Salesforce、買収に向けての動きか

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Salesforceは、明日(米国時間6/5)に予定されている記者会見で「Bay
Areaに拠点を置き、業界をリードする某インターネット企業」との戦略パートナーシップを発表する。CEOのMarc
Benioffと「スペシャルゲスト」が一緒にこの発表を共同で行う予定。

有力筋によると「パートナーはGoogle」だとうわさしている。おそらく、両社間のインテグレーションをより緊密にはするだろうが、この発表自体は特筆すべきものではないだろう。そして、「Salesforceのソフトウェアを通じてAdwordsを購入した場合、Salesforceカスタマーはディスカウントを受けるのでは」といううわさがある。

この件に関してその他の証拠には次のようなものがある。Salesforceは私あてにメールを送ってきた。その中で、TechCrunchの過去記事に対する「Lorilee Walton」からのこのコメントが「機密情報が内部者によって公開されているおそれがある」として、コメント発信元のメールアドレスとIPアドレスを教えてくれないか、と頼んできた(私はこれらの情報を提供していない)。

しかし、発表がなんであれ、パートナーがGoogleだとしたら、今回の発表はMicrosoftにとっての警告となるだろう。GoogleとSalesforceの提携は、Washington州の巨大企業(であるMicrosoft)に対抗することになる。

Salesforce: 買収のおとり

Googleは、「実はSalesforceを買収しようとしている」という憶測が数週間前にヘッジファンド業界の中で流れたことがる。このうわさが最近のSalesforce株の上昇につながったのかもしれない。P/E4,000以上という目を向くような割合になっている(ちなみに、GoogleとMicrosoftのP/E率はそれぞれ45と22)。株の上昇はうわさによるものだけではもちろんないだろう。同社は、順調な売り上げの伸びをレポートしている。

そして、Salesforceには史上最大の嵐が接近中だ。同社はこの種の市場ではリーダーであり、Googleの同市場進出への多様なギャップを埋める存在でもある。以下に私の持論を述べている。これは、多数のアナリストと業界のエキスパートとのインタビューに基づいたもの。

ちなみに: SalesforceのCEOであるMarc Benioffは、できる限りハワイでたくさんの時間を過ごし、同社の日常業務を部下にまかせているなど、それとなく一線からは退いていることで知られている。もし、Salesforceが$80-85(現時点では$50をほんの少し下回る)で売られたら、Benioffはさらに10億ドルかそこらを手にすることになる。そして、ブラウザーを通じてソフトウェアを流通させるという概念を普及した人物としての地位を歴史に刻むことになるだろう。ハワイでのんびり過ごし、さらなる執筆業にいそしむことも、講演活動に励む日々を送ることも可能になるわけだ。

GoogleにとってSalesforceがパーフェクトな買収対象である理由

Googleにとっては、Salesforceとの衝突は避けられないものだろう。GoogleのCEOであるEric Schmidtは、最近「Googleは、検索、ソフトウェアそれに広告が全て」だ、と述べた。同社にとって、検索分野はすでに支配したも同然だ。広告での次のバトルはオークション取引だろう。GoogleはDoubleClickを$3.1B(31億ドル)で4月に買収した時点で、この市場分野における買収企業を決定している。YahooとMicrosoftも、それぞれ同分野でのスタートアップ企業を買収。YahooはRightMediaを$680M(6.8億ドル)で、MicrosoftはaQuantiveを$6B(60億ドル)で買収した。

これで残るはソフトウェアとなった。そして、Microsoftの独占しているオペレーティングシステムとオフィス分野において、GoogleがどのようにしてMicrosoftに対抗していくつもりか、というのは先週まではっきりしなかった。しかし、その後、GoogleはGoogle Gearsを発表。これで、ユーザーは近いうちに、GmailとGoogle Docs & Spreadsheetsの読み書き機能をオフラインでも利用できるようになる。これらサービスはオペレーティングシステムをバイパスしてくれるのだ(ブラウザーが新オペレーティングシステム)。そして、これらのアプリはOutlookとOfficeにとって代わる真の選択肢を提供することになる。中小企業にとってPC上にどのソフトウェアを導入する(そしてその利用料金を支払う)かという真の選択肢は、もはや一つに限られないだろう。

そして、SalesforceのCRMアプリとディベロッパープラットフォームが統合されれば、Microsoftは真の課題を抱えることになる。ソフトウェアー配信の未来はブラウザーにある。Googleはそれに賭けているのだ。Salesforceはすでに、それに基づきビジネスを形成した。そして、MicrosoftはOffice
LiveそしてSilverlightによって、同じ市場に進出しようとしている。

しかし、これだけにはとどまらない。Googleは、同社のプロダクトを幅広く流通させるためには、セールススタッフが必要だということを何年間にかわたり、認識してきた。Adwordsのセールス要員は常時存在したし、DoubleClickの買収によりさらなる増強を実現。Salesforceは巨大なテレフォンセールスチームを抱えており、それより規模は小さいもののダイレクトセールスチームも存在する。そして、同社のサービスを効率的に企業各社(エンタープライズ向け)に売り込んでいる。Googleにはこれらスタッフ、専門的な知識や技術、それに各エンタープライズ向けに販売する際、誰に連絡をとればよいのか、というような情報も持っていない。

Googleのオフィスプロダクトは企業での採用は進んでいない。Microsoft Exchangeはとても上手くできているため、大半の大、中企業は同プロダクトに依存しており、乗り換えるつもりはないだろう。Googleにとっては、セールスチーム無しには、市場に迅速に進出するという望みは持てない。たとえ、Google Gears利用により、オフライン中のアプリ利用が可能になったと言えども。このような現状にSalesforceのセールスチームを加えることで、状況は全く異なるものになる。二社を統合した事業体は、メール、オフィス、それにCRM関連のアプリに対し、オフラインでもアプリの持つ機能性をフルに提供することができるだろう(GoogleはGearsを利用して、オフラインバージョンのSalesforce CRMとApp Exchangeを制作するだろう、と私は予想している)。大幅なコスト削減が可能になることから、これらサービスのセールスは確実また迅速に牽引力のあるものになるだろう。

Microsoftはこのような事態の実現を黙認するわけにはいかない

私がこれまでに述べたように、MicrosoftはSalesforceのモデルが未来形であることを認識している。同社のOffice LiveとSilverlightの二つがそれを物語っている。Salesforceの買収を望むこれといった理由はMicrosoftは持っていないが、Googleが(Salesforceを)手中にする事態をMicrosoftが回避させたいというのにはとても重大な理由がある。SalesforceのセールスチームとCRMソフトウェア、それにGoogleの「Office docs」とGoogle Gearsを組み合わせ、オフィススイート全体をオフラインでも利用可能なように仕上げたコンビネーションは、Microsoft Exchangeにとって真の競合・脅威となり得る。もし、Exchangeが不調になったような場合、MicrosoftはOffice分野におけるコントロールを失うというような事態に直面しかねないのだ。そして、ソフトウェアの未来はブラウザーを通じての流通にあるため、Vistaは再考となるだろう。GoogleとSalesforceのソフトウェアはMac、linuxマシン上でもスムーズに動作する。linuxとGoogle/Salesforce採用で、コンピュータ1台のコストを500ドルあるいはそれ以上削減可能だということがエンタープライズ市場で知られるようになれば、多数の企業がMicrosoft製品の採用を完全に取りやめるだろう。

これら全ての要因が入札競争を示唆

GoogleはSalesforceを買収したいと思っている。Google OfficeはSalesforce CRM、App Exchangeとまさにぴったりだ。Googleはこれら全てのサービスをGearsによってオフラインでも利用可能にできる。そしてSalesforceは既存のセールスチームを通じてこれらサービスを販売できる。タイミングもちょうどよい。Benniofだって、引退してもよいという合図を送っている。

しかし、Microsoftはこのディールの実現を許すわけにはいかない。そして、GoogleとSalesforceを引き離しておくために、入札合戦に参加するだろう。DoubleClickの買収の際は手を引き、同市場での存在位置を確保するためだけにaQuantiveを$6B(60億ドル)で買収した。もし、「Salesforceが買収対象になり得る」とMicrosoftが聞いたら、さっそく話し合いの場を持ち、買収金額を提示するだろう。さもなければ、GoogleがOSそれにOfficeビジネスを(Googleの思うように)完了させてしまうことになる。そして、それは長期的にみてMicrosoftを滅ぼすことになりかねない。

Salesforceにはライバルがいる。そしてもし、GoogleがSalesforceを買収した場合には、MicrosoftはSalesforceの代わりに、同社のライバルを買収するということもできるだろう。しかし、ライバル各社中最大規模のNetSuiteは株式公開するところだし、OracleのLarry Ellisonがコントロールしている。IPOの前後に関わらず、同氏がMicrosoftに買収を許すとは思えない。競合企業中2番目のRightNowは、同市場に於いて大差を開けられての3位だ。

ところで、舞台裏では興味深い人物たちが今回のディールを推し進めている。最も重要な人物はMorgan StanleyのStephen Chamberlain。Chamberlainは、Microsoftによる買収の話し合いの際、TellMeとaQuantisを代理、エージェントを務めた経験を持つ。したがって、彼はどのように話を持ちかければよいかという点について熟知している。そして、Morgan StanleyがSalesforceのIPOで主幹事を務めたことから、買収の際もChamberlainが代理するのがごく自然な流れだろう。彼は、これら3社のエグゼクティブたちとミーティングを開き、ディールを持ちかけるのに忙しく過ごしていることだろうというのが私の推測だ。そして、もしかしたら、この先間もなくのうちに、話をまとめるかもしれない。

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