インターネットの巨大企業はOpenIDを宣伝に利用しているだけ?

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OpenIDは、ユーザーが多数の異なったサービスに同一のユーザー名とパスワードでログインできるようにするための分散的な単一ログインを提供する標準だ。OpenIDは昨年、Google、MicrosoftYahooAOLが揃ってサポートを表明したことで大いに勢いづいたかに見えた。

ところで企業あるいはウェブサイトがOpenIDに参加するには2つの方法がある。ID発行者〔認証局〕とID利用者だ。発行者は自サイトのユーザーアカウントをOpenID互換とすることでユーザーにOpenIDを発行する。利用者とはOpenID参加サイトが発行するOpenIDをログイン情報として受け入れるウェブサイトのことだ。もちろん一つのサイトが両方を兼ねることはできる。というより兼ねていなければ混乱を招くし、使い勝手として望ましくない。

そしてまさにこの点が問題なのだ。今私が上で挙げたインターネットのビッグ4企業はOpenIDのサポートについて大々的なプレス発表を行っただけで、実行が十分に伴っていない。Bill Gatesが1年も前にサポートを発表したにもかかわらず、Microsoftは全く一切何もしていない。GoogleはBloggerが認証局と利用局の両方になっただけというごく限定的なサポートにとどまっている。YahooとAOLは認証局になっただけだ。

ではビッグ4はOpenIDに全面的に参加する前に使い勝手などを実験しているのだろうか? 陰謀史観といわれるかもしれないが、私にはどうもそうは思えない。ビッグ4はオープン標準を採用したということで得られるメディアへの露出だけが目的で、それにともなう不利益は一切引き受けるつもりがないように映る。AOLとYahooの場合、認証局になることで、自社のユーザーがインターネット中でそのIDでログインしてくれるようになることを期待できる。しかし他のサイトが発行したIDを受け入れることは拒否しているのだ。だから新たにYahoo、AOLを利用しようというユーザーは従来どおり必要な情報をすべて入力してユーザーアカウントを作らねばならない。つまり得だけあって損はなしということだ。

私は今日、Bill Washburn (OpenIDの執行ディレクターで唯一の常勤従業員)とDavid Recordan (OpenID副議長)にビッグ4の煮えきらない態度について話を聞いてみた。「これら大手企業のサポート表明はOpenIDの認知が広まる上で極めて重要だ」などと2人とも批判がましいことを口にしないよう慎重に言葉を選んでいた。しかし2人とも大企業がOpenIDをフルにサポートする日がなるべく早く来ることが望ましいとも述べた。

Recordanによると1万1千のサイトが現在OpenIDをログインに際して受け入れている(右図参照)。これらサイトの中には37SignalsやLiveJournalのような大手サイトも含まれる。Recordanによると、オープンソース・ソフトウェアのコミュニティーはそれぞれのソフトの中に、それを利用して作られたサービスにOpenIdでログインできる機能を組み込んでいくことに積極的だという。OpenIDを支持するそういったオープンソフトにはDrupal、Movable Type、Wordpress.org、Ruby on Rails、MediaWikiなどが含まれる。しかしこれらのサービスのユーザーをすべて合計しててもビッグ4のどれ一つの足元にも及ばない。

ここで私はOpenID財団の幹部が政治的配慮から口にできなかったことを言っておこう。ビッグ4はユーザーの利益を考えて行動すべきときに来ている。つまりOpneIDを完全にサポートし、他のサイトのOpenIDも受け入れるようにすべきだ。これらの会社の方針は「できるかぎたくさんのユーザーの身元を記録しろ」なのだろうが、インターネットにオープンで、分散的、かつ安全な(OpenIDはこの3つを兼ねている)単一ログインを普及させる必要性は、そういった小さな利害より、はるかに大きい。

ビッグ4がOpenIDの利用局となったとき、初めてOpenIDは標準として確立される。そういうことになるまで、私はビッグ4のOpenIDサポートを本物とは認めない。

ちなみに、Chris Messinaはビッグ4その他、OpenIDをサポートするとしながら言いながら実行が伴わない企業についてすばらしい調査そのアップデートを発表している。圧力をかけ続けようぜ、Chris。

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(翻訳:Namekawa, U)