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失敗の解剖―Meetroからの教訓

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この記事はゲストのPaul Bragielの寄稿によるもの。Bragiel は場所情報を利用したインスタント・メッセージのプラットフォームとして最初のものの一つMeetroのファウンダーだったが、先月MeetroはDeadPool入りしてしまった。Bragiel はフォーラムのホスティング・サービス、Leforaのファウンダーでもある。われわれの2社の紹介記事はここに。Meetroの最初の紹介は2005年8月のこの記事。われわれの「倒産したスタートアップの知的所有権はどうすべき? という記事も参考に。


われわれはMeetroの経営でどこで間違ったのか、なにもかも情報をオープンにしようと思う。ある種の死体検案だ。スタートアップというのは大半が倒産してしまうものだが、それでもこんな情報公開はめったにお目にかかれないと思う。大半のスタートアップは跡形もなく消え失せてしまうものだ。どういう事情だったのかは永遠にわからないままになる。もし読者の皆さんで私と同じような経験をされた方がいるようだったらLeforaのフォーラムへどうぞ

Meetroについて不案内な向きに説明しておくと、われわれは地理情報ベースのSNSのハシリの一つだった。ユーザーが地理的にどこに所在しているかを探し出して、リアルタイムでその場所を他のメンバーに知らせる。他のメンバーはインスタント・メッセージを送る他に、プロフィールをチェックし、その場所を知って実際に会うことも可能になる。それ以外の機能もいろいろ用意されていた。ユーザーのいる場所の近くにあるレストランの情報、その近所でメディアに載った情報、その他あらゆるローカルな情報が提供されることになっていた。主要なインスタント・メッセージのプロトコル(AIM、MSN、Yahoo)をサポートする他に、多数のSNS機能も備えているた。

サービスとしてはこうしてしっかりしたものを提供したのだが、なぜかわれわれは市場シェアを取れなかった。これが―シェアを取れないという問題が―最後までつきまとい、結局最後にはわれわれの命取りになった。ちょっと良いときもあり、その他いろいろあったが他のスタートアップもだいたいこういう道をたどるのではないかと思う。特に他の地理情報を利用するスタートアップは私が経験したような事態を現在経験しているんじゃないかという気がする。

いちばん大きいのはこのロケーション情報という問題だ。地理的にユーザーがどこにいるかという情報に100%依存したサービスを軌道に乗せるのは実に難しい。非常にたくさんのスタートアップがこれを試みて、ほとんどが失敗している。われわれは生意気にもこの分野を試さずにはいられなかった。ロードすると近くにいる面白そうな人々についての情報を教えてくれる小さなアプリケーションというアイディアには抗しがたい魅力があったのだ。そのうち誰かがこの実際このアイディアを元にして10億ドル稼ぐことになると思う。私は何らかの形でそれに加わっていたい。というのも今になっても私はこのアイディアの魅力にとりつかれていて、振り払うことができないのだ。

われわれはシカゴでこのコミュニティーづくりを始めたのだが、これを難しさの例にご紹介しよう。われわれはシカゴでこのサービスをローンチし、友達全部に加入してもらうことに成功した。地元の最大の新聞に詳しい好意的な紹介記事を書いてもらうこともできた。積極的に利用してくれるユーザーも何百人と集まり、ブームが巻き起こるのが感じ取れた。われわれはこの良いムードを持続させるためにユーザーを集めて何度かパーティーを開いたものだ。実際、われわれのCTOのSamなんかこのパーティーで今のガールフレンドと出会ったくらいだ。

しかしすぐにわれわれが気づいた問題点は、シカゴでいくら何百人もユーザーを集めることに成功しても、それが100マイルも離れていないMilwaukeeでユーザーを集める役にはまったく立たないということだった。ましてニューヨークやサンフランシスコではなおさらだ。このアプリケーション―というよりアイディアは地理的範囲を超えて広がってくれないのだ。

もうひとつ問題があった。われわれがこのサービスをアイダホで始めたらどうなるか想像してもらいたい。Meetroがどんなにしゃれたホットなサービスであろうと、アイダホの真ん中では近所に他のユーザーが誰もいないことになる。それではたいして役に立たない。われわれはこの問題を解決するためにもいろいろ努力した。Meetroの社員全員プラス、いろいろな人にメンバーになってもらって盛り上げを図った。おかげでわれわれはいろいろな人と知り合いになれて、今でも付き合っている友人たちを得ることができたが、結局それではサービスを立ちゆかせるには十分ではなかった。

ではどうしたらこの位置情報システム特有の問題を解決したらよいのか? 私はMeetroのようなサービスが成功するためには以下のようなアイディアの下に戦略を組み立てる必要があるだろうと思う。

1. 最初から巨大のユーザー・ベースのサービスとして開始する。たとえばMySpaceFacebookクラスのサービスだ。すでにものすごくたくさんのユーザーを抱えたサービスに位置情報機能を追加するわけだ。これは人気を呼ぶ新機能になるだろう。ただしそれでも成功までの道のりはそれほど平坦ではない。きちんと立ち上げるまでにはいろいろ難関が予想される。ユーザーの位置情報を公開するということになると、プライバシーそ�
��他の問題が山積みだ。

実はときおり何度かMySpaceと話をしたのだが、結局いっしょにやる(つまりわれわれを買収してくれる)気はないと分かってがっかりしたのを鮮明に覚えている。考えれば考えるほど私はナイーブ過ぎたと思う。MySpaceに位置情報サービスを導入しようとすればとんでもない大騒ぎになっただろうし、少なくとも短期的に見てそんな苦労をするだけの価値はなかったに違いない。それに同時MySpaceは自分自身の規模拡大を.Netに移行することで処理するのに手一杯だったという事情もあった。しか私は今でもこうした巨大SNSは、将来いつか、ユーザーの位置情報機能を追加するようになるのではないかという気がしている。

2. 位置情報サービスは都市を一つ一つカバーしていかねばならなない。たいへんな長期計画が必要になる。これはローカル情報分野でYelpがたどった道筋に似ている。Yelpはこれが容易でないことを知っているだろうと思う。私の体験からすると、これにはそれぞの町で真剣にコミュニティーを育てる努力をしていかねばならない。これは息の長い仕事になる。単にどこそこの都市をこれからカバーします、と発表して放っておいてユーザーが集まってくるようなうまい話にはならない。

われわれはMeetroでこれを経験した。シカゴでコミュニティーづくりに成功した後、われわれは会社をシリコンバレーのパロアルトに移した。パロアルトでのサービス展開については、われわれはもうパーティーやイベントを主催して直かにコミュニティーづくりをすることはしなかった。サービスはいちおう立ち上がりコアとなる一定数のユーザーが集まったのだが、ピーク時でもなぜか活動はシカゴほど活発にならない。われわれがこの失敗に気づいたときにはもう手遅れで、われわれはコミュニティーづくりの努力をサンフランシスコに移す他なかった。

3. 位置情報というのはそれだけでは大ブームを巻き起こすようなキラーサービスにはならない。なにかそういうキラー・サービスに付随して位置情報サービスが提供されれば、ユーザーにも次第に価値が認められて、普及していくと思う。そのキラー・サービスがどんなものかは私にも分からない。分かっていれば今頃自分で作っているはずだ。

次にダウンロードの問題がある。これは今になればダウンロードではダメだというがはっきりしているのだが、2004年当時はまだWeb2.0というコンセプトも登場していなくて、ダウンロード・アプリ(つまりSkype)が急成長しているところだった。それにわれわれはこのサービスを機能させるためにどうしてもダウンロードが必要だった。携帯キャリヤと長く仕事をした経験があるので、私はキャリアがロケーション機能を追加してくれるのを待っていては何年もかかってしまうと知っていた。そこで私は早くから独自のダウンロードでいこうと決心していた。それから4年たつが案の定、携帯キャリヤは位置情報の利用をしていない。

そこで携帯キャリヤを迂回するためにはわれわれが独自の位置情報テクノロジーを開発する必要があった。われわれは特許の申請から何からすべてやった。一言でいえば、われわれはWiFiが引き続き速いペースで拡大が続く前提に賭けた。Meetroのローンチの時点で、われわれはありとあらゆるWiFiネットワークのスキャンを始めた。電波をスキャンした結果と既存のデータベースを付き合わせてチェックする。(われわれがチェックを中止するまでに400万件のホットスポットのデータベースができていた)。新たにスキャンした結果がデータベースにあれば、それをもとに三角測量の要領で位置を算出する。データベースにヒットしなければ手で場所を入力をする。このデータを記録しておいて、後で似たようなデータと突き合わせて精度を検証する。

このデータも急速に増えていった。平均してわれわれのカバー地域ではどの地点でも平均5箇所のWiFiルータが発見された。ニューヨークのようにWiFiの密度が特に高い地域では、たしか平均は9.6箇所にもなっていたと思う。われわれのビジネスプランの中心はなんといってもMeetroを利用してホットスポットのデータを収集して一種のGPSシステムを作り上げることだったからそれに成功したときには興奮した。われわれのテクノロジーの優れているところは、一種の自動修復機能が働くことで、WiFiルータのどれかが位置を変えたり、新たなルータが追加されたりした場合、われわれそれをいち早く知ることができた。

しかし最後に、ユーザーがMeetroをダウンロードしてインストールすることになるとドロップオフは非常に大きなものになった。これはまったく最悪だった。私の記憶では80から90%ぐらいだったと思う。これは採用率に壊滅的に響いた。

最後にリアルタイム性の問題があった。これは位置情報問題と似ているが、誰か他のユーザーが近所にいてもそのユーザーがオンラインになっていないかぎり何の役にも立たない。リアルタイムでチャットができるMeetroの機能はときたますばらしい偶然の出会いをもたらす可能性があるものの、ユーザーが人のあまりいない時間や離れた場所にいる場合には誰も話す相手がいないという問題が生じる。

私はデンバー空港で乗り継ぎ待ちをしているときにたまたまMeetrtoのユーザーに出会い、ビールを一杯飲んだときの魔法のような気分をよく覚えている。これこそ私はMeetroを通じて実現しようと夢見ていたような出会いだった。しかしこうした出会いが実現するのはほんのときたまだった。この点について、その後われわれは修正を試みはした―しかしタイミングが遅すぎ、効果も少なすぎた。そういうわけで将来こういうサービスを提供しようとするなら、その場所を最近に訪れたユーザーとか、もっとも頻繁に訪れるユーザーとかを検索してもっと確実にユーザー同士がコンタクトできるような仕組みを考える必要がある。

以上のような3つの問題が同時に起きていたわけだからビジネスがうまくいかなかったのも無理はない。では、もし私が今日やりなおすとしたら、どんな方法があるだろうか?

1. 位置情報に関しては携帯キャリヤがきちんと正確に提供してくれるようになるまで待つ。サービスはキャリヤの提供する位置情報に基づいて、その上に構築する。Looptには非常に大がかりなサービスの開発サイクルがあって、ここ何年かまさにそのタイミングを待っていたようだ。Looptにとって現在やっとト�
��ネルの向こうに明かりが見えたという状態ではないだろうか。私はこの現在、位置情報関連事業を他に誰がやっているのか詳しく調べていないが、必ず誰かはやっているはずだ。

2. われわれのテクノロジーに関しては、APIを作って既存のアプリケーションに接続させる道を選ぶだろう。つまりすでにユーザーがダウンロードしてインストールしており、われわれのテクノロジーが必要とするような低レベルのハードウェアへのアクセスも確保しているようなアプリケーション―たとえばAIM、Skype、Firefoxなどだ。そういうアプリケーションに友好的に寄生して生きる道を選んだと思う。われわれが現在所有している知的所有権の利用に関して近く何らかの発表を行う予定だ。

3. もう一つ異なるオプションはユーザーが随時その場から「チェックイン」して利用できるようなサービスにするというものだ。Twitterに位置情報機能を付加したようなもの(Dodgeballlがそれ)だ。 しかし私の感覚としては、これはMeetroタイプのコンセプトとしては邪道に思える。

われわれはなおもMeetroの改良で粘ってもよかったのだが、チームはもう次のプロジェクトに移りたがっていた。全然成長しないプロジェクトに資金を集めるのももう不可能に近かった。それにせっかくできたこの緊密なチームを機能させていくには、精神衛生上からも、新しいプロジェクトに焦点を移す必要があった。みんな(私も含めて)とにかくへとへとにくたびれていた。今までに発見した問題点を解決するにはアーキテクチャーを根本から変え、コードも一から書き直す必要があることは明らかだった。しかし、われわれ全員、今さら真面目にそれに取り組み始めるほど位置情報サービスというアイディアには興奮を覚えなくなっていたというのが正直なところだった。

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(翻訳:Namekawa, U)