Silverlight: ウェブはさらにリッチになった

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今日(米国時間4/30)のMix07で、Microsoftは大きな発表をいくつも行ない、そのほとんどが最近リリースされたSilverlight(以前 Windows Presentation Foundation/Everywhereと呼ばれていた)に関するものだった。Microsoftは新しい製品だけでなく、今後MicrosoftとSliverlightというエコシステムの中で、サービスとソフトウェアがいかに相互に働いていくかというビジョンも発表した。Microsoftは、ツールとソフトウェアの他、それを補完する新サービスもLive部門から提供する。さらにMicrosoftは、IEだけでなくあらゆるブラウザ、あらゆるウェブユーザーのためのビジョンを示し、基調講演の共通テーマは、FirefoxやSafariとの相互運用とMac OSXプラットホームとの協調だった。

基調講演ではExpression Studioのアプリケーションのデモが効果絶大だった。これは、旧来のMicrosoft開発者よりも、デザイナーをターゲットにしたアプリケーションであり、Silverlight上でデザイナーが強力なアプリケーションを作るための優れたアプリケーションを提供した、という点でMicrosoftは良い仕事をしたと思う。今日は、Expression Studioの正式リリースも行われた。

2週間前に初めて発表された時のSilverlightといえば、XAMLのサブセットが走る、ウェブ用のイベントドリブンのグラフィックアプリケーションのためのプラットホーム、つまりは、Flashの競合にすぎなかった。今日、最初の発表からわずか14日後、Microsoftが発表したのは、Sliverlightにはcompact CLRも含まれ、開発者はさまざまなプログミング言語を使ってウェブ用のデスクトップ風のアプリケーションを作れるということだった。picture-41.png

CLR
今日の発表で一番の話題は、Silverlightに.NETのmini-CLR(Common Language Runtime)が入ったことだ。どういう意味かといえば、デスクトップ上で動く.NETプラットホームのサブセットをブラウザから使えるということ。通常の.NETランタイムと同じように、Silverlightでも、サポートされているいくつかの言語を使ってコードを書くことができる。現時点でサポートされているのは、C#、Javascript(ECMA 3.0)、VB、Python、Ruby。PythonとRubyのインタプリターは、Microsoftが開発したもので、「shared source licence」としてリリースされているので、開発者がコードを使用することによって貢献できることにもなる。

CLRが何といっても素晴らしいのは、速さとサイズだ。第1に、SilverlightにCLRなどすべてひっくるめてダウンロードしても 4MB。ブロードバンドの普及を考えると全く問題ない。第2に、CLRは速い、とにかく速い。今日行われたデモではチェスのゲームで.NETで書かれたものと、Javascriptのネイティブコードで書かれたものを比較していたが、速さは桁違いだ。開発者は既存のJavascriptコードをSilverlightに貼り付けるだけで、ブラウザのネイティブ環境の何倍もの速さで走らせることができる。さらに、Silverlightアプリケーションは、ブラウザ DOMをアクセスして書き換えることもできる(即ち、ウェブページ外や、ウェブページそのものを触ることができる)ので、Silverlightのランタイムが普及してくれば、ウェブアプリケーション開発者の多くがSilverlightを使うようになって、性能向上とビジュアルやユーザー体験の改善を目指すことになるだろう。

Silverlightはアプレットで動くアニメーションなどではない。それどころか、デスクトップなみの性能と柔軟性をウェブで実現することのできる、本格的な開発環境だ。

マルチメディア
Silverlightテクノロジーのデモの多くがマルチメディアに関わっていた。中でもオンラインビデオはSilverlightが非常に強い分野だ。従来のオンラインビデオといえばFlashがらみで、ユーザーの殆んどはビデオの品質や全画面表示の限界を知っている。Silverlightを使えば、マルチメディアを最大720p(高解像度)、ネイティブ全画面(ブラウザ画面を最大化したものではない)品質で、アプリケーションの一部として配布することができる。今日のデモはとにかく素晴らしくて、これでウェブベースのビデオ配信モデルが、デスクトップへのダウンロードともDVDなどのオフラインコンテンツとも競合できるようになったと言えるだろう。

あらゆるSliverlightアプリケーションと同じように、ビデオもまたIE、Firefox、SafariのWIndowsとMac OSXどちらでもストリームでダウンロートできる。ビデオとオーディオだけで、他のCLR機能を使わないアプリケーションであれば、ストリーム再生用コーデックを含めても2MB程度だ(Mac OSX版はユニバーサルバイナリのため若干ファイルが大きくなる)。インストールは自動的に行われ、IEの再起動も必要ないということを考えると、どのブラウザのSilverlight 1.0クライアントも最初の主要配布元はビデオコンテンツのサイトになるだろう。いずれは、多くのサイト、特にWMVなどのフォーマットをメディアプレーヤー埋め込みに採用しているサイトが、Silverlightで配信するようになるだろう。

サービス
コンテンツの配信をSliverlightに変えようというビデオサイトなら、今日Microsoftが発表した新しいウェブサービスの利用も考えてよい。このサービスはSilverlight Streamingと呼ばれ、ユーザーや開発者はSilverlightのコンテンツとアプリをMicrosoftのサーバーに置くことがてき、Microsoftのデータセンターのネットワークやコンテンツ配信ネットワークを活用できるというもの。何よりもいいこのサービスが無料だということ。まだアルファ版だが、最大4GBまでコンテンツをアップロードできて、オンラインビデオを最大100万分間配信できる。速度は700kbpsで、画質はDVD並み。たった今から、Sliverlightを使ったビデオコンテンツ総合サイトを無料で作れる。サービスの将来も明るい。Silverlight StremingはMSN Video広告ネットワークに取り込まれて、Microsoftと収益分配を行ってビデオによる収益化は簡単になり、しかも配信コストはかからない。高度なコンテンツ配信ができる有償のプレミアムサービスもできるだろう。料金はわかっていないが、かなり安くなるはず。

モバイル
NBLが作った新サービスの一環として、今日のSilverlightのデモがWindowsモバイル機器上で動作していた。このデモではSilverlightアプリケーションと、メディアのストリーミングが1台の携帯電話で走っていた。つまり、Silverlightは現時点でもう、デスクトップブラウザやデスクトップマーケットの枠を越えている。Windows mobileとSymbianが2大携帯プラットホームであることを考えると、Symbian用のSilverlightも出て来ないはずがない。こうして、デスクトップとモバイル両方のプラットホームに浸透すること、これを実現できたプラットホームはこれまでにない。

将来はどうだろう?
ウェブのエコシステムの一環としてMicrosoftからさらに多くのサービスが提供されると期待してよいだろう。Ray Ozzieは今日ソフトウェアを補うものとしてのサービスというビジョンについて語り、同時に新しいSilverlightクライアントのすばらしい例として、Silverlight Streamingを発表した。明らかにMicrosoftは自社をウェブワールドへのツール、ソフトウェア、サービスの主要な提供者として位置づけている。

Silverlightは優秀なテクノロジーだ。アプリケーションの提供者やデベロパーの中には、なぜ今までのFlashから乗り換える必要があるのかと疑問を抱くものもいるだろうが、その答えは、XAML、ランタイムのスピードとサイズ、プログラミング言語の選択における柔軟性、さらに強力なマルチメディアサポートなどを見るだけでいい。Microsoftは開発者とデザイナーのコミュニティーに対してSilverlightが最良のプラットフォームだと確信させることに成功しそうだ。しかしこの説得に必要なのは、技術的な優位性をひけらかすことよりも、Microsoftがユーザーに対して新しいプラットフォームのベンダーとしての信頼性を築くことだ。この点を指摘した上で、Microsoftは現実に世界最大の開発者のコミュニティーを持っているうえに、今日、カンファレンス会場ではっきり感じられたそのコミュニティーの興奮ぶりを考えると、それにMicrsoftが従来のように.NETユーザーだけを相手にしているのではなく、他の多くのユーザーが非常にクールなアプリケーションを開発できる環境を提供し始めた以上、問題は「Silverlightからキラーアプリケーションが生まれるかどうか?」ではなく「いつ生まれるか?」だろう。

個人的な意見を言わせてもらえば、Silverlightはすばらしい。またこれによってMicrosoftが.NETをブラウザ(しかもほとんどすべてのブラウザ)に結びつけたこともすばらしい。今後興味がある点は、デザイナーがどの程度Expression Studioを採用するか(この分野は Adobeの牙城となっている)、またさらに一般ユーザーがSilverlightをどの程度使うようになるかだ。Silverlightがブラウザに浸透するまでにはある程度の時間が必要で、しかもこの分野でもAdobeはがっちりと根を生やしている。しかし新しいプラグインを開発してリリースするために乗り越える必要がある障壁はさほど高くない。それは、提供者がMicrosoftだと聞けばたいていのユーザーは信用してインストールするからだ。それにおそらくSilverlightはWindows UpdateやMicrosoft自身のサービス (hotmail?)を通じても配布されるだろうと思う。

www.silverlight.netではSilverlightについてのさらに詳しい情報を得られる。ツールキットとサンプルをダウンロードし、またフォーラムのディスカッションに加わることもできる。Silverlight 1.0は今年の夏ごろ”gold”になる予定。

Nik Cubrilovicは2006年初めからTechcrunchに寄稿している。Nikのブログはwww.nik.com.au、またOmnidrive社のCEOでもある。

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