Napster、AOL Musicを買収―次の手は?

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Napster は奇妙きわまる会社だ。これはまったく収益を生まないスタートアップだが、莫大な軍資金を抱えている。そういう財政状況が見通せるのは、珍しく上場企業だからである。

Napsterは楽曲の定額販売で妙なDRM付きダウンロードを提供している。月に10ドル払うとライブラリのどの曲でも聴ける。これは利益の薄い、難しい商売だ。価格競争は厳しいし(われわれの作ったこの業界のライバル比較チャート参照)、レコード会社とクレジットカード会社が収入の大半を持っていってしまう。最近の四半期を見ると、Napsterは$26M(2600万ドル)近い売り上げがあったにもかかわらずレコードレーベルその他へ経費として支出されなかった利益はわずか$7M(700万ドル)しかない。この薄い利幅というプレッシャーに加えて、数日前Virgin Musicがアメリカ市場から撤退を決めたばかりだ。

去年9月、Napsterは投資銀行を雇って自身の身売り先を探させた。この時点で、同社は$10M(1000万ドル)の損失を四半期ごとに出しており、銀行に手持ち資金として$100M(1億ドル)を持っていた。私はこの状況を「不健全」と呼んだ。それからさらに1四半期が経った。契約者の増加は大したもので、4万8000人を加えている。しかしキャッシュの赤字はさらに増えて、$11.6M(1160万ドル)に上った。この会社の営業利益率はマイナス38%になる。その上、1週間と少し前には特許権侵害問題で訴えられている。

ところが、このほどNapsterはAOL Musicの定額サービスを買収したと発表した。これでNapsterは35万の新たな契約者とAOL上でのプロモーションの機会を得たことになるが、$15M(1500万ドル)をキャッシュで支払った。それ自身としては悪くない買収価格ではあるが、苦闘中の会社にさらに儲からない顧客が加わり、軍資金は大幅に減った。Napsterとしては、ほぼ1四半期分の赤字に相当する額が運営資金から減ったことになる。

だいたい自分が身売り先を探している会社が他社を買収するのもあまり普通ではない。おそらくNapsterの買収先探しがうまく行っていないサインなのだろう。それとも単にマーケットにおける地位を強める機会と考えただけかも。どちらにしても、もうすぐ発表されるはずの次の四半期の財政報告の発表が待たれる。

1点だけはっきりさせておきたい。ニューヨークタイムズ紙は「NapsterはAOLの契約顧客1人あたり43ドルを支払ったが、Napsterの会社評価額から計算すると自社の顧客の価値は1人あたり328ドルになる」と伝えている。しかしこの計算は正しくない。ニューヨークタイムズは買収のニュースが発表されて急騰した後の株価を使って計算している。しかも同紙はNapsterの市場評価額の大半は$90M(9千万ドル)かそこらのキャッシュに基づいていることを計算に入れていない。こういった点を考慮するとNapsterの契約者1人あたり評価額は90ドル前後だ。

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