Multiplyの新バージョン3.0 対 Vox

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プライバシーに重点を置いたマルチメディアソーシャルネットワークサービスMultiply は、今晩(米国時間11/12)、バージョン3.0 をリリースした。Multiply は実社会の知り合いとコンテンツを共有し、かつ強力なプライバシーコントロールが欲しいユーザーをターゲットにしている。プライバシーは、SixApart が提供する最新のソーシャルネットワークサービス、Voxでも重要なセールスポイントだ。Voxもマルチディアの共有に強いサービスだ。どちらのサービスでもユーザーはテキスト、写真、ビデオを一箇所に投稿することができる。

い よいよ長いベータ期間が終ってVoxがローンチされ、Multiply は新機能を搭載したバージョンが発表されることになったので、どちらがベターなサービスか比べてみるのによい時期かもしれない。もしユーザーが数々のかっ こいいテンプレートが選べて、ネットワークに若いヒップな仲間が多くて、新しいテクノロジーに真っ先に飛びつくアーリーアダプターのタイプだったらVox を選ぶのがよい。もし論理的かつ堅牢なプライバシーコントロールによる十分に隔離されたオンライン世界がお望みなら Multiply がよくデザインされている。僕は Multiply のメディアの記事やコンタクトに設定したネットワークからのニュースフィードの処理の仕方が気に入っている。Vox はかっこいいが、Multiply の方がより機能的だ。

Vox はLiveJournal、MovableType、Typepadを提供しているSixApartのサービス。われわれの前回のVox 紹介記事はここに。Multiply は非公開企業で最近$6M (600万ドル)調達している。Multiply は2年以上の歴史があり、300万人以上の登録ユーザーがある。

プライバシー設定と配信

プライバシーの設定は、どちらのサービスでもキーポイントと認識している。Vox へ投稿された記事は、「全体に公開」、「友人のみ」、「家族のみ」、「友人と家族のみ」、「自分だけ」、の5種類の公開範囲を選べる。

Multiply ではさらに細かい公開範囲の設定が可能だ。「自分の友人」、「指定した相手の友人」、「自分の家族」、「指定した相手の家族」、「指定した相手の家族と友 人」、「自分の仕事上の知り合い」、「指定した相手の仕事上の知り合い」、「友人または家族または仕事の知り合いとして直接のコンタクトリストに載ってい る相手」、「外部のアプリケーションからインポートされたリストにコンタクトとして載っている相手」というそれぞれの区分を選択できる。これはずいぶん詳 しく分類されたオプションで、インタフェースはこの分類が使いやすいように工夫されている。自分の家族と指定した相手の家族と、さらに相手の家族のコンタ クトの家族だけと共有したいとすると―さすがにそこまでのオプションは用意されていない。チェックボックスの代わりにスライダーを利用したコントロールは 分かりやすくて便利だ。

Multiply では「ユーザーがあるコンテンツについて自分の直接のコンタクトから1段階、2段階先のコンタクトにまで共有の範囲を広げたいが、そうするために彼らをコンタクトリストに加えたくない場合がよくある」と言っている。これは確かにうなづける意見だ。

言い換えれば、共有範囲のきめ細かい設定が必要ならMultiply の方がVoxよりも優秀だ。

ユーザーのネットワークからのフィード

Multiply のユーザーのトップページには現在の友人と家族の最新の投稿がフィードされる。このページの表示は「友人の友人」あるいはそれより遠い範囲に拡大すること も可能。Multiplyはユーザーが最近誰の記事を閲覧したかなどの情報に基づいて、独自のアルゴリズムにより直接のコンタクト[家族、友人、知り合 い]でない相手がどのくらい近い関係にあるかを判定する機能も提供している。

このMy Multiply ページは、[これに対応する]Vox Neighborhood ページがごたついているのにくらべてすっきりしている。[この二つは]非常にそっくりだが、VoxWatchページのほうがシンプルである。Facebook のケースが証明しているように、友人の行動を別のユーザーのページに表示する機能を設ける場合は慎重に行う必要がある。特にオリジナルの投稿者が誰にコンテンツを公開するかキメ細かい選択が可能であることを考慮して、僕はMultiplyがコンテンツを配信する方法が気に入っている。
これに関連して、ユーザーの友人を表示するセクションでは、その友人がどれくらい「親しい」か同じアルゴルズムで判定、友人の写真の上にマウスポインタを載せると、その関係が表示されて、メッセージを送るなり、逆にブロックするなり選択することができる。 (左の例参照)

マルチメディアコンテンツの処理

僕はマルチメディア処理に関しては Multiply の方が気に入っている。しかしiStockPhotoを利用してテキスト記事に写真を組み込むところなど、いくつかVoxにも良い機能がある。どちらの サービスでもユーザーはローカルなコンピュータおよびさまざまなオンラインサービスから写真やビデオをアップロードすることができる。 Vox はビデオのフォーマット変換ができるが、そのためにはメディアファイルを見るために、面倒な余分なページのロードが必要で、Voxのビデオ処理をテストし てみたところ、画質の大幅な劣化が見られた。Multiply はQuicktime で画質の劣化なしにビデオが見られるが、記事をポストした個所とは全然別の場所で再生される。

Multiplyの写真のアップロード機能はバージョン3.0で大幅にアップグレードされた。新しいAjax 利用のアップローダはドラyッグ&ドロップで簡単に写真の並べ換えや回転ができる。たいへん使い心地がいい。Vox はブログ記事中への写真の組み込み処理そのものについては優秀なのだが、Ajax による並べ換えができないのはいらいらする。

Multiply は双方向クロスポスティング[複数サイトへの自動投稿]を、LiveJournal、Blogger、TypePad,、Xanga、Windows Live Spacesについてサポートしている。Vox はSixApartが提供するLiveJournal と Typepad にのみサポートしている。Multiply はユーザーが指定した相手が投稿する最新の写真をダウンロードして自動的にスクリーンセーバーに設定する機能も提供している。これはファミリーユーザーに はうれしい機能かもしれない。

どちらのサービスも携帯電話から記事を投稿できるが、Vox ではいくつかの異なるメールアドレスに異なるプライバシー設定を行って登録することができる。Multiply のモバイルからの投稿機能はあまりに初歩的なのでどの程度実際に使われるか疑わしい。

所有権の考慮

最近僕はデータのエクスポートとユーザーIDの標準に関して、当然の権利の問題として考えるようになってきた。われわれは自分のデータに対して所有権があ るはず。自分のデータについてはひとつのソーシャルネットワークから別のネットワークへ素早く、簡単に持ち運べなくてはいけない。ユーザーがそう望むな ら、複数の異なるネットワークに単一の手続きでログインでき、必要なら複数のアイデンティティー (プライベートな個人として、仕事上の人格として)が利用できるべきだ。 まだこれはどこでも完全には実現されていないが、将来はユーザーがこういうことを要求するようになっていくだろうと思う。

Multiply は$50の料金で、ユーザーが蓄積した全データをCDに焼くサービスを提供している。彼らの言い分では、データのエクスポートサービスにそれほど需要がな いことは、このサービスが提供されて2年以上経つのに、利用したユーザーが一人しかいなかったことが証拠だとしている。僕はこの議論にはあまり説得力がないと思う。

Multiply ではまたOpen IDの標準、たとえばYahoo! Browser Based Authentication やその他の[異なるサービスから利用される]単一ログインシステムは以前 Passport システムが辿ったような不正使用の温床になるおそれがあるので、採用には慎重に対応したいとしている。僕は、サービス固有のログインに加えて何らかのオー プン標準を利用した単一ログインのオプションも用意されるべきだと思う。MultilyではどのIDシステムがマーケットで優勢となるか見極めていきたい と語っている。しかしそれは皆が言っていることで[これでは話が先へ進まない]。

Multiplyではあるコンテンツを家族だけに、別のコンテンツを仕事の知り合いだけに公開するよう設定できるので、ある程度異なる人格として振る舞うことが可能になっている。ただし全く違ったユーザープロフィールが設定できるようになっているともっと良いと思う。

Multiply はコンタクトリストをCSV ファイルとしてエクスポートできる。これはとりあえずスタートとしてはすばらしい。 Vox はこういったデータの所有権の面ではあまり機能をサポートしていない。しかしVoxはまだローンチされたばかりだし、SixApartの Anil Dash が僕に語ったところでは、こういった機能も含めて現在すべて開発途中だということだ。同社のLive Journal のプロパティーはID機能の面ではパイオニアのひとつだ。Multiply の開発チームはオンラインスポーツサイトと大手メディアから来ている。つまりメインストリームメディアがバックグラウンドにあり、ユーザーもメインスト リームタイプを狙っている。SixApart は逆に草の根タイプの革新者で、WEB2.0コミュニティーにもっと深くコミットしているが、今回のVoxではやはりメインストリームユーザーをターゲッ トにしているようだ。もしこの2つのサービスのうちどちらがOpenID や microformatsといった革新的な機能をサポートし始めるかといえば、おそらく Vox の方だろう。

Conclusion

この両者はプライバシーに重点を置いたマルチメディア共有型ソーシャルネットワークサービスの筆頭となるサービスだが、まだまだ理想的とまではいえない。しかし多くの点でうまくやっているといっていいだろう。どちらもウェブ上できわめて新しい分野を切り開いている。

どちらのサービスもそれぞれに特色があるので、それぞれのユーザーを獲得することができそうだ。それにこの記事ではまだ比較していない微妙な差異もある。 たとえば、僕はVoxの控え目な広告が気に入っている。Multiply はベンチャーキャピタルの資金で運営されており、まだ明確な広告戦略は打ち出していないようだ。

これらのサービスを少し詳しく紹介してみたが、僕は最近のSixApartのAndrew Ankerとのインタビューで彼が言ったこと にますます同感だ―この分野は MySpace、Facebook、LinkedIn以外にいくらでも優秀なソーシャルネットワークサービスが伸びる余地がある。

Iテキスト、写真、ビデオの共有サービスで、内容を誰に公開するかある程度コントロールができるサービスを探しているなら、この2つのサービスは要チェックだ。バージョン3.0のリリースでMultiply に今のところ少し分があるかもしれない。

【日本語版コメント】
MultiplyVoxも日本語化されている。ホームよりアクセスし日本語を選択できる。

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