Webアプリ101―成功への3つのポイント

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News Corp./NBC Universalプレスコール生録

ウェブアプリケーションを作るのはやさしい。ウェブアプリを成功させ、利益を上げる、というところで多くの人は失敗する。この新しい連載では、ウェブアプリを作って成功させる上で有用な戦略とヒントを提供したい。強力なマーケティング戦略から、質の高いチームづくり、優秀なカスタマーサポートづくりのヒント、そして最後に企業の出口戦略まで取り上げる予定だ。

ウェブアプリを作るのは他の製品づくりと変わらない。しっかりした経営上の原則に支えられていなければならない。資金を調達しなければならないし、実際にその製品を必要とする顧客が必要だ。どのように収益を上げるか、ビジネスモデルがなくてはならない。マーケティング計画、品質管理、プロジェクト管理も必要だ。

3つの重要な質問

Dead Pool入りを避けたないなら、次のような質問に対する答えを用意する必要がある。

  1. 誰をターゲットにしているのか?
  2. なぜそのアプリは使われるのか?
  3. 客は金を払いたいと思うだろうか?

#1 – 誰をターゲットにしているのか?

実際に時間や金を使い始める前にこれだけは絶対にはっきりさせておかねばならない。正確にいって、そのアプリは誰をターゲットにしているのか? 小規模ビジネスのオーナーだろうか? 家でごろ寝が好きなオヤジ? スペイン語を話すグループ? 30歳以下の男性? それが誰であってもよいが、開発者はそのターゲットのイメージをはっきりと描けていることが大切だ。

最良のアプリの一部は、開発者自身のニーズを満たすために作られたのだと思う。もし開発者自身が「やあ、こういうアプリがあったら使ってみたいな」と思うようだったら、それはすばらしい可能性を秘めたアイディアかもしれない。

しかし、もし開発者が自分では使いそうになくて、自分以外のユーザーをターゲットにしたアイディアを抱いている場合は非常に慎重に考える必要がある。他人のニーズや欲している内容について間違った思い込みをするのは実に容易である。開発者自身はアーリーアダプターであり、技術的な面については一般ユーザーよりはるかに進んでいることを忘れてはならない。多くの場合、対象ユーザーの90%はインターネットといえばデスクトプの端にある青いeのアイコン〔IE〕のことだと思っているのだ!

#2 – なぜそのアプリは使われるのか?

開発者がすばらしいアイディアを思いついたとしよう。たとえば忙しいママがショッピングリストを管理するのを助けるアプリだとする。けっこう。しかし忙しいママがそういうアプリを本当に必要としているだろうか? というより、欲しいと思うだろうか?

そのアプリを多くの人々が使ってくれそうかどうか見当をつけるために、以下のような金のかからないマーケットリサーチをしてみよう。

  1. 信頼している人々に尋ねる。彼らの最初の反応はどうか?
  2. 考え付いたアイディアに関連ある語句を検索してみる。それに関連して活発にオンラインで活動が行われているようだったら、良いアイディアかもしれない。(と同時に、おそらく多数のライバルを相手にしなければならないだろう)。
  3. 実用的であること。そのアプリを実際にユーザーが使っているところを想像してみる。そのとき、もし、それを使う点に少しでも何かおかしい点があるようだったら、非常に注意して進まねばならない。
  4. 潜在的な顧客とコンタクトしてみる。話をしてみる、付き合ってみる、オンラインフォーラムに参加してみる。そして彼らが何を求めているか、話してもらえるようにする

貴重な時間と資金をプロジェクトにつぎ込み始める前に、そのアプリに本当にニーズがあることを確かめておくことがなんといっても大切だ。

#3 – 客は金を払いたいと思うだろうか?

これが、いわば、タイヤが道路に触れる点だ。ターゲットのユーザーがそのアプリケーションを強く必要としていることを間違いなく確かめたとしても、彼らがそれに金を払う気がないのであれば、開発者はトラブルに巻き込まれることになる。

ここで役に立つテストのひとつはこうだ。目をつぶってターゲットのユーザーの日常を想像してみる。典型的な一日を、朝起きてからずっと追っていって、問題のアプリを使い始めるところまで想像してみるのだ。

ユーザーがそのアプリの「料金と登録」のページを開いているところを想像してみよう。ユーザーは実際にサイフを開いてクレジットカード番号その他の詳細を打ち込んでくれるほどそのアプリが必要なものだと説得されているだろうか? もし説得されているとして、ではいくらなら払う気になっているだろうか?

もしアプリが事業者向けであれば月に49ドルから99ドルくらいは払えるだろう。しかし15歳の子供向けのアプリだったら広告で収入を確保するモデルを考えたほうがよい。

無料モデル

開発者がユーザーからいっさい料金を取らない (YouTubeやdiggがすばらしい例だが)場合、収益化にあたって通例2つの選択肢がある。

  1. 広告
  2. 買収

開発者は決して買収されることをあてにしてはならない。ウェブアプリが16億5000万ドルで (それをいうならたった500万ドルでも)買収されるなどということは99.9%あり得ないのだ。採算性を確保することこそ#1のゴールだ。

真剣かつ実現可能な採算性を得るプランが必要である。買収されたらラッキーだ。しかしそれを当てにしてはならない。

そこでオプション#1は広告だ。これは収益化の優れた手段だが、そのたまえにはしっかりした広告販売計画が必要だ。

広告を販売する場合には3つのオプションがある。

  1. 広告サービスネットワーク (Federated MediaRight Media、etc)を利用する
  2. 広告セールスチームを雇い入れる
  3. Google AdSenseのようなシステムを利用する

広告サービスネットワークは広告営業の手間をすべて代行してくれるのだからすばらしいサービスだ。しかしそれに応じて価格も高い。ウェブサイト側は広告収入の60%か、それ以下の分配しか受けられないのが普通だ。

次のオプションは独自の広告営業のために人を雇い入れることだが、これは広告を売るにはいちばん確実な方法であることが証明されている。しかし問題はとてつもなくコストがかかることだ。セール
担当者1人あたり、基本給として最低2万ドル、プラス、広告セールスの歩合を払わねばならない。

フルタイムで広告営業担当者を雇える余裕がない場合、安上がりにすませるにはこういう方法もある。友人、知人で広告セールスをしている人間を探し出し、内職でこちらの広告セールスをしてくれるよう頼むのだ。報酬は獲得した広告料から歩合で支払うことにすれば、経済的なリスクなしですませることができる。

最後のオプション、AdSenseのようなシステムを利用できる、そのウェブアプリが非常に大きなトラフィック集める見込みがあり、かつなんらかのコンテンツを中心としたものでなければならない。(Googleは関連性がある広告を挿入するために、そのページのテキストを分析する必要がある)

料金体系 – スウィートスポットを外さないこと

開発者がアプリに課金すると決定したとしても、実際に価格を決めるのが難しい。

ウェブアプリの開発者はみな価格体系を決めるのに苦労している。月間利用料にするか、一度だけ課金するか? 無料コースも設けるべきか? 広告とも併用したほうがよいか?

例としてCrazyEggFlickrを見てみよう。両者は全く異なった料金体系を取っていることがわかる。

flickr-crazyegg.gif

料金モデルを考えるうえで実際に役に立つヒントを提供しよう。

  1. ターゲット層をよく知っている人に話を聞く。ターゲット層が可処分所得のうち、どれくらいをそのアプリに払えるか探る助けになってもろう。
  2. 表計算ソフトを使ってどのように利益が出るか計算してみる。私は簡単なExcelのシートを作って、料金プランの数字をさまざまに変えては利益にどのように影響するか試している。シミュレーションとしては単純だが、おおざっぱなガイドラインを得るには十分だ。
  3. もし広告で収入を得ようとすれのであれば、どのようにして広告を売るのかその手段をはっきりさせておかねばらない。おそらくフルタイムの広告営業担当者を雇いいれる必要が出てくるだろう。Googleの広告を貼り付けただけで採算が取れる収入が得られるなどと考えてはいけない。
  4. 無料プランから有料プランへアップグレードする際、優待プロモーションを行うこと。われわれのDropSendの場合、「最初の1ヶ月の料金を50%割引きする」というキャンペーンをすると、非常に多くのユーザーがアップグレードしてくれる。

料金体系について私が得たもっとも良いアドバイスは37signalsのJason Friedからのもので、私が料金案を見せると、彼はすばやく考えをめぐらせた後、こう言った。「無料プランをあまり気前よくしすぎないことだよ。誰も有料アップグレードしてくれないと困ったことになる。」

もし無料プランを設けるのなら、ユーザーにサービスの内容をほんの味見させる程度にして、有料プランへの食欲をかき立てるようにしなければならない。

ここで現実の例を知ってもらいたいと思い、DropSendのユーザーの料金プラン別収入内訳を公開する。

  •  5ドル/月 : 総収入の 13%
  •  9ドル/月 : 総収入の 17%
  • 19ドル/月 : 総収入の20%
  • 99ドル/月 : 総収入の50%

あなたの財政計画は有望か?

もしあなたが以上の重要な3つの質問に答えが用意できており、Excelで計算したキャシュフローが黒字になるようであれば、あなたの会社が勝ち残って収益を得られるようになる可能性は十分に高い。

読者のみなさんからも、自分自身でウェブアプリを作った経験を提供してもらいたい。また以上述べた点についての疑問、反論も歓迎である。

次回 …

「Webアプリ101」の次回は、開発資金の調達や、チームづくり、プロジェクト管理などを成功させるために役に立つヒントについて書いてみたい。

この記事はCarson Systemsの取締役、Ryan Carsonが執筆した。Carson Systemsは英国に本拠を置くウェブアプリケーション開発とイベント主催企業。

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