MicrosoftのYahoo買収は皆が言うほど悪いことではない

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Flickr版大規模抗議

今週のMicrosoftの$44.6B(446億ドル)のYahoo買収の提案が波紋を広げる中で「Microsoftは悪の帝国だ」という固定観念はまだ根強く生きていることが分かった。Flickrのユーザーは抗議しているし、YahooはGoogleに助けを求めてMicrosoftの買収を逃れるべきだというような議論さえ聞かれる。「Microsoftは何がなんでも悪い」という感情はあらゆるところにはびこっている―Googleそれ自体の中にさえ存在するかもしれない。なるほどMicrosoftのYahoo買収でハッピーエンドにならない関係者がいないわけではないが、この買収は一部の人間が主張するほど悪いことではないのだ。

Googleは怖がっている

Googleが週末に発表した買収に対する反応は驚くほど正直な本音だった。GoogleとMicrosoftは従来もさして友好的な関係だったわけではないが、Googleが飛び出してきてYahoo買収を攻撃するというのは、ひとつのことしか意味しない。Googleは怖がっているのだ。そしてこれはたいへん良いことである。Googleは本心ではMicrosoft/Yahoo連合軍は検索とテキスト広告というGoogleが優越している分野における本物のライバルになりうると考えているのだろう。この分野の優越性の上にGoogleは最近まで高い株価とそれによる巨大な株式時価総額を築いていた。Googleはオープン・アクセスとオープン・マーケットを気の済むまで説教すればよいが、Googleの考える「オープン」というのは、ユーザーがGoogleの多数のウェブ・サービスのどれかを使ってアクセスするかぎりでの「オープン」性なのだ。

競争が増大する

買収に反対する論拠のひとつとして競争が減少するというものがある。たしかに大手のプレイヤーの数は減る。しかしMicrosoft/ Yahoo連合軍は、現在Googleが支配している分野により激しい競争をもたらす。特に一部の国ではGoogleはほとんど独占的なサービス提供者となっている。ここでは規模がものを言う。Googleは規模のメリットがある。YahooとMicrosoftはGoogleに追いつくためには現在より大きな規模を必要としている。Microsoft/Yahoo連合軍が成立しても、たとえばテキスト広告の分野ではGoogleの市場シェアの半分にも満たない。しかし連合すれば広告を掲載できるトラフィックが増えるから、Googleに対抗する上で、広告主にとってははるかに魅力的なサービスを提供できるようになる。つまり、より大きなトラフィックがあれば、広告主はより多くのユーザーへの広告の露出が期待できるわけだ。

ロングテールにも好影響

もう一つ合併に反対する議論は、Yahooが独立の企業としては市場から退場してしまうと、スタートアップを買ってくれる相手がそれだけ少なくなる、というものだ。これは事実だが、その影響は短期的なものにとどまる。ナンバー2があれば常にナンバー3も、それに続くランクのプレイヤーも存在する。Microsoft/YahooがGoogleに次いでナンバー2にせり上がれば、空いたポジションをその下のプレイヤーが占めることになる。たとえばAskが思いつくが、新しいプレイヤーがそこに躍りだしてくることだって十分に考えられる。逆に考えれば、競争しなければならない巨大なプレイヤーが一つ減ったともいえるのだ。相対的に下位のプレイヤーが強化され、トップの座に近づけば、それによって買収が活発化することも考えられる。トップ・プレイヤーの数が減るということは、下位のプレイヤーにとってチャンスである。ただしこれは、たとえば検索のような分野で、2者による寡占体制が築かれるようなことがあれば別だが、そういうことはありそうにない。常に上を目指す下位のプレイヤーは今までもいたし、現在もいるし、将来も種が尽きることはない。「次のGoogle」という夢は生き続けるだろう。

Yahooが生き延びる

Microsoftは実際、Yahooとその数多くのブランドにとって大きな助けになる。それに代わる選択肢といえば悲惨なものだ。ヘッジファンドやその類の投資機関の傘下に入ろうものなら、Yahooはバラバラに解体され、中心をなす(利益が上がりそうな)事業だけを残して、Yahoo Newsなど他の部門は売り払われてしまうだろう。 Googleと提携する(広告でか、あるいはさらにありそうにないシナリオだが投資者として)というのも、Yahooを永遠にGoogleの風下の2番手の位置に縛り付けるものでしかない。Yahooのブランド力は依然として最大の資産だ。MicrosoftはYahooブランドにかつての栄光―インターネットの顔だった時代があった―を取り戻させるために精力的に努力するはずだ。この点ではYahoo傘下の各ブランドについても同様で、たとえばFlickrはMicrosoftの写真共有サービスを吸収することになるだろう。

サービスの改善

誰かが数日前に「ベストなサービスを作れば自然にユーザーがついてくるという時代は終わった」と書いていた。実際、これこそがGoogleが支配しているオンライン・サービス分野においてMicrosoftが伸び悩んでいる理由だ。Microsoftはインターネット・サービスの分野でPopflyやSilverlightなどいくつも素晴らしい貢献をしている。また(DiggとFacebookが利用している)非常にしっかりした広告プラットフォームの構築にも成功している。検索サービスの能力もまずまずだ。つまりMicrosoft/Yahoo連合軍が両社の強みを合わせれば、理論的は、全体として非常に優れたパフォーマンスのパッケージが期待できる。そうなるまでが大変だという意見もあるだろうが、Wiredでさえ 、両社の社風を融合するのはそれほどまでに難しいことではあるまいと観測している。結局、Googleに対抗するためには、あらゆるサービスを網羅した強力なパッケージが必要だが、Microsoft/Yahoo連合軍ならちょうどそれを達成できるのだ。.

結論

以上述べたことは決してGoogle叩きを意図したものではない。Googleはよい仕事をしてきたし、Googleが好んで言う表現を借りれば、ユーザーはGoogleを使うことを強制されているわけではない、好んで使っているのだ、ということになる。しかし1社が飛び
ぬけた力でマーケットを支配している業界はたいてい長期的にみると沈滞や非効率なサービス、高すぎる料金といった好ましくない状態に陥る。われわれユーザーはGoogleの尻を叩いて努力させるために、あるいは革新を続けさせ、できるかぎり最良のサービスを提供させ、正直であり続けさせるためにも、Microsoft/Yahoo連合軍が必要なのだと思う。

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(翻訳:Namekawa, U)