にできると知っている必要がある。まずはコンテンツをアップロードし、必要なら後で公開の範囲を決めればいいわけだ。

数ヶ月前、CLASS=shot2Facebookでプライバシーが問題になったが、これも結局コントロールの問題だった。この点についてはいろいろ議論された―たとえばdanah boyd.が記事を書かれている。 Facebook は変更を行ったとき、別になにも新しい情報を漏らしたわけではない。しかしユーザーはデータの公開についての自分の決定権を傷つけられたように感じた。それがあの激しい抗議を呼び起こした根底にあるものだ。

Web 2.0というコンセプト (Tim O’Reillyに よれば)の根本的な原則のひとつは、ユーザーが自分のデータを自分でコントロールするというところにある。われわれに関するかぎり、これは自分のデータを 誰が見られるか自分で決めることができる能力と、それと同時に、ユーザーが自分のデータをあるサービスから別のサービスに自由に移せる能力も意味する。

Marshall:
コメントを残すだけでも読者がいちいちVoxにログインしなければならない理由は?

Andrew:
これは一時的な技術的問題で、近く改善される。われわれはサイト立ち上げるに当たって大急ぎで片端から開発を進めてきたので、ローンチまでに間に合わなかった項目がいくつか残ってしまった。誰でもコメント欄を利用できるようにオープンにする には、現在実装しているものより優れたコメントスパムを防止ツールを開発する必要がある。よりよいツールが完成し次第コメント欄を一般に開放する予定だ。 正確にいえば、Vox内でVoxユーザーがコメントをコントロールする(誰でも、友達だけ、家族だけ)ことができるようにするのと同じことになる。つまり ユーザーがこの項目も設定できるようにする。
CLASS=shot2Marshall:
機能豊富かつギークでなくても扱えるようなシステムということだが、Voxチームはこれを実現するのにどういう戦略を取っているのか? この点、将来のシステムのルック&フィールはどうった感じになるのだろう?

Andrew:
ユーザビリティーを良くするには何千もの細かい部分を改良していく必要がある。機能の豊富さと扱いやすさをバランスさせるのものこのプロセス一部だ。Voxの開発では、非常に早い時点からわれわれは2週間という非常に速い開発サイクルを取っ ていた。つまり宗教の儀式みたいに必ずきっちり2週間ごとに全部の機能を実装して本番運用してみる。こういう高速なデザインサイクルを確立することによっ て、どんな問題が出ても必ず2週間以内にフィックスできる態勢を作り上げた。

われわれはサイトのあらゆる部分をHitbox で分析してきたし、内部にユーザビリティー改善のためのラボを設けている。またユーザーからのフィードバック全てに目を通す優秀なサポートチームがいる。 開発者チームはこのプロジェクトに情熱を傾けているしまた自分たちでもVoxを熱心に利用している。われわれユーザビリティーに関しては、常に有形無形の データに耳を傾けており、それにユーザーフレンドリーさを少しでも高めるために細かい回廊を繰り返してている。

CLASS=shot2Marshall:
Vox 上の広告は驚くほど目立たないようになっていてユーザーにとってはありがたい。しかし一部のユーザーは最近LiveJournalがスポンサー付きの機能 やコミュニティーを開設したことに不満をもっているようだが。運営ページの広告や地味な公衆向け広告、提携サイトからのアフィリエイト収入、そういったも のでVoxはやっていけるのか、それとも数ヶ月後にはFlashを使った派手なバナー広告が入ることになる?

Andrew:
われわれはVoxのユーザーと広告主とのニーズのバランスを図るために大いに努力してい る。それにユーザーはパンチ・ザ・モンキー式の広告やFlashを使ったバナーなどに好ましい反応を示さないことも理解している。われわれは企業だからも ちろん収益を必要としている。しかしだからといって適切に広告を表示することと収益を上げることが相反するものとは考えていない。

先週発表したとおり、われわれは広告主と緊密に協力しながら適切に広告を処理すべく作業を進めていく。ソーシャルメディア時代がまだ初期の段階にあ るわけだが、その中でもソーシャルメディア中の広告というのはさらに初期の段階にある。われわれはこれをもっとも有効な広告媒体のひとつに育てあげていけると確信している。

【日本語版コメント】
パンチ・ザ・モンキーとは一時流行した「このサルをクリックして20ドル当てよう」というバナー広告。釣られてクリックするとまた別の広告に誘導される。不快な広告の代名詞。

[原文へ]