YouTube、パートナーとの広告収入分配プログラムを開始―依然プリロール広告なし

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youtube.jpg最初にOm Malikがスクープし、その後YouTube Blogで公けになったニュースだが、YouTubeが大手コンテンツ提供者に広告収入を分配するPartners Programをローンチした。YouTubeは$1.5B(15億ドル)の買収価格に対し昨年わずか$15M(1500万ドル)の収入しか記録していない。この事態の改善に向けた重要な一歩となるだろう。

ただし、この発表には重要な点が欠けている。LisaNovarenettoHappySlipsmoshvalsartdiaryを始めとするYouTubeのパートナーに対し、プリロール広告や同種のビデオの一部に埋め込める広告のサービスをスタートさせる決定は行われなかったのだ。

ビデオ内広告が導入されるという噂は今年1月の記事で紹介した。その中で本誌Steve Poland記者は「YouTubeのCMは3秒間のプリロールになる」というBBCの報道を引用している。しかしそれから4ヶ月もたつのに、何の動きもない。

YouTubeが投資に見合う収益(ROI)をGoogleになんら貢献していない状況の中、この新しいPartners ProgramもYouTubeサイト上でのAdsense広告表示の導入止まりとあっては、こちらとしても首をかしげざるを得ない。メリットがなくはないものの、この新プログラムはYouTubeのコンテンツが利用される局面の一部しかカバーしない。YouTubeの大きな強みは、スタート当初から、外部サイトで表示できるエンベッド可能なビデオの提供にあった。大半とはいわないまでもユーザーの多くはYouTubeのサイトではなくブログやフォーラムでエンベッドされたビデオを視聴するはずだから、YouTube上にAdSense広告が表示されたところで彼らは見ていないことになり、コンテンツ提供者にとって、そのような視聴はまったく収入をもたらさない。

Red Herringが4月に伝えたところによると、YouTubeはこの夏にもプリロール広告を導入したい意向らしい。ところが、対象はプレミアムコンテンツだけ。もちろんテレビ番組や映画などのプレミアムコンテンツがYouTubeに大きなトラフィックをもたらしていることは疑いないが、だからと言ってそこの部分だけにビデオ内広告を導入するのはいかがなものか? Googleが買収し正式にコンテンツ配信契約を結ぶ以前のYouTubeを支えた原動力は(今もそうだという意見も多い)ユーザー生成コンテンツのロングテールである。それを無視する行為につながりかねないのではないだろうか。

ここで、なぜプリロールを導入しないのか?という疑問が湧く。なぜプリロールをはじめとするビデオ内広告をYouTubeの全コンテンツに導入しないのだろう? 確かにCMを嫌う視聴者はいる。ただ、Google自身、広告のことは熟知しており、今日までのビジネス的成功も大部分はGoogleがコンテンツ提供者を大規模に広告システムに取り込んだ戦略に負っている。GoogleAdsenseは現在明らかにライバルに優位を保っているが、それも元をただせば全世界の広い範囲のパブリッシャーが容易に現実に参加できるプログラムだったからである。YahooのYPNは依然として米国内のみ、招待制のサービスだし、Microsoft AdCenterにしても…まあロングテールの取り込みに熱心でないことだけは確かだ。

もしかすると、技術的な課題が解決できていないのかもしれない。Googleはビデオ内広告配信に関する技術を確立していないのかもしれない。そうなるとそうなったで、なぜこんなことにこれほど時間がかかっているのか、これはGoogle版のPanamaか、と疑いたくなる。YouTube買収以前からGoogleVideoは存在していたのだから、この問題に取り組み始めたのが昨年9月からということはないはずだ。しかもRevver のような小規模なスタートアップがなんら問題なくビデオ内広告の配信に成功していることを考えると、Googleがさらに動画分野で企業買収に動く可能性もあながち消えてないな、と思う今日この頃である。

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