Microsoftから「Mesh Live」登場―すべてのアプリとデバイスを同期させるプラットフォーム

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Ray Ozzieが最初にヒントを漏らしたのは去る3月のキーノート講演だった。しかしとうとう今夜Microsoftはその「Live Mesh」のプレビュー・ベータをリリースする。これはWindows上でファイルを同期させ、さらにはアプリケーションの協調動作を行うための新しいWindows向けプラットフォームだ。(Microsoftのことで、「ベータ」とは言っても1万人単位だから、今すぐここからサインアプすれば招待状が手に入る可能性が高い)。このMeshこそがチーフ・アーキテクト、Ray Ozzieが推進するビジョン―一般ユーザーの活動の中心をローカルPCからウェブに移す―のカギになる要素だ。

livemesh-side.pngMeshを利用するとユーザーはオンライン上にバーチャルデスクトップを作れる。そしてさまざまなコンピュータ、それも異なったコンピュータを接続できる。どんなファイルでもMeshのフォルダに入れておけば、自動的にオンライン・デスクトップのファイルと同期するだけでなく、そのバーチャル・デスクトップに同期しているすべてのコンピュータ内のファイルとも同期する。ファイルまたはフォルダを選ぶだけで、そのコンテンツ―写真、ビデオ、文書そのたなんでも―を友達や家族と簡単に共有できる。さらに遠隔地のコンピュータをLive Meshのデスクトップに接続されたコンピュータを通じて操作できる。現在のところ、Windows XPかVistaが搭載されているコンピュータのみサポートされているが。しかし長期的ビジョンとしては、文字通りどんなデバイスでも接続できるようにする。今年中にMacと携帯版が出るという。そして最後にはXboxからDVR、電子額縁、プリンタまであらゆるデバイスがMeshに接続可能になる。

Ozzie配下のエンジニア100人がこの2年間というものMeshの開発にかかりきりだったという。ローンチの時点では一見、Windows Live SkyDriveFolderShareのかけあわせみたいだが、エンジンフードの中には野心的なプラットフォームが詰まっている。Meshの本当の狙いはデベロッパーだ。デバイス間でのファイルの同期のフレームワークという以外に、実はこのプラットフォーム上でアプリケーションの同期が可能になるのだ。その手法は双方向のRSSないしAtomによるフィードで、以前は「Simple Sharing Extension」と呼ばれていたが、現在はOzzieによってFeedSyncと名づけられている。

live-mesh-logo.pngMeshの基礎はこのフィードをベースにしたプログラミング・モデルだ。ウェブ・デベロッパーはどんな言語でも(Python、Ruby on Rails、Flex、etc)、開発ツールでも自由に使ってアプリケーションをプログラミングすることができる。それから双方向フィードを基本的なコミュニケーション手段として、ネット上のどこかにある別のデバイス、または別のアプリケーションと同期を取るようにすることができる。Microsoftのプロダクト・ユニット・マネージャー、Abhay Parasnisはデベロッパーに次のにように約束する。「皆さんはMeshに合わせてアプリケーションを書いてくれればよい。そうすれば後はわれわれが他のデバイスでも動くようにしてあげます」。

MicrosoftはMesh用のAPIを用意している。これにはストレージ・サービス、メンバー処理、同期、P2P通信、ユーザーにフォルダのステータスと誰がアクセスしたかを知らせるニュースフィード機能などが用意されている。ウェブ・アプリであれ、オフラインのデスクトップ・アプリであれ、この同じプログラミング・モデルで開発できる。

このMicrosoftのアプローチはいろいろな意味で、われわれが今まで詳しく見てきたAdobe AirやGoogle Gearsと正反対のものである。AirやGearsはブラウザー・ベースののアプリをオフラインでも作動させようというアプローチだ。MicrosoftはMeshでクライアント・ベースのアプリケーションの優位性をを再構築しようとしているに違いない。これは必ずしもWindowsベースである必要はない―そうであればMicrosoftにはますます好都合だろうが。デベロッパーは最初、どんなデバイスに対して開発を始めてもよい。PC、スマートフォン、セットトップ・ボックス、何であっても、ウェブを通じて他のデバイスと同期させることでいわばそのアプリケーションのウェブ化ができる。これらのアプリケーションはAdobe AirやGoogle Gearsのようにブラウザという砂場に閉じ込められる必要がないので、はるかに強力な機能を持たせることができ、しかも自由にウェブにアクセスする能力は失わない。

ここで私はPC ベースの家系図づくりのソフトをサンプルとして見せられた。これは家族や親類のメンバーが自分のパソコンから変更を加えると全員のファイルがアップデートされるというものだったが、このサンプルはあまり適当ではなかった。というか、ここにMesh自体の問題点が隠されているのかもしれないが、このような利用法に関するかぎり、はるかに優れたサービスがすでに実現されえている。それはGeniというウェブ・アプリケーションだ。私がぜひ見たいと思うのは、しかし、Mesh版のWordやExcelだ。少なくともこれならGoogleドキュメントその他のオンライン・アプリによってOfficeアプリが脅かされていることへの回答になるだろう。Meshはクライアント・アプリを相互に接続し、またユーザーが知っている別のユーザーに接続することによってソーシャル化することができる。

OzzieはMicrosoftがこういう方向にシフトしていかねばならないことを直感的に理解しているようだ。社内向けの戦略メモで彼はこう書いている。

個人にとって「私のコンピュータ」というコンセプトは「私のMeshデバイス」、すなわち、Meshによってシームレスな全体として統合されたユーザーのコントロールするあらゆるデバイスの全体、というコンセプトにとって代られる必要がある。

Live Meshは新しいサービスのプラットフォームを作るテクノロジ
ーだ。これはまたWindows Liveの一部となり、Windows /Windows Mobile / Windows Liveというグループの使い勝手をさらに拡大する。あらゆるデバイスをウェブをハブとして相互に協調して動作するひとつの全体にまとめ上げていく。

統合デバイス管理 – ユーザはさまざまなデバイスをウェブベースのシンプルなサービスを利用して登録することができる。ひとたびあるデバイスがユーザーの「デバイス・メッシュ」として登録されると、そのデバイスがいついかなるときでもインターネットに接続すると、マネージメント・サービスにそのことを「通知」する。すなわち、ステータス、自己診断結果、場所、情報交換・同期用情報などを発信する。Mesh接続可能なデバイスのコンフィグレーションとカスタマイゼーションはウェブを通じて実行され、どこからでもデバイスのリモート・コントロール(すなわちリモート・デスクトップ)が可能となる。

統合アプリケーション管理– 「Mesh対応」のアプリケーションのインストールと管理をあらゆるデバイス上で実行する。この際、アプリケーションの設定方法と設定データはシンプルかつユーザーに明示されていなければならない。個人ユーザーは、従来は大企業に属するユーザーに対してのみサポートされていたようなさまざまなデバイスを横断した一括デバイス購入、管理サービスを利用することができるようになる。

統合データ管理 – フォルダとファイルは(すなわちドキュメントとメディア)は自動的に同期され、あらゆるデバイスとウェブ上から利用できるようになる。どのフォルダも今やウェブ上に参照可能な拡張された存在となる。そのため、PCで作成された文書やメディアもソーシャルな要素を持つ

Meshが普及すれば、Microsoftのクライアント/サーバ・モデルのソフトウェア・ビジネスを守る手助けができるだろう。そのうえ、他の企業が開発したアプリケーションをホストすることでいくらかの収入を生むかもしれない。またMicrosoftがクラウド・コンピューティングを可能にすると同時に、ストレージ、同期、ユーザー間のメッセージサービスといった部分を有料化して課金してくる可能性もある。が、それ以前にまず普及が必要だ。

以下にレビューガイド文書とスクリーンショットを載せておく。

livemesh-1.pnglivemesh-2.pnglivemesh-3.png

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(翻訳:Namekawa, U)