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ウィジェット―景気減速時代を生き延びるマーケティング・ツールの決定版

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このウィジェットの経済学に関するゲスト寄稿はエンジェル投資家、 UserplaneのCEO、AOLの上級副社長であるMichael Jonesによるもの。

Userplaneは2006年8月にAOLに買収されているが、コミュニケーション・ウィジェットの提供者(チャットその他のサービスをサイトに付加する)であり、また有力な広告ネットワークでもある。

Mike Jonesの個人ブログはここ


減速中の経済に直面している企業は現在、顧客へのコストパフォーマンスの良いプロモーション手法を求めている。景気後退期のソーシャル・メディアの役割を論じたForresterの最近の記事は、経済状況がタフな時期にこそソーシャルメディアが会社の生き残りと繁栄を助ける有力な手段となるという考えを裏付けるものだった。また、この話題についてのJosh Bernoffの詳細なレポートも参考になる。対話的マーケティングを採用する場合、「ちょっと試してみる」時期はすでに終わったこと、コストパフォーマンスがよく成果を数字で測定できるソーシャル・マーケティング手段の採用をもっと真剣に考えるべきことが論じられている。キーポイントを引用すると、

…対話的マーケティングは、ドットコム時代のバブルとは違って、数字によって成果が測定できるという強みがあるために、不況の時代にこそ普及するものとわれわれは考えている。ユーザー・コミュニティーやSNSサイト上で利用されるソーシャル・アプリケーションは特に、コスト対効果が高い。しかも見込み顧客の意思決定にきわめて早い段階で明確な影響を与えることができる点が厳しい景気の環境に置かれた企業にとって特に重要だ。対話的マーケティングを実践する場合、「ちょっと試してみる」態度はもう捨てるべきだ。数字で明確に成果が測定できる手法に全力を投じなくてはならない。

さらにForresterのアナリストJeremiah Owyangはソーシャル・マーケティングは伝統的マーケティングの手法に比べてはるかに安上がりだという点を指摘する。今後会社として財布のヒモが締まるにつれて、マーケティング担当幹部の興味は、比較的安い金額で顧客への露出が指数関数的に広がる、ソーシャルメディアに向かうようになるだろう。

ソーシャル・メディアそのものが不況にどれだけ強いかは今後検証されていく課題だが、ソーシャル・アプリケーションが現在のあるいは潜在的顧客と接触するためのコストパフォーマンスの良い手法なので景気後退時に普及・繁栄するというのは文字通りそのまま受け取ってよい。実際金に直接響く話なのだ。

ウィジェット―マイクロ・マーケットを開拓するマクロなツール

トップクラスのウィジェット・プロバイダ企業は、ウィジェットがビッグ・ビジネスになり得ることを証明しつつある。Slideと私がCEOを務めるUserplaneは、ウィジェットという分散的マーケティング・ツールの分野で成功した双璧だ。Slideが最近得た$500M(5億ドル)という会社価値評価は、一見ささやかなウィジェットが持つ巨大な潜在能力を如実に示した。今日ウィジェットが成功している要因は主に、広告を掲載したウィジェットが毎日何億回も閲覧されている事実による。

2007年4月にcomScoreはウィジェットの閲覧者は月間1億7700万人、世界のオンライン人口の21%に上ると推計した。現在、ウィジェットのトラフィックはほんの一部―おそらく0.5%程度―が収益化されているに過ぎない。その0.5%も大半は伝統的なCPMモデルを採用しているはずだ。しかし長期的にウィジェット産業が繁栄するには、トップのウィジェット・プロバイダ数社だけが儲かるのではなく、ウィジェットで広告と取り組む全ての関係者がうるおうような新しいビジネス・モデルが必要だ。

ブランド広告はオンライン広告の伝統的なあり方を変えつつあり、また「行動的ターゲティング」と呼ばれる消費者の特定の興味と反応にターゲットを絞ったスタイルに移行している。伝統的なブランド認知の浸透への努力はむしろ背景に退き、むしろ消費者自身が望み必要とするかたちで積極的にブランドを提供していく方法に代りつつある。しかも、それで終わりではない。マーケティングはさらに個別のソーシャル・グラフへも浸透しつつある。

ブランド・イメージは雪のように白くあらねばならないという伝統的考え方からすれば、それがポルノスターの写真の隣に並ぶなどというのは払い戻しを要求すべき失態だろう。しかしオンライン広告ではそれが当たり前なのだ。新しい広告モデルでは、顧客の行動に立脚して広告の提供を行うべきであり、顧客が関心を持つ領域〔それがポルノスターの記事であっても〕に配信されることはやむを得ないというより、「マイクロ・マーケティング」の観点からむしろ望ましいことでなのだ。

ウィジェット・プロバイダはこのような消費者の「行動科学的ターゲティング」分析のための高度な情報を収集することができる。したがって、巨額の費用を投じる以前に、特定のユーザー層があるブランドやサービスに興味を持つか否かをはっきりと示すことができる。もし行動科学的分析によって、MySpace上の血のついた牙をむき出した吸血鬼のイメージの近傍に表示された場合に特に積極的に反応する消費者グループが存在することが明らかになれば、伝統的な考え方を捨ててそのような場所に広告を出稿する新しい考え方の勇気ある広告主も増えるだろう。

メディアへの広告出稿の本質の変化

行動分析、分散的広告モデル、マイクロ・マーケットという新しいコンセプトが相互に融合していく向こうにウィジェットがもっとも有効な分野が見えてくる。eマ
ケティングの専門家は。行動科学的ターゲティング広告の市場が2006年の $350M(3億ドル5千万ドル)から2011年には$3.8(38億ドル)に増加すると予測している。このマーケットの急成長の予想こそ、AOLがTacodaを買収し、またRevenue Science Lotameのような企業が活発に活動している理由である。

一方ではCPM〔1000回表示あたり単価〕というコンセプト自体も新しいタイプのメディアスペースの購入手法が登場するに連れて変化を遂げている。たとえばブランドの購入の場所をウィジェット内に設定することによってウェブ上に広く分散させるなど、 ブランドと消費者との間の関係をコントロールして収益化を目論む新しいタイプのアプローチも登場している。ウィジェットが特定のユーザーの行動や興味をひく分野に対応した広告を提供する役割に止まらず、ウィジェットそのものがeコマースの販売窓口そのものになっていくことが十分に考えられる。特定のブランドをプロモートするソーシャル・マーケティング・ウィジェットに、さらに一歩進めて、カート機能を付加すれば、特定の嗜好をもったユーザーが集まるサイト上でそれに対応した分散的なオンライン・ショッピング機能を提供することができるようになるわけだ。すでにソーシュルメディアサイトでは、支払い機能を付加したウィジェットを設置して収益化の機会を狙うことができるようになっている。

新しいメディア、新しい楽観主義

経済に関して必ずしも楽観できないニュースが続く中、ソーシャル・メディアに関しては依然として一定の楽観主義が存在する余地がある。経済的荒波の襲う環境を進む際に、低価格で露出範囲が広く、特定の消費者にターゲットでき、企業と消費者を直接結びつけるプラットフォームになるウィジェット広告以上に効果的な手法があるだろうか? ウィジェットはマーケットへの、ひいてはビジネスの生命線である個別の消費者への近道であり、ブランドを人間的にするだけでなく顧客との対話に活用することができるのだ。

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(翻訳:Namekawa, U)