音楽産業、身勝手なサプライサイド経済学にいまだ固執中

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包囲下で苦戦を続ける音楽産業の最新の対抗策は「Total Music」ブランドによって、一般ユーザーへ無料で音楽を提供するという案だった。Universal Musicが主唱するTotal MusicはSony BMGをメンバーに加え、Warner Musicなどビッグ4に加えて中小レーベルも参加を考慮しているという。

無料というのはマーケットサイド経済学の最強のセールスポイントだ。機会費用ゼロにかなうものはない。しかしここにワナがある。Total Musicは市場に対して「無料で無制限の音楽へのアクセスを提供する」と標榜しているものの実は無料ではない。単に費用が隠されているだけなのだ。そのコストというのはTotal Musicにアクセスするために必要な機器に上乗せされる90ドルだ。これは「月5ドルで18ヶ月利用される」という前提で計算されたものという。(この数字はUniversalが用いているもの)。上の画像で示した例では、MicrosoftはTotal Musicが請求する90ドルのコストを自分では吸収せず、4GBのZuneの販売価格に転嫁して、総額は239ドルとなっている。さてこれでiPodとどちらが売れるだろうか?

Zuneの例ではMicrosoftは、Total Musicモデルを支援するために、料金を折半することもできたはずだ。たとえばMicrosoftが半額を負担したとすると、Zuneの場合、総額はiPodよりわずか45ドル高いだけの194ドルにしかならない。ではMicrosoftは全額負担できるだろうか? それは無理だろう。149ドルの製品から90ドルを手放すということはありそうにない。そんなことをすればMicrosoftの利益がゼロになるどころか、売れば売るほど赤字がかさむことになりかねない。

ここではMicrosoftを例にしたが、状況はApple以外のどの会社の場合でも同じだ。Universalは音楽を再生できるデバイスならどんなものにでもこのモデルを売り込もうとしているので、ユーザーはMP3プレイヤー以外に、携帯、メディアストリーム機器、さらにはコンピュータそのものでもこの「見えないコスト」を負担させられることになるかもしれない。

一部のユーザーは合法的に楽曲を手に入れるためにこの差額を喜んで支払うかもしれない。しかしiPodを購入しても合法的に楽曲を購入することはできるのだから、90ドルという差額を考えると、TotalMusicが多数派になるとはとうてい考えられない。iPodの合法的な楽曲の購入はひとつの選択肢であって、当初から強制的に支払わせられるわけではないところがユーザーにとっては大きな違いだ。

音楽産業は無料音楽と唱えてはいるものの、Total Musicでやっていることといえば、消費者に相変わらず金を払わせる方式だ。しかもその金の流れはiTunesに比べてはるかに不透明にされている。

さらに詳しい情報はCrunchGearで

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