中国事業でヤフー、不公平な非難を浴びる

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今週はヤフーが中国政府に個人情報を開示した問題をめぐる下院外交委員会聴聞会のニュースが盛んに取り沙汰されている*。

見なかった方のために補足すると、要するにヤフーは、中国国内で中国憲法に基づいて出された要請に従い、政治反体制分子に関する情報を提供したかどで両政党から非難に晒されているのだ。

その糾弾のレトリックは生々しいものだった。加州サンマテオ選出トム・ラントス委員長(民主)はヤフーを「モラル的にはピグミー族」だとし、ニュージャージー選出クリス・スミス議員(共和)は、ヤフーの中国政府への協力を第2時世界大戦時のナチスドイツへの協力に喩えた。

中国のこととなると中国政府と交渉する側の擁護に回る人は、本当に少ない。

ヤフーの行為には同義的過ちも一部にあったかもしれない。が、法律の上では何一つ間違ったことはしていない。増してや世界経済の枠組みではそうだ。

ヤフーが何をしたか、考えてみて欲しい。Yahoo China(ヤフーが所有しているのはそのたった40%だ。訳注:「データの引渡しに応じたのはYahoo HK。当時ヤフーが100%所有していた」とコメントついてますね)は「罰則付き文書提出令状のような文書」を受け取った。主権国家から情報提供を要請する内容の文書だ。ヤフー法律顧問Michael Callahanは、中国国内で働くヤフー社員には政府の要請に応じる以外、選択の余地は無かったと主張した。「現地社員に向かって、合法的要請に逆らって自らの自由を危険に晒せとは言えない。仮にそれが私個人の見解で、現地法の適用範囲を広げ過ぎに思える内容であったとしても」

このことでヤフーは、モラル的ピグミーと呼ばれ、ナチスと取引した企業までその引き合いに出された。では翻って委員会は…いや米政府はどうだというのだろう。米国内で事業を行う企業に倫理的矛盾が出るぐらいなら現地法を無視して構わないとでも? まさかそんなことはないはずだ。が、要は彼らが言ってるのはそういう無理難題なのだ。もちろん全地球上で米国憲法が最上の法律であると信じるほど傲慢なら、話は別だが。

仮に百度(Baidu)が米支社を設立し、そこにFBIがテロリストの情報入手のため罰則付き文書提出令状を出したらどうか考えてみるといい。百度が令状に従わないなんて誰が思うだろう。仮に百度が命令を踏み倒したら、委員会と米政府は命令に従うのを拒否した百度を支持するだろうか?

この事件で捕まった中国人政治反体制分子がテロだったと言ってるのではない。主張する方法が違うので一括りに分けることには両国とも異論があるかもしれないが、中国政府転覆を主張する人は米政府で同じことをしている人となんら変わりはないのだ(訳注:彼らは自由選挙を求めていたようですが)。

米国内で事業を行う企業は外資系も米企業も現地の法律に従う。道義的にも法的にも弁護不能という声の多い法律にも従う。2005年に米司法省から届いた罰則付き文書提出令状を拒否したのはグーグルだ。ヤフーは従った。米国政府も世界中が眉を吊り上げるようなことをいろいろやらかしているのだ。とっさに頭に浮かぶのはヘイビアス・コーパス(人身保護令状)の停止だが。

中国はナチスドイツとは違う。中国政府が向こうでやっていることは一部賛同できないこともあるが、中国政府をナチスドイツと呼ぶことは第2次大戦の犠牲者と中国の人たちに対する冒涜だ。中国がナチスドイツなら、米国は何故毎年およそ$280B(2800億ドル)分もの中国製製品を輸入しているのか? 同委員会が本気で反中国なら、そして仮にそれが米政府の意向を反映したものであるなら何故貿易続行なわけ? 何故中国企業は米国内で、米国企業は中国で事業を許されているのか? 止めることは可能なのだ。今イランに対して行っている制裁を見たらいい、例えば。

ヤフーは結局、アメリカ外交政策の流れの中でスケープゴートに祭り上げられてしまったのだ。米政府が今回の委員会で出たレトリックのようなことを本気で考えているなら、中国貿易は明日にも停止だ。そんなことにはならない。ヤフー経営陣はモラルの地盤が揺らいでいるかもしれないが、法的には良き企業市民であろうとしただけで、それ以上のことは何もしていない。そんなの、どの国で事業をしても同じではないか。

*ヤフーが開示したメールの記録でジャーナリストが懲役10年の実刑になった事件。ジェリー・ヤンCEOと法律顧問が深々と頭を下げ、傍聴席の実母がすすり泣く一幕もあった。毎度のことながら審議は辛辣を極めた。

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(翻訳:satomi)