グーグルに対抗し米ケーブル6社が共同出資でターゲット広告の新事業「Project Canoe」(仮)設立へ

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canoe.jpg身の危険を感じるとケーブル会社は決まって束になり、ジョイントベンチャーを結成するものだが、その最新例が「Project Canoe」(仮)。米国内のケーブル大手全6社がターゲット広告を自社セットトップボックス経由で視聴者に配信する方向で話し合いを続けている共同プロジェクトである。NYタイムズの記事より。:

ケーブル専用システム6種全部でターゲット広告の販売ができる全国サービス構築に向け、ケーブル各社は計約$150M(1億5000万ドル)の当初予算をこの推進事業に投じる。

セットトップボックスはケーブル会社の管轄かもしれないが、ケーブル会社が共同で管理するのはテレビ広告に支払われる毎年$70B(700億ドル)のうちたったの約$5B(50億ドル)。そのほとんどはローカルのスポットだ。この取り分をケーブル各社は、Project Canoeで広告ターゲティングを改善することで3倍の$15B(150億ドル)まで上げたいと考えている。でもそれは希望的観測かもしれない。

無論これは全てグーグル対抗策だ。グーグルは既にEchoStarのDish Networkで独自のTV広告の試運転に入っている(Project Canoeには衛星放送の企業はどこも参画していない)。つい先週もGoogle TV Adベータ版の一部テスト利用者が普段の広告キャンペーンの一環としてTV広告をAdWords経由で買い取ることが可能になった。言い方を変えると、グーグルで買えるのは検索広告、ウェブ全体に出るコンテキスト連動型広告、そしてさらにDishチャンネルのTV広告となる。これが全て同じグーグルのインターフェイスで買えるのだ。

EchoStarとの提携を通してグーグルのソフは何百万個というセットトップボックスに導入となり、視聴者がTVを観ながらやることなすこと全てを匿名で監視している。ベータ版の広告主は地理別、人口統計別、日時別、ネットワーク別に広告スロットに入札が可能だ。また、グーグルは広告主に対し自社TVコマーシャルを観た人が何人で、どれぐらいの時間CMを観て、視聴者の大部分がどの時点で(CMに興味を失って)離れたか、といった情報も提供している。ウェブで広告主が入手できる細かな報告書に似たところもある。それは昨年11月のエントリで僕が書いた通りだ。

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クリッカブルなオーバーレイ広告、コンテキスト連動型ビデオ広告、目立たないスポンサー専用アイコンなどなど。こうしたウェブで一定シェアを確保し始めた新動画広告ユニットはどれも普通のテレビに導入可能となるだろう。企業やカテゴリの長いリストから視聴者が自分の好きなものだけ選んで自分の広告をプログラムできるようになったらどうだろう? そんな広告なら見るのではないだろうか。

広告のこととなるとグーグルは遠慮なく野望を語る。「テレビ広告業界の再活性化を図っていく自信はありますよ」と[Google TV部門のVincent]Dureauは言う。「新しい広告を導入することによって、です」。既にグーグルはテレビ広告をもっと視聴者の興味に直結した、簡単にターゲットできて安価に導入できるものにしようとしている。うまくいけば従来テレビCMなんて出せなかったような中小企業からも広告ドルをもっと引き寄せることができる、というのがグーグルの考えだ。

ケーブル各社が独自に広告追跡ソフトの開発を進めているとなると、衛星TV放送ネットワーク以外にもTV広告事業拡大の予定したいグーグルにとっては幸先が悪い。ケーブル会社にしてみれば自分たちの広告収入の分け前を何故グーグルに渡す必要があるのか? ということだろうけど、でも、グーグルに高飛車に出たところで、グーグルが秘密裏に抱えているセットトップボックス開発プロジェクトをいたずらに加速するだけである。ケーブル各社はグーグルを表玄関から招き入れる方がまだマシで、蓋を開けてみたらAndroidっぽいオープンソースのセットトップボックスの方が遥かにディスラプティブだった、ということにもなり兼ねない。

ケーブル各社が狙いを定めているのは中小企業だが、AdWordsはまさに中小企業に強いプレゼンスを確保している。ここで大きなチャンスを握るのはローカルCMをもっとテレビに導入することである。何故ならエリア別広告は(相変わらず)ターゲット広告では最も効率的アプローチの一つだからだ。その良い例がSpot Runnerで、ここは小さな地元事業主がウェブでTV広告を買い取れるサービス。最近オンライン広告営業のWeblisticを買収しテレビCMとネット広告を一緒に提供する予定だ。

テレビで広告ターゲティングを行うにはセットトップボックスがどうしても必要だが、ケーブル会社にはこれを所有している強みがある。その彼らが今オールを忙しく漕いで追い上げているわけだが逆流も巨大だ。これはただソフトをセットトップボックスに取り付けりゃいいという話ではなく、TV広告をより関連度の高いものにできるような正しいソフトを作る競争なのだ。それができるのはグーグルか、それとも6頭竜のジョイントベンチャーか? ケーブル会社は独自の広告ネットワークも構築しなくてはならないが、そちらのライバルはケーブル会社が頼りにしているTVネットワークである。 カヌーを浮かべ、全速で漕ぎ始めた方が良さそうだ。

(写真ソース:Jeff Kubina

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(翻訳:satomi)