Google Knolについての考察

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Googleの最新プロジェクト「Knol」は、少なくとも私の知る限りでは、報道機関に向けた典型的な大々的な事前告知無く、先週木曜日(米国時間12/13)に発表された。メジャーな報道機関はストーリーの報道におくれをとった。各種ブログは迅速に本件を取り上げ始めたが、GoogleのUdi Manberが同社のブログエントリで発表した本プロジェクトの内容以外の情報を伝えるものは無かった。私たちがKnolについて初めて取り上げたエントリはここ

サービス面から言えば、既存のSquidooHubpagesなどと比べてKnolは特に異なる点はない。書き手により構成されるナレッジベースだ。誰でも、そして、今後どんなトピックについてでも項目を書き込めるようになる。Googleは編集ツールを提供する他、情報を蓄積、コメントや提案、編集を他ユーザーが行えるようにし、編集者の了解を得て広告を追加、検索エンジンからのトラフィックを提供する、というものだ。

しかし、KnolはSquidooやHubpagesに対抗するものではない。むしろ、Googleの検索エンジンから莫大なトラフィックが流れ込んでいるWikipediaを(Googleが)ねたましく見ていることに関係している。Nick Carrが書いたように、トップ検索内容に対しての検索結果順位に於いてWikipediaは上昇し続けている。

出来るだけはやく更なる広告在庫確保が必要

Wikipediaは非営利団体で、ページを収入化することを頑固に拒み続けてきた。Wikipediaに広告提供するためならGoogleは何でもしたことだろう。しかし、(そうではなく)その代わりにWikipediaと競合するのは理にかなっている。

Googleは、バリュエーションに見合うだけの収益増加を実現せねばならない。そのためには、広告在庫が必要なのだ。Googleがコメント投稿可能なニュースディレクトリのホスティングを開始(つまり、ページビューを意味する)した際も、驚かなかった。だから、ナレッジベースのホスティングというアイディアにも驚くには当たらない。

書き手は、広告掲載有無の選択が可能だ。しかし、広告掲載を選択した場合はGoogleのみを選択できるようになっている。書き手の多数は広告の掲載を選ぶだろう。そのことで、Googleは新たな広告在庫を獲得することになる。

おいしいタイミング

Wikipediaは、Googleの広告を拒否する以外にも問題のタネだった。今月、期待の検索エンジンを同サイトの営利を目的とした部門「Wikia」を通じてスタートする(Wikiaがこのように表現されるのをWikipediaのファウンダーJimmy Walesは毛嫌いしているが、WikipediaとWikiaの境界線というのはとてつもなく分かりにくいのだ)。Wikiaの新検索エンジンをGoogleがとりわけ脅威に感じているということはないだろう。しかし、ありとあらゆる報道機関がリリース間近のWikiaを「Googleキラー」だと表現していることに少々イラついているかもしれない。

Googleは通常、サービスリリース前に事前告知を行わない。しかし、このケースではそれを行った。なぜか?おそらく、競争は(Wikiaサイドからの一方的なものでなく)どちらのサイドからでも起こりえるという点について思い出させるためのものかもしれない。

Google Baseを覚えている人はいる?

コンテンツ・マネジメント・システムとして、KnolはGoogle Baseによく似ている。 Google Baseは、Googleが2005年にスタートしたクラシファイド広告プラットフォームで、完全な失敗に終わった。もし、何らかの意味合いがあったと強いて言うなら、スパムの蔓延するサイトといったところだろう。しかし、同サイトが公開された時、New York Timesやその他はクラシファイド広告界に破壊的な影響を与える勢力を持つものとして大々的に報じた。Knolは、Google Baseにより戦略的な理論を適用したようなものだろう。

立ち止まって見るようなモメ事は何も無い

KnolページはGoogleの検索エンジンにインデックスされるが、ランキングでの特別扱いは無い、とGoogleは述べている。しかし、これは少々事実と異なる。GoogleがホストしていることでGoogle PageRankでかなりの利点があるだろうし、そのことで検索結果として上位に表示されるだろう。そして、誰も検閲したりしないので「Knolページがその他ページと同じように扱われている」と保証する者などいない。利害の対立を懸念せざるを得ないだろう。実際のところ、GoogleはKnolから収入を得ることになる。そのことから、財政的な意味あいからも、(Knolページに)人々を呼び込みたいという動機がある。つまり、中立的な門番としての役割を(Googleが)果たすだろうという点ついて信じがたくなる。

Googleは、今では「サーチ」という言葉の同意語だ。Google Knolを提供し、検索結果に含むことは、マイクロソフトがWindowsプラットフォームでOfficeを提供しているのとよく似ている。もちろん、Officeに対抗しようと思うなら誰でも(対抗を試みることは)可能だ。しかし、マイクロソフトはごく自然な強みと市場シェアを維持する手段を持っている。Knolチームは今後、同様に物事を運ぶだろう。

Wikipedia対Knol

Wikipediaは非営利団体であるため、コミュニティから絶大な支持を得ている。Googleはこの点では太刀打ちしようがない。そのため、書き手の名前を明らかにすると共に、多少の報酬を支払うことに注目。 Wikipediaの主要な寄稿者の一部が(Knol)に乗り換える一助となるはずだ。

間もなく、Wikipediaコンテンツが大量にKnolへ移動するのを目にするようになるだろう。基本的にWikipediaのコンテンツは、GNUライセンスの下、改変、複製、頒布その他が出来るようになっている。

Wikipediaは、コピーレフトなライセンスであるGNU Free Documentation License(GFDL:グニュー・フリー・ドキュメンテーション・ライセンス)の条件に従う限り、誰でも自由に文書を複製したり、改変したり、有料・無料を問わず配布・貸出、コンテンツの商業利用を認めるものとする一方で、著作権者は著作物ついて権利を維持するものとする

Knolに投稿する人物なら誰でも、まず投稿記事を公開する前におそらくWikipediaを少なくとも熟読するだろう。そして、もし何か役立ちそうなものを見れば、その部分を抜粋してKnolに転載するということも自由に行える。そして、投稿作業に費やした時間に対してadsenseの収入を得る。

だから、結局、ある意味でWikipediaコンテンツを利益化する方法をGoogleはすでに見つけたと言えるだろう。

金曜日(米国時間12/14)の投票
で、TechCrunch読者は、僅差ながら「GoogleのKnolはやり過ぎではない」とした。もし、Knolが成功するようであれば、この結果は少々異なるかもしれない。事実、Knolが成功すればする程、Googleが(検索結果表示を監視する)門番であり、コンテンツプロバイダーであることに落ち着かない思いをする人は増えるはずだ。

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(翻訳:Nobuko Fujieda)