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Proximic、ショッピング・サイトのリストを内容連動広告にするサービスでYahoo、eBayと提携―AdSenseのライバルに成長?

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proximc-logo.pngProximicというドイツのミュンヘンに本拠を置く社員14人の小さなスタートアップがGoogleの収入を横取りするかもしれない。といってもこの会社は検索マーケットを狙っているわけではなく、実は、背後からAdSenseに不意打ちをかけようとしているのだ。ProximicはeBayのShopping.comYahooのShopping Networkに掲載されたアイテムを他のウェブサイトに内容連動広告として配信する契約に調印した。

YahooにしてもeBayにしても、ショッピング・サイトのアイテムを広告として外部に配信する試みはこれが始めてだ。今回の大型提携でProximicは一挙に5000万のアイテム(eBayとYahooから2000万ずつ、その他のソースから1000万)を広告の在庫に加えた。ProximicはGoogleの広告は100万アイテム程度だと見ている。膨大な広告資源を抱えたProximicの広告ネットワークは1月末にローンチする予定。

Proximicの広告を掲載したいサイト運営者は広告ウィジェットをエンベッドすればよい。するとProximicはそのサイトをクロールして索引づけし、その内容に連動したアイテムを選択してテキスト広告を表示する。加えて、内容に関連あるウェブページへのリンクも表示する。(下に掲載したデモのスクリーンショット参照)。また、ProximicからFirefoxのアドオンをダウンロードしてインストールすると、閲覧しているページの内容に連動したテキストとリンクがサイドバーに表示される。

つまりユーザーが中東和平交渉についてのページを読んでいると、サイドバーに中東に関する本の広告がウィジェットに表示されるわけだ。さらにMozillaファウンデーションのページを見ていると、MozillaストアのFirefoxのロゴ入りジャージーの広告と、Mozillaが 買収したHumanizedの社員を雇い入れていることについてのTwitterのメッセージが表示されるかもしれない。(これは私がFirefoxプラグインをテストしたときに実際に体験したことだ)。さらにProximicはこのウィジェットに90万のRSSフィードとトップ500くらいの人気の高いウェブサイトのページへのリンクも表示する。

Proximicがユニークなのは、内容連動広告を表示するのにGoogleやYahooのようなキーワードによる一致検索を利用していない点だ。それだけではなく、ページの内容を判断するするのにセマンティック〔意味論的〕な手法も統計的な手法も利用していない。元コンピュータ・チェスのチャンピオンでProximicの共同ファウンダー、CTOのThomas Nitscheは「セマンテック・システムは規模の拡大についていけない。対象とする文書が100万を超えたら大きな問題にぶつかる」という。セマンティック・システムは広告配信のためにはあまりに遅すぎて実用にならないとNitscheは考えている。

キーワード、セマンティック、あるいは統計的アプローチに代わるものとしてProximicはproximity〔近接性〕解析という手法を使っている。Nitscheは動作の詳細についてはあいまいにしているが、簡単に言えばProximicのアルゴリズムは、まずテキストを文字列のパターンとして解析し、数学的なベクトルに置き換える。続いて伝統的なベクトル解析の手法を利用して一致度を判断する。Nitscheの説明によると―

われわれは文字のパターンを見て、プロフィールを作る。このプロフィールはベクトルだ。われわれは2つのベクトルを比較する。文字パターンの距離として内容の近接性を計算するわけだ。こうして2つテキストの類似性を判断する。対象となるテキストは1語でもいいし、2語でも、15語でも、ページ全体でもよい。

この方法を利用して、Proximicはショッピング・サイトのアイテムとウェブ・ページの内容との類似性を判断して、適切な組み合わせを生成する。現在はさまざまな製品を検索した結果のカタログでしかないリストから、このようにして内容連動広告を生み出すという全く新しい世界が開けつつある。Nitscheによると、Proximicのテストでは広告に対するクリックスルーは1.5%もあったという。これはAdSense広告のクリックスルーの平均が0.25%以下なのに比べると非常に高い率だ。ただしProximicはすべての広告収入をYahooとeBay、それにウェブサイトの運営者と分かちあわねばならない。ProximicはeBayとYahooにコミッションを払った残りの70%を広告を掲載するウェブサイトに支払う予定だ。ということはProximicの取り分はかなり小さなものになる。これを埋め合わせて利益を上げるには、(広告と内容との関連性を高めることによって)より高いクリックスルー率を達成することが必要になる。

2006年にWellington Partnersから€3M(300万ユーロ)の資金を調達しただけのドイツのスタートアップとしては野心が大きい。Proximicが狙っているのは内容連動広告とアフィリエイト・マーケッティングの融合だ。Proximicはページ中の文字のパターンを認識することで、一種の人工知能システムを実現した。Proximicのシステムでひとつ良い点は、クッキーをブラウザに埋め込んだり、ユーザーのウェブ閲覧履歴をモニタしたりする必要がないことだ。Proximicはユーザーが閲覧しているページがどんな種類のものであるかを独自に判断できる。

もしProximicが製品とページ内容を連動させるのに成功を収めるようだったら、いっそ汎用の検索エンジンも作ったらいいのではないか? しかしNitscheはGoogleと検索分野で正面から対決するのは避けようとしている。彼は当面、広告分野で成功を収めることができれば満足なようだ。

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(翻訳:Namekawa, U)