Powerset、パワーPRキャンペーン中

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新しい検索エンジンスタートアップ、Powersetについて調べれば調べるほど、砂上の楼閣のように不安定な構造以外の何者でもないように思えてくる。Powersetという会社の性格は奇妙で、いささか二重人格的なところがある。たとえば、ある面では強く秘密主義だ。「あのデモ」(と最近は呼ばれている)を見た人間は全員、秘密保持契約書にサインしなければならない。スタートアップにしては珍しいことだ。一方、CEOのBarney Pellは、これでもかというほど問題の成果物(未だに単に「あのデモ」とだけ呼ばれており、聞いた限りでは2007年中に実用化されるかもしれないし、されないかもしれない)のPRにこれ努めている。しかし事実として、同社は$12.5M(1250万ドル)をベンチャーキャピタルから調達しており、Yahooから10人以上の検索エンジンのエキスパートを引き抜いている。(Yahooでは検索のエキスパートたちは〔報酬の〕ストックオプションの行使期限が到来しており、新しい大きなプロジェクトに関わりたくてうずうずしていた)。

Powersetの大PRはマスコミの注目を十分に集めている。普段は冷静なMatt Marshallだが、書くたびに賞賛を繰り返している。(彼は「あのデモ」を見る機会を与えられている)。New York Timesは今年に入ってもう2度も記事を掲載した。(これこれ)。

これはたしかに注目を集めるニュースではある。ユーザーは現在の検索技術に不満を持っており、改良を望んでいる。Google自身、発足当初は難しすぎる問題に取り組んでいると批判されたものだった。そこで人々は同じようなことがPowersetについても言えるのではないかと考え、10年に1度くらいの割合で、新しい会社が既存の既得権にあぐらをかいたライバルをやっつけるようなことが起こるのでは、と期待がおこるのかもしれない。

ところがPowersetはこういうことを判断できる検索エンジンのプロからは、ほとんど成功の望みがないと評されている。

「あのデモ」を見せられた人間の話では、デモは完全にコントロールされた環境で行われたという。索引付けはNew York Timesのような高度に組織されたサイトなど、非常に限られたサンプルに対して行われ、検索の実行もPowersetの社員が行ったという。そういったセットアップをすれば、ほとんど誰でも驚くようなデモを見せることができる。デモを見たうちでも、検索の本当のエキスパートは、ほとんど、あるいは何も新しいものは見なかったと言っている。他の人々は感心しているのだが。

Powersetは、先週末サンフランシスコでベンチャーファンドからの資金調達の成功を祝うパーティーを開いた。ビデオカメラマンを従えてパーティーの木戸破りをする常習犯のSarah Meyersがこのパーティーにも取材に押しかけた。(われわれのパーティーにも来たが)。彼女がPellや他の社員をインタビューしているビデオを下にエンベッドしておいた。Pellは製品については大所高所から論じただけで、われわれが知らないようなことは何も話していない。ところが2:47と表示されたあたりで、運の悪い社員がカメラにつかまり、Meyersの質問に答える破目になった。彼の答えは「われわれはデモをやってます。ええ、books by childrenとbooks for childrenの区別がつくようなウェブを検索ができるようになると、ええ、われわれは言っているわけで。ええ、一年くらいでできるでしょう」。どう考えてもあまり期待が深まるような発言ではない。


Yahooという側面
というわけで、どうにも話のつじつまが合わない。この会社は成果物のローンチにはまだ遠すぎるのに、大PRキャンペーンをしたりパーティーを開いたりしている。しかしPellはあらゆる意味で優秀な起業家である。それなら彼はいったい何を目論んでいるのか?私はDon Dodgeがその回答を見つけたのではないかと思う。PowersetはYahooに必要なものを提供すると約束したのではないか? それでYahooの元社員を雇って開発に当たらせているのでは? Powersetが今、大々的なPRを行っているのは、製品をできるだけ素早くYahooに売りたいからだろう。Dodgeによると、

Powersetは何をすべきなのか? 簡単な答えはない。答えが簡単明瞭に思えるようになるのは10年後になってからだろう。しかし Powersetの強みは自然言語処理だ。つまり文脈の中にある単語から意味を読み取ることだ。雑誌や書籍、新聞記事には大量の自然言語が含まれている。自然言語処理の能力を、普通2、3語しかない検索文字列の解析に使うのではなくて、広告をより適切に表示するために、こういった索引づけられていないテキストを分析するのに使えばいいのではないか?

一方でYahoo’の問題は何か? ターゲットが絞れないトラフィックが多すぎることだ。YahooはトップページやYahoo Mailに大量のトラフィックがあるが、ターゲットを絞った広告に結びつける方法を欠いている。AOL、MSN、その他のポータルも同じ問題を抱えている。そこでポータルサイトは、GoogleのようなPay Per Click (PPC)広告ではなく、低価格、低マージンのCPM広告を売らざるを得ない。もしPowersetのテクノロジーがメールのメッセージの内容を判読し、文脈を理解するのに応用できるなら、効果的にターゲット広告の絞り込みができるはずで、ポータルサイトの収入は3倍になるはずだ。Powersetがポータルのトップページやユーザーのカスタマイズさらたページのコンテンツをダイナミックに分析することができれば、適切な広告を絞り込める。

Dodgeが正しいならPellは非常に賭金の高いポーカーゲームをやっていることになる。彼が勝てば、Powersetは早期に買収され、元Yahooの社員は古巣に戻れる。〔Yahooによる買収という賭けに〕負ければ、ローンチされた成果物はよほど優れたものでなければなるまい。今や多くの人間が、これまでに聞かされてきた大宣伝が根拠のあるものだったのかどうか、注意深く見守っているからだ。それが根拠に乏しいということになれば、マスコミの関心を引き付けるのは絶望的に難しくなるだろう。

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