ニュース
Meta / Facebook / フェイスブック(企業・サービス)

新ポータルとは、「ピーナツバター」でなく「パン」そのもの

次の記事

Gizmozローンチ―しゃべる3Dアバターを作ろう

本ゲスト寄稿はDavid Sacksによって書かれた。同氏は新スタートアップ企業Geniのファウンダー/CEO。これまでに、PayPalのCOOを務めた経験を持つ。また、映画「Thank You For Smoking」をプロデュース。

過去数年間、Yahoo、MSNそれにAOL各社はページビューのシェア低下に悩まされてきた。しかし、この事実はポータルサイトが時代おくれだということを意味するわけではない。Googleを筆頭に、そして今より潜在的に深い可能性を持ってFacebookによって、ポータルのより魅力的な存在が再定義されてきている。

ポータルサイトがユーザーに対して答える必要があるコアな質問として「必要な情報をいかにして見つけるか」というものがある。

ウェブの利用が始まったばかりの頃、この質問に対する回答は「ブラウジング」だった。当時、有用なサイトの数が限られていたことを考えれば、これは道理にかなっていた(Yahooが、同サイトディレクトリに表示されているウェブサイト名の横に「New!」や「Recommended」アイコンを付けることに注目が集まった頃のことを、みなさんは覚えているだろうか)。しかし、ウェブサイトの数が数えきれないほどのものになるにつれ、新しいサイトの発見方法は「ブラウジング」から「検索」へと移行した。そして、Yahooはこの変化に追いつけず、Googleのリードを許す結果となった。

Googleは、検索分野における同社の優位性を本格的なポータルサイトになるために利用。ユーザーがいったん探しているものを見つけると、 iGoogleサービスを利用することで、ユーザーは、アラート、RSSフィード、ウィジェットの幅広いセレクションに至る多様な方法で購読が簡単にできる。これまでに例を見ないほど少数のスタートページ上に、有用なインフォメーションをコンパクトにまとめている。結果として、iGoogleはGoogle提供サービスのうち、もっとも急速に伸びているサービスだ。しかし、iGoogleは深刻な限界がある。それは、共有という要素を含まないという点。各ユーザーは各自の設定に労力を費やし、他ユーザーが行った設定作業から得る利点は無い。これでは、Web 2.0的プロダクトとは言えないだろう。

evoportal.png

Facebookはポータルについての問いかけについて新しいこたえを持っている。「social graph(ソーシャルグラフ)」あるいは、ユーザーの(他ユーザーとの)関係に基づいたネットワークが、インフォメーションをユーザーにプッシュするのだ。ユーザーは友だちから学ぶことができるという仕組み。 Facebookの新ディベロッパープラットフォームのおかげで、(このネットワークによってユーザーへと)広められるインフォメーションは単にニュース、写真、イベントそれにグループなどにとどまらず、音楽、動画、書籍、映画、社会的なことがらに対しての個人のモットー、政治的なキャンペーンなども含む。そして、これらのリストは、考えられるカテゴリーほとんど全てを対象とするものへと急速に増え続けている。

このアプローチのメリットというのは、包括的かつパーソナルな、ありとあらゆる情報にユーザーが比較的手間ひまかけずにアクセスできる点にある。たとえこれら全ての情報が検索によって入手可能(ちなみに、これらの情報全てを検索だけでは入手できないだろう)としても、検索というのは事実、労力を要するものだ。ユーザーは、自分が探しているものが何かを知っていなくてはならず、検索クエリーを入力しなければならない。それから、検索結果を解析、どの結果が使いものになるかを判断する必要がある。Facebookでは、まったく対照的だ。ユーザーがいったんネットワークを設定したらユーザー側で必要な作業はない。友だちがプッシュしてくれる情報は役立つものであることが多いだろうし、それに、もしそうでないとしても、受け取る情報が役立つものとなるよう自分の嗜好にあわせてチューニングすることだってできる。Facebookは、ある意味ソクラテス的な哲学を約束するものだ。つまり、「ユーザーが質問することを思いつかなかったような事柄まで、教えてくれる」

social graphで配信される新種のインフォメーションを構成するプロセスが落ち着くまでの間、Facebookでの情報が軽薄だという事実に反対することは簡単である。たとえば、「友だちがランチに何を食べたか」というようなことを知るにはFacebookはとてもよくできている。しかし、お堅いニュースになればどうだろうか? そう、まず手始めとして、私はDiggアプリ登場を待っているところだ。単に自分のプロフィールでdiggしたニュースだけでなく、友だちがdiggした全てのニュースをアグリゲートするというようなものだ。これは、結局、MySpaceが提供すると約束したものの実現に至らなかったソーシャルニュースサイトへとなるだろう。

Diggだけでなく、「群衆の知恵」に基づいて作られたWeb 2.0アプリケーションの殆どが、Facebook上の「友だちの知恵(あるいは信頼)」に基づいたアプリとして考えられる。例えばYouTubeやFlickrなど、大衆の視聴者を求めるパブリシャーのニーズに応える範囲である限り、social graphはこれらサービスのビジネスにとって脅威とはならない。しかし、友だちに向けてコンテンツを公開したり、あるいは、友だちが参加するにつれてサービスの価値が高まるという性質
があるアプリの場合、これらが直面するオプションは二つある。自サイト上でユーザーに各自のネットワークを(一から)構築させるか、あるいは、自サービスをFacebookに移動し他者にまずはじめに試してもらうか、だ。

友だち同士の参加が価値を高めるという性質をもった機能性をレイヤとして重ねることは、Facebookがポータルサイトとなる可能性を非常に高めるもの。さらに言えば、それぞれの新アプリが広く受け入れられるにつれ、ネットワーク全体の価値が高いものとなる。そして、次に現れるアプリもユーザーに受け入れられる可能性がますます高くなる。われわれが「Web 2.0」として現在知っている大半のものは、やがて、Facebook上で再構築されることになるだろう。

はっきりしておきたいのは、「social graph」は「検索」に取って代わるものでは無いということ。「検索」が「ブラウジング」に代わるもので無かったのと同じことだ。そして、検索は依然として、social graphより簡単に利益化できるものだろう。しかし、GoogleもYahooもポータルの基礎として、サービスの各要素を一緒に統合するような結合力を持ち合わせていない。検索が資産である機能に対しては、Googleはその機能上にいくらでもレイヤとして重ねられるし、それは、たいへんに価値のあることだ。しかし、このコア・コンピテンシー超えてサービスを拡大する際には、その長所を新分野で発揮することがますます難しくなりつつある。Yahooはすでにその広大な帝国の限界に達したようだし、「Yahoo Photos」のような重複するサービスの運営を中止しつつある。

私の見る限り、これはYahoo不振の解決策として誤ったもの。問題点は“ピーナツバターが多すぎる(そして、あまりにも薄く塗られた)”ことでは無い。真の問題点は、コアサービスとなる“パン”そのものなのだ。プラウジングと二流の検索だけでは、サービス全体をまとめるのには不十分だ。新ポータルのクオリティーは表面上に薄く塗られたピーナツバターでは無く、中身であるパンの質で定義されるべきだ。

YahooがFacebook買収に注目したのは正しかったが、その理由は間違っていた。Yahooの考え方によれば、Facebookはメディアを手がける多数のサービスのうちの単なる一つに過ぎなかった。サービスは急速に成長中で、それにFacebookがユーザーにとってなくてはならないサービスと化したことは確かだが、結局のところ、ピーナツバターのような上塗りにすぎないという見方だ。現実には、Facebookのsocial graphは、Yahooの広範囲にわたる様々なサービスを「つなぎめとなるパン」となり得たかもしれなかった。

しかし、そのような契約でFacebookが得るものとは何だっただろう? Facebookは自身の「帝国」(ともいえるような広範囲にわたるサービス)をすぐに実現するだろう。

Geniについての詳細はTechcrunch Databaseをチェックしてみてほしい。

[原文へ]