ヤフー買収関連

マイクロソフトの提案―ヤフーに決断の時

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Microsoftが1株あたり$31でYahooを買収するという提案が発表された当初の衝撃は収まりつつある。そしてYahooに残された選択の幅も冷静に理解されるようになってきた。まず、救いに駆けつけるホワイトナイトその他、新たな買収の申し出はないということが確実になってきた。現在のアメリカの資金調達市場の緊縮がこのことをいっそう確実にしている。

Yahooは競合する買収の提案―どんな提案でもいいから喉から手が出るほど欲しい。その結果が単にMicrosoftの言い値を$40台吊り上げるだけの結果になってもだ。競合する申し出がひとつもなければMicrosoftはすでに提案した買収価格を引き上げる必要がない。つまりボールはYahooの経営陣と取締役会の側に投げ返されてしまう。

YahooはMicrosoftの提案を受けることもできる。あるいはGoogleとの提携に活路を見出そうと努力することもできる 。後者の場合、Yahooは検索連動広告をGoogleにアウトソースすることによってキャッシュフローを大幅に改善できる。あるいは無為を決め込んで静観することもできる。しかしこの場合、経営陣と取締役は受託者責任を果たさなかったとして株主訴訟の嵐に見舞われることになるだろう。「なにもしない」というオプションはあり得ない。

すでに広く報道されているように、YahooはGoogleに降伏して検索連動広告の分野を引き渡せば、25%程度キャッシュフロー を改善できるはずだ。そうなれば経営陣はMicrosoftの申し入れを正式に拒否する口実ができる。しかしGoogleに降伏するというのはYahooのプライドにとってこの上なく大きな打撃だ。つまり自社の検索広告ビジネスを改善するために何年も行われてきたYahooの Panama projectが無意味だった―とてもGoogleに太刀打ちできない―のを密かに認めることになる。

もちろん、プライドへの打撃というなら、丸ごとMicrosoftに飲み込まれてしまうほうが大きい。

対Googleにせよ、対Microsoftにせよ、アメリカ司法省がそういった取引を認めるかどうか、現時点でははっきりわからない。もちろん、比較でいえば、Microsoftとの合併の方がより一層健全な競争の環境を作り出すだろう。Googleは検索連動広告の分野では大手だろうとスタートアップだろうと競争相手を今まで許したことがないきわめて危険な会社だ。

Googleとしては、おそらくこの数年Yahooがいま少しがんばってくれて、現在のような羽目に陥らないでくれていたほうがよかっただろう。Googleは現在の市場で巨額の金を稼いでいるので、何であれ、この市場の安定を揺るがす要因は心配の種になる。なるほどYahooの検索ビジネスを手に入れることができたらけっこうだろう―大きな競争相手を一つ消して、自社のシェアを高めることができるのだから。しかしそれでも広告売り上げのかなりの部分をYahooに分配しなければならないわけだし、現在でさえGoogleの市場占有率は十分高いのだから、これ以上の占有率の拡大はアメリカとEUの規制当局の関心を呼び起こす危険性がある。かといってMicrosoftとYahooの合併は最悪のシナリオだ。主たる理由はMicrosoftとYahooを合わせた検索とページビューの巨大さにある。深刻なライバルの出現ともなりかねない。

現状維持がGoogleにとって最良の状態なのだ。だからこそGoogleはYahooのMicrosoftとの合併をあれほど妨害しようとしたわけだ。そしてここで奇妙なことにGoogleとYahooの思惑が一致してしまう。もし何らかの理由で司法省がMicrosoft-Yahooの合併にノーといえば、Yahooは独立企業でいられる(当面は)だけでなく、株主訴訟からも免れる(悪いの司法省だ!と責任を転嫁できる)。その間、Googleは自社のマネーマシンを全力で稼動させておくことができる。

何が起こるにせよ、Yahooが輝いていた時代ははるか昔に終わっている。2008年は、Yahooがインターネットを代表する重要な大企業であるのを止めた年として記憶されるかもしれない。Yahooはまず間違いなくMicrosoftの子会社かGoogleの弟分の地位に転落するだろう。たまたま何かの理由で政府がそれらの取引をどちらも許可しなかった場合、Yahooは一息つける。しかし来年に、でなければその翌年に、まったく同じ問題についてやはり決断を迫られるはずだ。世界は冷酷な場所だ。Yahooはキュートでかわいらしく、人好きのする会社だが、残念ながらGoogleのように優れた運営をされてこなかった。そしていよいよ始まったMicrosoftとGoogleの歴史的な激突のとばっちりを受ける被害者の立場に成り下がってしまったのだ。

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(翻訳:Namekawa, U)