Intel
comcast
Clearwire

WiMax合弁が前途多難な理由Part II~マッコウはシュミットを謀ったのか

次の記事

Facebook Connect-これがMySpaceの発表へのFacebookの回答だ!

explosion-small.jpg

今週クリアワイヤ(Clearwire)とスプリントのWiMax事業の合併・救済化に向け総額$3.2B(32億ドル)の合弁事業が発表になった。それにしても詳しく知れば知るほど誰か一杯食わされたと思ってしまうような商談だ。「誰か」というのは他でもない、グーグルCEOエリック・シュミットである。

クリアワイヤのクレイグ・マッコウ会長みたいな先見者相手に「NO」とは言えなかったという、それだけの話かもしれないし、あるいはマッコウがインテルCEOポール・オッテリーニを通じて彼の仲良しのシュミットに寄りかかってきたのかもしれない。オッテリーニ自身、インテル社内ではWiMaxにチップを売る大博打に出た張本人なので本ベンチャー事業にはインテル・マネーも$1B(10億ドル)出すと誓っている。それにオッテリーニはグーグル取締役兼務だったりする。以上に書いたことは本当に起こったかどうか(憶測もあるので)僕には知る由もないことだが。

僕が知っているのはグーグルが嫌々この交渉のテーブルに着いたこと、そして本投資案件はグーグル社内で長い間ストップがかかっていたことだ。これには充分な理由もある。

まず一番の理由はクリアワイヤ(Clearwire)が導入を進めているようなWiMaxは携帯ブロードバンドサービスとして、そんなに良い代替策ではないこと。なによりこれは固定無線ソリューションなので、交代を迫る相手はケーブルやDSLなどワイヤ回線で家庭・オフィスを繋ぐブロードバンド接続サービスに過ぎない。事実クリアワイヤは営業でもこれをウリにしている。

ところが、グーグルやコムキャスト、タイムワーナーケーブルからキャッシュを取り付けるには、Clearwireはさらにリッチな携帯ブロードバンド接続サービスの実現も約束しなくてはならなかった。グーグルが出資した理由はそこ…つまりモバイル端末にブロードバンドネット接続を導入することにあるからだ(一部Android OS対応端末になるという期待から)。 これはコムキャスト、タイムワーナーケーブルが出資した理由でもある。この2社には家庭用ケーブルブロードバンド接続に代わるものなんて必要ない。必要なのは自分たちの牙城のTV市場にAT&Tやベライゾンが入ってこぬよう、その参入を阻むワイヤレス接続サービスに他ならない(結局すべてはバンドルで勝るのが誰かで決まる)。

みんな今はディスラプティブな携帯ブロードバンド接続の代替通信手段としてWiMaxというアイディアに浮かされている。昨日僕が出演した番組の司会者Neal Cavutoだってこの商談の先にある素晴らしいワイヤレスの未来をバラ色に持ち上げて止まらなかった

その通りならいいんだけどね。前回書いた以外の問題もいくつかある。以下に書き出してみよう。:

1. クリアワイヤとスプリントは、たとえ固定無線であってもWiMaxがビジネスとして利益を出せることを実証していない クリアワイヤが昨年出した損失は$727M(7億2700万ドル)で、全収入の5倍近くに上る。今後2年間は事業経費が嵩む成長局面に当たり、損失はさらに増大が予想される。さらにサービス対象エリア約50都市の理解も今ひとつだ。ブロードバンド接続が他にない過疎の人が相手なら話は別だが、同社はありもしない問題の解決に取り組んでいるのである。米国では今やほぼ全員、各家庭でケーブルやDSL接続でブロードバンドが全く問題なく使えている。

2. WiMaxは他の面でも事業の有効性を実証していない ブロバ天国とされる韓国。2年前からWiMaxを使っているその韓国でさえ消費者のWiMaxへの反応は今ひとつ盛り上がりに欠ける。韓国国内WiMax契約利用者は当初の予想を大幅に下回る15万人に止まっている。

3. WiMaxを携帯ブロバサービスに転化する前に、まずはWiMax対応機器が必要  携帯電話、ラップトップ、その他端末にWiMaxチップが搭載になるのは、まだ随分先の話になりそうだ。インテルがいくらWiMaxチップ販売準備バッチリでも、端末メーカーはこれを欲しがる消費者が充分な数に達するまで端末にWiMaxチップは搭載を見合わせるだろうし、消費者も大体はWiMaxネットワークが自宅・旅先に浸透するまで買わない、という鶏と卵の問題がある。

4. クリアワイヤは携帯電話会社のように行動する術を知らない 同社には携帯ビジネスの事業プランもないのだ。固定無線ビジネスの事業プランはある。 WiMaxを本当にモバイルにするには契約利用者がA地点からB地点に移動する間もずっと切れない満遍なくカバーできる密度を備えたネットワークを構築する必要がある。今はクリアワイヤのサービス対象の市場ですら、それが実現できていない。

5. スプリントには利害の対立がある  ローミングとカバレッジの途絶えるギャップを埋めるとなると、クリアワイヤにはスプリントの3G携帯ネットワークをバックアップに使う必要が生じてくる。 すると各端末にもう1個別のチップが必要となり、AT&Tやベライゾンの競合端末より値段が高くなってしまう。 しかもスプリントは3Gネットワークをクリアワイヤにオープンにすることで、引いてはグーグルにまで開く必要が…。だが、決してそうはならない。

6. WiMaxは国際標準ではない 米国内ではWiMaxは周波数2.5 GHzで構築されている。海外ではこれが3.5 GHz上に構築されているので、機器メーカーがWiMax端末&ネットワーク機器から利益を出せるところまで生産販売規模を拡大しようにも達成が困難な状況になっている。

7. マッコウは先見者かもしれないが、それほどクリアに先が見通せない場合も そう、マッコウと言えば今のAT&Tワイヤレスの前身の会社を築いて$11.5B(115億ドル)で売った人だ。でも、あの後はTeledesicとXO Communicationsという2社の責任者もつとめた。-どちらも大失敗に終わり、投資家に何億ドルもの損害を与えた会社だ。クリアワイヤはシュミット&Co.の一団が救出に駆けつけなかったら、この後者2社の危うく仲間入りをするところだった。

[原文へ]

(翻訳:satomi)